●シーン19:普通で特別な(PC①)

●シーン19:普通で特別な(PC①)

◆解説

 PC①のエンディング。勝ち取った日常という普通へ戻っていった榛名愛花との日々を描写する。


▼描写

 君たちはあれほどの戦闘と出来事に巻き込まれた。そのお陰で少し特別になれた気もする。

 しかし、どれだけ特別になろうとも、普通の日常はやってくる。

 特別な存在だからこそ、日常は得難く輝かしいものになるのだろう。


 PC①。君は学校を訪れている。これは潜入などの仕事ではなく、単純な学業のためだ。

 平凡なホームルームを終えた後に支部への道を歩もうとして、ふとその時目についたもの。それは――


▼セリフ:榛名愛花

「ぁ、PC①くん(ちゃん)。お疲れ様」


 この学校へ転入という形で入学した、榛名愛花の姿だった。


▼セリフ:榛名愛花

「学校、すごい久しぶり。まだ馴染むのには時間かかりそうだけど、それでもやっぱり楽しい!」

「先生も優しいし、同級生たちも優しくて。……一瞬、自分が化物だって忘れそうになるくらい」

「やっと、帰ってこれたんだなって実感できた」


(PCの反応を待って)

「本当にありがとう。あの時、助けてもらえたのがPC①くん(ちゃん)で良かった」

「一緒に帰ろう、PC①くん(ちゃん)!」

「あ、帰りは“買い食い”とかする? 学生の特権!」


 今の愛花はあらゆる事が眩しくて尊いもののようだ。つい先日も寄り道と騒いでいたのを思い出す。

 あれだけ平凡であることを疎んでいた筈なのに、今はそれが輝いて見えた。


「あぁ、でも“図書館で勉強会”もしたい……ううん、急がなくても良いんだよね」

「そう、また今度すればいいの」

「――“また今度”って、素敵だね」


 日常を謳歌できることの尊さを誰よりも理解しているからこそ、噛み締めてしまう。

 これこそが彼女が心の底から望んでいた欲望ねがいだったのだから。


▼セリフ:榛名愛花

「それじゃ、PC①くん(ちゃん)のおすすめ買い食いルートへレッツゴー!」

「今まで出来なかった分も楽しまくちゃ!!」


◆結末

 PLにやり残したことはないか確認し、問題なければ以下の描写を挟んでシーンを終了する。



 並んで歩く愛花の横顔を見ながら、君は今回の出来事をふと考える。

 ――アナムネシスによる事件録。アナムネシスメモリー。

 それは厄災の種火か、それとも次の進化ネクストステージへの招待券か。

 これからの世界がどのような変革を迎えるとしても、君にはひとつの確固たる確信がある。

 自分に世界を左右する力があろうとも、なかろうとも関係ない。


 勝ち取ったこの普通で特別な日常を過ごしていくのだ。

 他の誰でもない、彼女の隣で。


 昨日と同じ今日。今日と同じ明日。それを夢見た少女は願いを叶えた。

 この結果が、アナムネシスによって齎されたのかどうかは分からない。

 だがもし、これがアナムネシスの働きによるものなら、

 そう遠くない未来で共に歩むことも叶うだろう。

 他でもない、君たちがそう望んでくれるなら。


  ダブルクロスThe3rdEdition

  『アナムネシスメモリー』


      ~fin~

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DX3rdシナリオ『アナムネシスメモリー』 misto @kazuhaya1065

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