【記録】

 シェケムの民から現れた一人の青年によって、新フィリスフィア人の兵器GORIATHは撃破された。以降、新フィリスフィア人は一気に態勢を崩され、撤退を迫られた。南下して直接聖地奪還を目論んだ一派は全滅、他アフリカ方向へ逃げ込んだ新フィリスフィア人の一部も、海戦の中で命を落としたとされる。

 かの青年によるGORIATHの撃破は神の奇跡とされ、シェケムの民の次の王位に就くことが決まった。以後王位継承に紆余曲折の内乱を経て、聖地はシェケムの王の所有となった。シェケムの王国は、後数千年にもわたる宗教派閥に大きな影響を残した。

 かつての新フィリスフィア人の港湾都市は完全に解体された。もっとも、利用するほどの物的及び文化的な遺産は、何一つとして残っていなかった。

 GORIATHについて、残骸から調べると、搭乗者は一人の青年であった。そしてなんという奇遇か、戦った二人の青年は全く同い年だったのである。

 それから、半裸の青年によるGORIATHへの勝利は「弱者が強者へと一矢を報いる仮令」という慣用句として用いられることになる。力を驕り神を嘲る人間は、貴き信仰には遠く及ばないのである。


 ちょうどそれから間もなく、エジプトに数百年ぶりの国営図書館が作られた。文化的な運動に乏しかった新フィリスフィア人についての文献も多く残され、その中には、GORIATHとそれに乗った青年についての一冊が残されているらしい。

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【GORIATH】 birdeater @birdeater-Oz

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