願いを叶える宝石店
鈴鹿 一文(スズカカズフミ)
第1話 願いを叶える宝石店
「願いを叶える宝石店」
登場人物
中島太輔(20)大学生
唐船蓮也(からふねれんや)(20)中島の親友
阿見寺凛(あみでらりん)(20)軽音部のアイドル
西邑水無月(にしむらみなづき)(30)宝石店店主
○宝石店・中
西邑水無月(にしむらみなづき)(30)。
手紙を見ている。“浮気した
彼を殺して欲しい”と
書いてある。
水無月「承りました」
○大学・学食
中島太輔(20)カツ丼、
唐船蓮也(からふねれんや)(20)おでん食す
食事を止めて、阿見寺をみる。
○大学・学食・阿見寺の席
サラダを食す阿見寺凛(20)
○大学・学食
唐船「太輔、軽音部のアイドル、
阿見寺凛がサラダ食ってるぜ」
中島「愛しの君・・大好きだけど、
僕にはC Gアイドル並みに遠い
存在だよ」
唐船「話した事もない女を好きに
なる心理、俺には理解できない」
中島「蓮也は彼女いるんだろ」
唐船「まあな、俺にはできすぎた
女だよ、真面目すぎて飽きた」
中島「蓮也はそんないい加減なの
に、ずっと彼女がいるんだ?」
唐船「さあね、いい加減だから
だろ、太輔は真面目すぎんだ」
中島「女というものは、真面目な
男は嫌いか?」
唐船「普通の女は、付き合う時、
すでにどうやって別れるか
想像するらしい、俺みたいな
いい加減なら、別れるのも、
付き合うのも簡単そうだから、
気軽に付き合えるんじゃないかな」
中島「なるほどね」
唐船「太輔は、別れたらストーカー
になりそうだもんな」
中島「確かに、そうかもな」
唐船「そこは、笑って否定する所
だろ。そこが真面目だってい
うんだよ。真面目イコール
重いんだ。女は重い男を嫌がる」
中島「そうか、僕は重いのか」
唐船「そうよ、男は、女が浮気して
も気にしないくらいでなきゃな」
中島「僕に彼女は不可能だな」
唐船「軽音部のアイドル、阿見寺
凛、まあ、だめ元で
アタックしてみろよ、もう
すぐ彼女誕生日らしいぜ、応援
するよ。俺は好みじゃないがな」
中島「なんで彼女の誕生日知っ
てんだ?」
唐船「俺、クラスの女子全員の
誕生日と血液型記憶してる。
しかも、阿見寺は文化祭の
実行委員で一緒だからな」
中島「すごい」
唐船「プレゼントでも送って
みろよ、これ彼女の住所。下着姿で
ベランダでよく洗濯物干してるぜ」
○宝石店・中
中島、宝石店に入る
店員、水無月登場
水無月「いらっしゃいませ、どんな
アクセサリをお探しですか?」
中島「誕生日プレゼントで・・す」
水無月「その方は、アクセサリを普段
つけられますか?」
中島「バンドでは・・つけるみたい
ですが、普段はジーンズ姿で・・」
水無月「そうですか、でしたら、
こちらなどどうですか?」
水無月。シンプルな近細工の
イヤカフを持ってくる。
西邑「普段アクセサリつけない方
なら、シンプルで、飽きのこない
イヤカフなどどうですか?これ
は金細工なので、素材そのもの
にも価値があります」
水無月、髪をかきあげて
自分の耳からイヤカフをとる。
水無月「こんな風に、耳に挟んでる
だけだから、穴を開けなくても
簡単に取り外しできます」
中島「じゃあ、これください」
○宝石店・中
水無月「ありがとうございます、
綺麗に包みますね」
西邑、微笑みかける。
中島「あの・・これ、相手の
家まで直接送っていただく事
できませんか?
水無月「え・・?」
中島「実は、相手は恋人でもなん
でもなくて・・ただ僕が一方的に
好きなだけで・・」
水無月「私個人的に思うのですが、
相手は憧れでもなんでも、
直接お渡しされた方が良いと
思いますよ」
中島「そんな勇気・・ありません」
水無月「勇気はこの子が与えて
くれます。自分でお渡しください」
○宝石店・外
水無月中島を見送る
中島、店を出る。
○家・中島・外
中島「行こう、阿見寺さんの家に」
○マンション・凛・外
中島、凛の
のマンションの前。唐船の
赤い、マツダRX7が停車。
中島「赤いR X7・・蓮也の車か?」
○マンション・凛・外
凛の部屋を見上げる中島、
凛の部屋に電灯が付いている。
目の前で電灯が消える
中島「蓮也、嘘だと言ってくれよ・・」
○マンション・凛・外
中島、無言で引き返す。
○大学・学食
中島、カツ丼、唐船、おでん
食す。
中島「蓮也、率直にいう、
阿見寺さんの誕生日の夜、
彼女の部屋にいたか?」
唐船「その質問に率直に答える
ならば、イエスだ。朝までな」
中島「蓮也・・てめえ、彼女いるだろ」
唐船「俺は欲しいと思った女は
手にいれる。恋なんていわば
ゲームだ。凛は最高の女だった
ぜ、あそこもな」
中島、握り拳を作る。
中島「蓮也、長い付き合いだが、
今日限りだ!」
唐船「なんで太輔の彼女でもない
女に手を出して、キレられるのか、
俺にはわからない、そんなの
ただの逆ギレだろ」
中島「もういい、話にならん」
中島立ち上がる。
○宝石店・外
中島、宝石店の前を歩く。
水無月、声をかける。
水無月「この前のイヤカフ、渡せ
ましたか?」
中島「色々あって渡せませんでした」
水無月「信じる信じないは貴方
の勝手だけど、このイヤカフを
渡すと100%恋が叶うのよ」
○大学・学食
中島、サラダを食べる。
イヤカフの小箱を出す。
中島「とにかく、これを渡そう」
トマトにフォークを突き刺す。
○マンション・凛・外
赤いR X7停車している。
中島「唐船、また来てるのか」
窓の電気ついている。
○マンション・凛・外
中島、エントランスの
インタホン鳴らす。ドア開く。
○マンション・凛・中
ドアがあき、中島入る
中島「阿見寺さん・・お誕生日・」
血のついた包丁を持つ凛。
倒れる唐船。
凛「蓮也くんが、私はただのセフレ
だって・・で咄嗟に・・」
凛、中島に抱きつく。
凛「私を助けて」
中島「阿見寺さん大丈夫、君は何も
していない。これは僕がやった」
○宝石店・中
西邑水無月(にしむらみなづき)(30)。
手紙を書いている。
“貴方のご依頼完遂いた
しました”と書く。
水無月「素敵な恋が一つ実ったわ」
終わり
願いを叶える宝石店 鈴鹿 一文(スズカカズフミ) @patapatapanda
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