『灰』の異端審問官/舞竹シュウ

◆作品URL

https://kakuyomu.jp/works/16817330667631810050


◆レビュー

「少女は安らぎを得るため、人形から人間になることを望む」


主人公である少年と実験台として囚われていた少女が時に手を取り合い、時に対立して未来を紡いでいくお話です。

主人公はある意味チートキャラにあたるのですが、主人公が目指す異端審問官に対しては適性がないという複雑な状況になっており、いわゆるチート適性は別にある、というパターンの設定になっています。

違いとしては、主人公が適性を知っていて、それでもなお適性の無い道を進もうとしている点でしょうか。


読者に響くかどうかは、この点がマッチするかどうかによるかなと思います。

とはいえ、ストーリーの流れはスムーズで、表現が詳しく描かれているため、場面のイメージなどはしやすく、話の流れを追うのは比較的容易かと思います。


ただ、一方で、説明が過剰になっていると思われる部分が、特に説明に寄りがちな序盤に多く、ここで離脱する人が多くなりそうにも感じました。


例えば1話目の冒頭で「監獄のように」と例えているので、ここはシンプルに「飛行船の中であること」と「星明りが内装を照らしていること」と「部屋が監獄のようであること」を言えば十分にも感じました。

窓の厚さなどは、その後で窓を割る時に説明するのでもよく、ベッドとトイレだけというところは、監獄のようである、と言えばイメージはできるのかなと感じます。

他にも、「夜空に浮かぶどんな星よりも美しい透き通った色をした水色の鋭い瞳が特徴的な思わず魅入ってしまう程の美しい顔」の部分ですが、「色をした水色」であったり、「美しい」が2回出てきたりして、やや表現がくどいようにも感じます。

ここだと、2回目の「美しい」は「思わず魅入ってしまう程」で説明されているので、無くても通りますし、「色をした」はおそらくない方が良いかなと感じました。


また、描写する際に一文が長くなっており、ある程度の説明で切ってしまった方が読みやすくなるのではと感じました。

例として、先ほどの少女の描写についても、髪、瞳、顔など、パーツごとにまとまった形で説明した方が良いかなと感じました。


あとは、最初の思考の前に自身の容姿についての記述を持ってきて、その後に思考を巡らせるの記述、その後に思考を入れた方が良いかもと感じます。

というのも、2つ目の思考の前までは3人称視点(少女)がそれ以降1人称視点(自分)に変わっているため、最初の思考を区切りにした方が視点の変化に違和感を感じにくいように思われます。

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