第7話 転生と転移のわけ
◆天上界◆
天使長が神にひそひそ話している。
「ゼウス様、例の子ですがどうしてあんな世界に転生させたのですか!!酷いですよ!!」
「そんなつもりはなかったんだが、よく調べてなかった~」
「また調べもせずに適当にやったんですね」
「しょうがないだろ。夜のお勤めで疲れてるんだよ~」
「それとこれとは違うでしょ。お仕事に影響を及ぼすほどしないでください。このスケベおやじ!!」
「そう言うな!人の命はたかだか100年だ。我らにとっては一瞬だ。次回はなんとかするから今回は無かったことにしてくれんか」
「あの子の前世は『ジャンヌ・ダルク』ですよ。あなたがきまぐれに声をかけたから、結局異端審問にかけられ、まだ十代で火刑になったのですよ。反省してますか?それなのに今度は遺伝子操作された豚人の世界となった日本に人の姿のまま転生させて、悪魔かよ。サタンでもあんな酷いことしないわ。あんた神のくせにバカじゃないの」
「そんなに強く言わなくてもいいんでないの?儂だってまさか旧日本人が原子力放射能漏洩で滅亡しているとは思わなかったんだ」
「転生させる前に調べればわかるでしょ!」
「夜の勤めが……忙しかったんだ」
「もういい、エロ親父はそこで反省しときなさい。ヴィーナス様に相談してきます」
「ヴィーナス様お話があります」
「天使長なんの用ですか?」
「はい、バカ神がまたやってしまいました。しかも同じ魂にです」
「またやったの?もう神を辞めさせようかしら。それでどんなバカをやったの?」
天使長は事の次第をヴィーナス話した。
「かわいそうな子ね。2度も酷いことをするなんて。あとできつく叱っておきます。でも今のままではいけないわ。今の容姿で人のいる世界にそのまま転移させましょう。だけど、それだけではゼウスの失敗はあまりにも大きいわね。そうね、魔法のある世界に転移させてその世界で一番の魔力を与えましょう。彼女には少しでもこれからの人生を苦痛無く生きて欲しいわ」
「ありがとうございます。これで彼女も救われます。でもゼウス様はまたやりそうなので締めていただけますか?」
「いいわ。今からすぐに締めてくるわ」
「やあ、ヴィーナス。昨日ぶりだね。今日もがんばろうかな!」
「もう当分私の寝所に来ないでくださる!!」
「どうしてだ。毎日しないと儂は狂ってしまいそうだ」
「あら!100年位一瞬って言ったそうではありませんか?」
「あれは言葉の綾だ。本気にしないでくれ」
「だったら彼女が天界に昇天するまで見守りなさい」
「わかりまちた。せめて3日くらいにしてくれないかな」
「100年間来るなーーーーーーーー!!」
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校長室では話し合いが行われていた。
「ゴルドン様彼女は何者ですか?まず、あの木を見てください。詠唱もしないで魔法を発動して木が炭になってます」
校長が指さす方向をゴルドンが嬉しそうに見ている。
「それにこの数値学の問題ですけど、この教科書ですが間違って昨年の王立アカデミー特別クラスの超難関問題を載せたようです。数値学の教師もすぐには解けなかった問題です。それを式も書かないで答えを出したのです。それも正解ですよ」
ゴルドンは校長の顔を見ながら薄笑いさえ浮かべている。
「極めつけは科学の教科書のこの計算式の答えの間違いを指摘したのです。
これを書いたのは我国の最高科学者のニートン教授ですよ。教授に問い合わせてみたら彼女の指摘通りプラスの答えはマイナスが正解だったようです」
「ほほう。それはそれは。さすがジャバル様はすばらしい子を連れてきたものだ」
「あの子はどこのどんな子ですか」
「彼女は将来この国の柱になる方だ。丁寧な対応を頼むぞ」
「ええ、わかりました。で、彼女の素顔はどうなんですか?」
「見たらびっくりするぞ。そのときを楽しみにしておくがいい。ははははは愉快じゃ」
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