マジックアイテム編
新素材と鍛冶
第11話 ビキニアーマー完成
確実にヤバい女スパイに協力するというのは外国勢力とつるんで国を滅ぼす売国にならないかとヒヤヒヤしながら並木は錬金術師の誇りをかけてビキニアーマーを仕上げる。
ビキニアーマーとは水着のビキニのように胸と股だけに装着する防具で通常ならば防具たりえない。しかし並木のは違う。全身に渡る防御が付与され、攻撃の運動エネルギーを局所の熱エネルギーに変換し破損箇所を融解再結晶焼入れ焼戻しを経て自己修復する。装着と同時に何もないように見えるところでさえ薄いベールのようなものが覆い、相当な強度を持つ攻撃も吸収し、自己修復で余る分は攻撃におつりを返す。
並木のビキニアーマー自体は攻撃能力は皆無であり、これを誰かに与えるということになんの問題もない。しかしこの女スパイ、射撃は超一流のようで、こんな防具与えたら誰も止められない。せめて武装解除を条件に防具を与える事にしないととも思うが、解除された武装のやり場に困る。文字通り戦争でもおっぱじめる気かという弾薬量を持ち込んでいる。これを一つづつもみもみほぐすにしてもめちゃくちゃめんどくさい。
「これを譲渡するうえで、いくつか約束してほしい。」
「なんなりと。もうわたくし身も心も並木さまに捧げました身の上。並木さまの盾となり剣となります。尾行、つきまとい、素行調査、嫌がらせ、破壊工作、脅迫、暗殺、後始末なんなりとお命じください。」
「いや……盾になってくれるのはいいんだけど、剣になるのはやめてな。人が死にそうだから。」
そもそもスパイの舌先三寸を信用できるかってんだ。しかもお役に立ちたいといってできることがそれかよ……絶対に利用したくないわ!
「お願いだからつきまとわないでくれ。」
「はい。並木さまに必要になる汚れ仕事はすべて私の独断でおこないます。並木さまとの雇用関係や指揮命令系統はありません。並木さまに向けられる悪意はこちらの判断で事前に排除させていただきます。並木さまが預かり知らぬところで、たまたま邪魔者が消えている形とします。」
坂本が大型拳銃をサッと構えて見せる。並木がドーッと冷や汗を流す。余計まずい話になりそうだ。それもスパイの心理作戦だ。無視無視。いや、ここは折れて暴挙に出る理由を抑えるために形式的にでも配下ということにしておくほうが良いのか、それは問題を先送りしているだけなのかもしれないが、突然の殺人事件が起こされるのは本当に勘弁してくれ。いや、対抗するためにヒールを仕入れまくるという手もあるが……。
「人を殺めることなかれ。守れるか?」
「絶対ということはありませんが前向きに善処します。」
あぁ、これ守る気ないやつだ。
「わかった。オレの許可なく人を殺めることなかれ。またオレを脅迫あるいはそれに類する形で取り付けた許可は無効とする。これでいいか」
「ハイ!」
全く信用できないがとりあえず危機は先送り出来た。しかしこのとき並木は気付いてなかった。事実上の禁止に持ち込めたのは殺害だけで、尾行も嫌がらせも脅迫も破壊工作も後始末さえ禁止し忘れているということに。
これで本当に信用できるヤツだったらいいんだが、三重国籍で大量破壊兵器開発リーダーと人間性疑う経歴の持ち主だ。全く信用してないし、これから先も信用するつもりもない。万が一のとき責任は……取れる。止められるのは並木だけだが確かに一つだけ切り札となる抑止力がある。二度とやりたくないが
もみもみ魔術だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます