第二話 ナンパだ〜
「誰か、助けて!」
女子がそう言った瞬間、俺の体は勝手に動いていた。
「おいお前たち、ここで何してんだ。」
「は?誰だお前、こいつの知り合いか?」
男はオールバックの厳つい顔を俺に向け、そう言った。
男はなんというか威圧感が凄く、俺は今にでも逃げ出したくなった。
しかし助けに来てしまったからには、この男から女子を守らなければならない。
「いいや、今日初めて会ったばかりだ。」
俺は震える声で答えた。
「なら俺たちがこの子と何をしようと関係ないよな?」
「はぁ。」
おそらくこの男たちには、話が通じ無さそうだと思った俺は、男たちに向けてこう言った。
「あ、UFOだ。」
俺は男の後ろを指さす。
「え。」
男は思わず後ろを向く。
俺はその隙に男の股間を蹴り、女子の手を引いて人通りの多い道へと走った。
男たちは目立つのを嫌ったのか、「ちっ」と舌打ちだけをして、暗闇の中へと消えていった。
意外に上手くいってよかったと俺が安心していると、
「あ、あのっ......さっきはありがとうございました。」
と先ほどの女子が俺に感謝を伝えてきたようだ。
俺はなんでもない感を出そうと変に意識してしまい、
「ああ、これくらい余裕だよ。」
と思わずカッコつけてしまった。
恥ずかしい、死にたい......。
それはそうと、本当にこの子可愛いな。男がナンパしていた気持ちが分かった少しだけわかった気がした。
この子、遠くから見ても分かるほどに紛れもなく美人だ。
年齢は俺と同じくらいといったところで、落ち着いて清楚な大人っぽいタイプの人だ。
さらになんと言っても一番の魅力は、服の上からでも分かるほどに育った胸だろうと、翔琉は心の中で評した。
「えっと......暗い路地裏を女子一人で歩いていたら危ないから、もう通らないようにしなよ。」
少し気まずくなり居心地が悪くなった翔琉は、お節介だけは焼いておこうと思った。
でも実際、翔琉もあそこまで簡単に助けられるとは思っていなかった。
今回の相手は見た目だけの弱いやつで助かったが、もし強いやつにナンパされていたら、武術を習っているような人でしか対処出来ないだろう。
「はっ、はい!」
女子は頷いて、大人しく家に帰っていった。
翔琉も家へと向かい歩き出した。
だが、翔琉はこの時助けた女子が美人生徒会長だと気づいていなかった......。
陰キャぼっちの俺が何故か美人生徒会長に好かれている件 高橋 チトセ @takahashichitose
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