恋するニキビちゃん

恋するニキビちゃん

私のおでこにニキビができていた。

日に日に大きくなっていく気がして、潰してしまおうかとも考えたけれど、痕が残るのもなぁ、と思いとどまった。

スキンケアには気をつけていたはずなのに、とブツブツ言いながら、念入りに化粧をして、ニキビを目立たないようにコンシーラーを伸ばした。

よし、今日の私、完璧！ニキビ以外は。

昨日はたっぷり寝たし、コンディションも最高！ニキビ以外は。

今日は待ちに待った、片想いのX君とのデートなのだ。

といっても文化祭のクラスの出し物に必要な買い出しなのだけど。

あわよくば頑張って告白できたらいいな。

浮き足立った私は待ち合わせの30分くらい前に待ち合わせ場所についてしまう。

X君が来た！

「おはよ『好きです！』」

私のおはよう、に被せて私の額から声がした。

ニキビ？ニキビが喋った？

その次の日、おでこのニキビは消えたけれど、右頬にニキビができていた。