アルケニー・プロファイル3【カクヨム版】

釣ール

ワタシたちは誰かの手に乗ることはない

 捨てられていた本と呼ばれる人間が書いた話があった。

 人間はこんなものまで読んですがっているくせに競争も開発もやめることは出来ないか。


 少し前に仲間内から聞いた本の話では「おっさん」と呼ばれる人間の形態が世界を救って好きな願いをかなえているらしい。


 あとは他の人間、同種族を馬鹿にしていた内容だった。


 今も昔もどの本も我々クモたち側には立ってくれない。

 網を張るか土に潜るか、または水の上を歩いたり水の中で巣を作る様々な国にいるクモ達に…いや、これも人間による情報だけだ。


 実際に他の国まで糸を使って移動しようにも人間がいる限り妨害ぼうがいは続く。


 クモがここまで生き残るというのは難しい。

 産まれた時のことを分からず他の生き物の肉を食って成長してしまった自分達も変わらないのかもしれない。


 ただ人間は知らない。

 自分達生き物が誰の手の上にもいないことを。

 他の何かで例えたところで意味はない。


 もちろん自分達の生存したことさえ誰も覚えてもらえはしないだろう。


 人間が作ったコンクリートに牙をあてても溶けやしない。

 地球が自分達クモを小さく生きやすくした。

 それも、それさえも長くは続かないことを車に轢かれた仲間を見て明日の不安をあおられる。

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