第5話 沈黙

 隆はそんな洋一を見て、笑う気にはなれなかった。

 休日に、勲おじさんを訪ねた。

「もしかして、大事件が起きようとしとるんじゃないですか。これから、社会はどうなっていくと思いますか?」

 疑問をぶつけた。


「分からん。アメリカではとうに農薬の害に気づいとる。女性の学者が『沈黙の春』という本を書いたんや。環境汚染によって、鳥がさえずることのない春がめぐってきた、という書き出しや」

 隆と洋一、修司は言っていることが分かる気がした。

「難しいなあ。現に起きとる現象から、目をそらしたり耳をふさぎたがる者もおる」

 勲おじさんは考え込んだ。


「そうや。みんなで沈黙の春に会いに行こうか」

 少年探偵団を連れ、勲おじさんは暗い杉林の中に入って行った。

 まるで山火事でも起きているかのように、花粉が棚引たなびいていた。

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続 村の少年探偵・隆 その12 汚染 山谷麻也 @mk1624

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