第11話シルル
クロロが亡くなった前後、わが家は一番慌ただしい時期でした。
父の看病から看取り、しばらくして母の言動に変化が起こり認知症の疑いが出てきたり、私自身も毎日バタバタ慌ただしくしていて、気持ちに余裕がなく疲れていました。
そんな中で、ふと猫が欲しいなと思ってしまったのです。
私にとって猫は癒やしで、心のよりどころでもありました。
ただ、猫を飼うと言っても、命を扱うわけですから安易な気持ちではいけないと思います。
私も年を重ねてきました。猫の最期を看取るまで十年、十五年と一緒に暮らして行くとすると、その時の私の年齢を考えた時、ちゃんと世話ができるのはこれが最後のチャンスになるだろうと考えました。
「最後に、ずっと憧れていた大きな猫と暮らしてみたい」そう考えてしまったのでした。
それから半年余り、ブリーダーさん探しがはじまりました。
自宅からお迎えに行ける距離のブリーダーさんで、猫に愛情をもって育てている人柄が良い人。
インターネットのある時代で幸いでした。
なかなか近距離でという条件は難しく、それでも車で片道二時間くらいのところで、生まれたばかりのメインクーンの男の子を迎えることができました。
乳離れしてキャットフードが食べられるようになるまで、ブリーダーさんから送られてくる写真や動画を見ながら心待ちにしていました。
笑われてしまうかもしれませんが、まさに我が子が生まれるような気分で、猫グッズを用意して指折り数えていました。
▼シルルの子猫時代と現在(近況ノート)
https://kakuyomu.jp/users/kukiha/news/16818023213975218426
シルルは今年二月十五日で八歳になりました。
わが家に迎えた時は片手に乗せられるような子猫でしたが、いまでは重くて持ち上がらないほどの大きな猫に育っています。
彼との生活はとても刺激的(笑)
これまでの猫たちとはひと味もふた味も違っていて、扱いが難しく、戸惑うことも多くあります。
気持ちの優しい子ではあるのですが、独立独歩。神経質で怖がり。気に入らないことがあると攻撃的になることもあります。
一度、動物病院で助手さんを噛んでしまったことがあって、クロロの時は親身になってくれた行きつけの獣医さんには、「この子が病気になっても治療をする自信が無い」と見放されて、とてもショックでした。
シルルが来て半年ほどした頃、私の病気か発覚して入院手術となり、それから数ヶ月くらい入退院を繰り返していました。
そのため、成長期にじゅうぶんにシルルと寄り添えなかったことが原因かもしれないとも思います。
退院してからは、シルルが近くに来たときは、嫌がられない程度に、できるだけ撫でたり触ったりして、人の手になれてもらうようにしています。
最近ではようやく、気持ちが通じ合ってきたかなと感じるようになってきました。
ともあれ、シルルとの生活は驚きの連続であり、楽しいこと、おかしいこともたくさんあります。
手のかかる子ほど可愛いと言いますが、おかげさまで彼に振り回されながら幸せな日々を送っています。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます