黒猫みんとのおやつ大作戦!

みんと

おやつが欲しいにゃあ

 僕はみんと。

この家で人間たちと暮らしているもふもふな黒猫だよ!

妹猫と気ままに遊んで、ご主人様たちにかわいがってもらってる。


 そんな僕は今、おやつが食べたいんだ。

だけど餌入れはからっぽ。

夕飯までまだ時間があるけれど、おなかがすいたよぅ。

二階にいるご主人様におねだりしたら、おやつをくれるかにゃあ?

ご主人様は僕に甘いから、きっとくれるよね!

ちょっと二階に行ってみよう!


 二階に駆け上がると、ご主人様はお部屋で絵を描いてたよ。

だけど僕が傍に寄ると、すぐに気付いてくれたんだ。

僕はそんなご主人様をじーっと見上げて、おやつが欲しいと訴えてみる。

ついでににゃあと鳴いて、足元をすりすりしてあげると、ご主人様は僕の言いたいことが分かったらしい。

笑って立ち上がるご主人様を見た僕は、嬉しくて、すぐさま部屋を飛び出した。


 さっき上って来たばかりの階段をダダッと降りて、すぐ傍にある餌入れの前で僕は待つ。

早くおやつが食べたいにゃあ。


 なのに、ご主人様はなかなかやって来ない。

不思議に思って階段の方を覗き見ると、階段の上でご主人様がそっと僕の様子を窺っている。

あれ? おやつをくれるんじゃないのかにゃあ?

あっ、お部屋に戻って行っちゃった!

待って、僕はおやつが食べたいんだよぅ!


 なぜかいなくなったご主人様を追いかけて、僕はもう一回階段を駆け上がった。

すると、僕が来るのを分かっていたように、ご主人様は廊下に立って笑っている。

まったく、僕で遊んでいたんだにゃあ~!

僕はおやつが欲しいんだよ。ほら、早く下に行くこう!


 ご主人様を急き立てると、今度は階段を一段降りてくれた。

だけどもう同じ手は食わないよ、ご主人様!

僕は階段を三段だけ降りて、ちゃんとついて来ているか確かめるように振り返る。

また戻っちゃったら嫌だもんね。

そう思って見上げると、今度はちゃんとついて来た。

もう何段か降りて、もう一回見てみよう。

うん、ちゃんと来ているね。

今度こそ、おやつをくれる気になったのかにゃあ?


 階段を降りた僕は、餌入れの前にちょんと座って、ご主人様をじーっと見上げた。

さあご主人よ、その餌袋に入っている、美味しいカリカリをちょうだいにゃ。


 そう思ってじーっと見ているのに、ご主人様はなかなか動かない。

今おやつを食べたら、僕が夕飯を食べなくなるんじゃないかと心配しているんだにゃ。

夕飯はちゃんと食べるから、さあ、おやつをちょうだいよ!


 我慢できなくて足元をすりすりしていると、今度は向こうから妹猫がやって来た。

妹もおなかすいていたのかにゃあ?

でも、僕らが揃えば最強だよ!

僕らのアピールに、ご主人様が抗えるはずがないよね!


 ダメ押しのようににゃあと鳴いて待っていると、ご主人様は「ちょっとだけだからね」なんて言って、僕たちにおやつをくれたんだ。

やったぁ! おやつ大作戦は成功だ!


 さ、あとはお部屋に戻っていいよ、ご主人様。

眠くなったら、今度はなでなでしてもらいに行くからね!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

黒猫みんとのおやつ大作戦! みんと @minta0310

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ