第三回「プレミアムカードの殿堂」
《「人造神話」アトラクナクア=アラクネア》
ここは、本編とは異なる時空。
ダンジョン『嘆きの地下坑道・Lv7』、その地下に存在する空間。
「さぁ――始めるわよー!」
始めるわよー!始めるわよー。始めるわよ――。始めるわよー……。
巨大な円柱が立ち並ぶ広大な空間に、ウルカの叫び声が反響していった。
「ふふふ。ここで思いっきり叫んでみたかったのよね。さて、今回の『デュエリストしかいない乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまったのだけれど「カードゲームではよくあること」よね!?』は番外編。
第三回『プレミアムカードの殿堂』を開催するわ!」
「本機が務めるよ。今回のアシスタントは」と言って、ザイオンXが現れる。
サファイアのように輝く瞳とさらさらとした腰まで届く銀髪は本編と同じ。
ただし、その服は本編でまとっていたぴっちりと肌に吸いつくようなメカニカルなスーツではなく、おしとやかなフリルで装飾されたクラシカルなメイド服となっている。
ザイオンXは続けた。
「今回は第三章の本機とマスターの
「超古代の
ウルカは手にしたカードを指先でひっくり返す。
今回、殿堂入りとして紹介されるカードの名は――
「ユニゾン・スピリット、《「
《「
種別:ユニゾン・スピリット
エレメント:地
タイプ:インセクト
BP2800
共鳴条件:
《「
効果:
1ターンに1度、インタラプトとして以下の効果を発動できる。
「自分か相手の墓地に存在する『このゲーム中に発動したスペルカード」を1枚選択して発動する。この効果は選択したスペルカードの発動時の効果と同じになる」
「《「
ところで読者のみんなは、前回の『プレミアムカードの殿堂』で『私の【ブリリアント・インセクト】デッキに美少女スピリットが登場する』と言っていたのを覚えているかしら?その正体は、このカードだったってことね!」
「……アラクネアは、元々は本機のカードだよ。
「ごめんなさいね。ちょっとでもエンタメ性を出したくて。ほら、ジョセフィーヌちゃんもよく『
「良い意味じゃないと思う。たぶん」
「それは、さておき――本編でも触れられてたけど、このカードの効果は、少々複雑になるわ。以下、補足として書いておくわね」
・選択したスペルカードの効果をコピーするものであり、発動条件やコストはコピーしない。そのため、元のスペルカードに発動条件や発動するために支払うコストがあったとしても、その条件を満たす必要はなく、コストを払うことなく発動できる。
・インタラプトではない通常のスペルカードは自分のターンのメインシークエンスにしか発動できないが、このカードの効果はインタラプト扱いなので、選択したスペルカードがインタラプトではなかったとしても、自分のターンのメインシークエンス以外のタイミングで発動することができる。
・フィールドスペルも選択可能だが、「発動や効果を無効にされない」「発動に対してインタラプトされない」性質は効果ではなく、フィールドスペル自体が持っている特性なので、この効果でコピーした場合には適用されない。
・このゲーム中に発動することなく、直接デッキや手札から墓地に送られたスペルカードは選択することができない。
「――とまぁ、こんな感じね。ところで、聞きたいことがあるのだけど」
「何でも聞いて」
「このカードというより、ユニゾン・スピリットそのものについてね。まず、
「分離して、元の素材となったカードに戻る。また、
「そうなのね。手札やデッキには存在できない……ゲームから取り除かれた場合も、同様の処理になりそうね」
「肯定する。ユニゾン・スピリットは、ゲーム中のフィールドまたは墓地にしか存在できない」
「なるほどねぇ……」と、ウルカは思案した。
「あと……これは
《
「それは、今後の展開のお楽しみ。良くないよ、ここでネタバレするのは」
「あら、そうなの。じゃあ今回の『プレミアムカードの殿堂』はここまでにするわね。次回は第四章『[呪詛望郷歌・歌仙大結界『百人一呪』]』でお会いしましょう」
ザイオンXは、くるりと回ってメイド服のロングスカートをひるがえし、エプロンドレスに包まれたずっしりと豊かな胸元に手を当てた。
「ちなみに本機はマスターのお世話をするために、メイドさんになるよ。この衣装は次回からのコスチューム。これもテコ入れ。小説とは、パンとサーカス」
「あ、そこはネタバレするんだ!?」
「次回予告でのネタバレも、よくあることだよね。カードゲームでは」
(本編に続く!)
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