Fin.

 今夜、夜明け近くに、星の雨が降るでしょう。

 激しく炎を吹き上げながら、触れたすべてを焼き尽くすでしょう。

 風は乱れ、かすかな音の波すらもさらっていきます。

 迫る暗闇が、建物の森に灯る明かりをかき消し、飲み干します。

 人々はそらを行く船へと、海の底の底へと逃れ、街から姿を消しました。


 地上にはどこへも行かないものたちだけが残りました。

 どこへも行かず、その場所で。

 かれらはかれらであり続けるでしょう。

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星の降る日に 阿木ユキコ @akikimory

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