十八歳の卒業歌 💐

上月くるを

十八歳の卒業歌 💐



春浅し山の向かふへ雲しきり

道に添ひ鉄路もカーブ風光る


連山のはなだに溶けて種選

山の湖あをあを湛へ畑打つ


水仙のつぼみ四つや雲奔る

玉柘植に一枚の雪残りたる


デージーや大きな顔の犬に似て

黒犬のジャンプの鋭しや春の虹


活き活きと雀らあそぶ春田かな

木の根明く地下に熱のある如く


「十八の壁」のやうやう卒業歌

不平等に不条理不可避卒業証書


春コート蝶結びせしベルトかな

春装を見せに行きたき人のあり


撫肩を労はるやうに春ショール

閑居して外を見てゐる春なかば


どこからか土の匂ひや花菜漬

もてなしの桜湯ひそと開きゆく


人はみな哀しみの壺オキザリス

バンクシーの赤い風船戦地の春




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十八歳の卒業歌 💐 上月くるを @kurutan

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