忘れられないあの名前。思い出せないあの旋律。
藤 ゆみ子
忘れたくても忘れられない。それが黒歴史
私はWeb小説の投稿を始めてまだ4ヶ月程ですが、小説を初めて書いたのはもう何年前かも思い出せない小学生の頃でした。
原本はもう灰と化して残っていません。内容も殆ど覚えていません。覚えていないというか、忘れ去りたいと思っていました。
イタすぎて、恥ずかしすぎて完結せずに途中で書くのを止め急いでノートを捨てたのは覚えています。
ただ、内容は殆ど覚えていないのに主人公の名前だけが何年たっても脳裏に蘇り当時の羞恥に今でも苛まれています。
内容を覚えていないと言いながらこれを書きながらなんとなく思い出してきてしまう始末……
主人公は天使の子どもで人間の少女になって何かする……的な話だったような気がしてきました。そして主人公の名前は
『天使小羽』あまつかこはね
姓が天使ってなに。まんまじゃん。
書くのを止めた当時も、物語の内容すら思い出せない現在も
天使の小さい羽ってなんだよ
って思っています。
今なら絶対に登場人物に付けない名前ですね。
(世の中の小羽さんという方いらっしゃいましたら本当にすみません……)
当時はライトノベル的な物もあまりなく、堅苦しい小説も殆ど読まず(何故か西村京太郎シリーズだけは読んでいた記憶があります)専ら少女漫画ばかり読んでいました。
昔から今に至るまでずっと胸キュンが大好物なんですけれども、母親が持っていた小学生向けではない漫画をこっそり読んで違う意味でドキドキしたりもしてました。
小学生の頃は毎月お小遣いでちゃおを買ってましたね。りぼんを買っていた友人と貸し合って読んでました。懐かしい。
最近本屋でちゃおを見たらもう当時のお小遣いで買えない値段になっていて驚きました。付録もなんかすごいですね。
話が逸れましたが、小学生らしいワクワクの内容とちょっと背伸びした恋愛を話に盛り込もうとしてイタ恥ずかしい内容の小説になっていたのだと思います。
同じ頃、歌詞やらポエムやらも色々書いていて、歌詞として書く時は音楽の知識は皆無なのにしっかり一番と二番の文字数揃えたりして大サビもそれっぽく書いて作っていました。
それを当時仲が良かった友人に見せると、次の日「曲つけたよ」とか言って教室に置いてあるキーボードで皆の前で歌われました。
ええ。恥ずかしかったですよ。かなり。
ピアノが出来る友人だったんですよ。一晩で曲作ってくるなんて天才ですよね。でも、小学生が作った曲ですからなんとも微妙なメロディーでした。本人には言えませんでしたが。
恥ずかしい歌詞をなんとも言えないメロディーで歌われる。周りからの反応は特に無し。私も反応に困る。勝手に歌った友人は満足気。穴があったら入りたいとはこういう事だな。と子どもながらに思いました。
子どもの頃の記憶って、嬉しい、楽しいことより恥ずかしいことの方が鮮明に覚えていますよね。悲しいかな。
そして恥ずかしかった記憶だけが残ってどんな歌になっていたか全く覚えていません。本当に。覚えていないというか、恥ずかしすぎたのと色々書きすぎていたのとで友人がどの詞を見てどの詞を歌ったのかすらもそれどころではなくて認識していなかったと思います。
黒歴史、と聞くと私は必ずこの教室でのワンシーンを思い出すのですが、たぶんクラスメイトの誰一人このことを覚えている人はいないと思います。
ちなみに歌った友人は隣のクラスで、わざわざこっちのクラスまできて歌って頂きました。彼女は覚えているのだろうか。
そんなこんなであまり思い出したくない思い出があるのですが、ついこの間、母から衝撃の事実を聞かされました。
「お父さんは昔からあんたたち(兄妹弟がいます)の部屋やさがししてなんでも見よったよ」
「はい?」
確かに子どもの頃、片付けた場所と違う場所に物があったりすることありました。
父はあの、極秘ノートをもしかしたら見ていたかもしれないという今更ながらの困惑羞恥憤慨の念が込み上げてきましたね。見たかどうかは絶対に聞きませんけれども。
そして現在、近しい人には誰にも言わずこっそりWeb小説を書いています。性懲りもなく歌詞っぽいものも書いています。もしかすればこれも将来的に黒歴史になるのかもしれません。
それでも匿名で、同じ嗜好の知らない人に読んでもらえる世界があるのはありがたいですね。
生きやすい世の中になりました(完)
忘れられないあの名前。思い出せないあの旋律。 藤 ゆみ子 @ban77
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます