あーなるほど

双葉紫明

第1話

わたしは怖れている。

あの噂、本当なのかな?

遅刻ギリギリ、校門が閉まる時。

滑り込んだらあの世逝き。

とっても痛い思いをするんだって。

「ゴーモンみたいじゃん。だったらサボるが勝ちよ」

友達のヨーコは、時々学校休む理由をサラリとそう言った。

わたしはかたい方だから、少しユルい感じの彼女とは違う。

そう思ってたんだ。

ところが。


わたしは急いでいる。

まさか、このわたしが?

間に合わない。

もう、一刻の猶予もないんだ。

世の中は不条理に溢れている。

誰かに起きた、残虐な仕打ち。

何の罪もない。

それなのに。

世の中の決まり、単なるタイミング。

早くしないと、でも、前の人が。


ガチャ

開いた扉。

ヨーコ、オノ。

「あ、ごめん、ちょっと腹壊してて」

無言で押し退け、鍵を閉める。

ああ、急ぐとスムーズにいかない。

焦り、滲む脂汗。

よし、ああ、あのズボラな小野さん、丁寧に蓋をして。

蓋を上げ、座る態勢、今は真冬、たくさん履いている。


まるで音速。

いや、光の速さか?

わたしの動作も尋常ではない。

ああ、それなのに。

ビシュウ

勢いがついた門が、殺人的な威力で襲いかかる。

南無三、諦めるな。

すり抜けるんだ。

だって、こんなこと社会的にユルされない。


ビシャア、ブリッ、ブリッ、ぶーううっ

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あーなるほど 双葉紫明 @futabasimei

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