日記には辛いこと、楽しいこと、色々書かれているけれど、どんなときも前向きに死に向き合う、強く美しい姿が印象的でした。近い将来自分が死ぬことを自覚しながらも、明日を楽しみにする気持ちは無くさない。もちろん日記は生活のごく一部であって、書かれていないことがほとんどだと思います。時には闘病中の生活を強く悔いて今すぐ死んで楽になりたいと思うこともあったかもしれません。介護だって、本人にとっても周りにとっても楽ではなかったと思います。けれど、最後まで読んで思ったのは、私ももし同じ状況に置かれたなら、同じように生きたいということです。作者、はお母様でしょうから、編者の後日談からも、周りを愛し、周りから愛されていたことが分かりました。
偶然にも舞台は私の地元でした。ほとんど全ての土地名や店名について、それがどこなのか、どんな場所なのか知っていました。日常の買い物や食事の描写からもリアルに様子が伝わってきました。だからか、特に大きな山場でもない日の、何気ない部分にこそ、生きる喜びや、死の覚悟への心の動きを感じられたように思います。
私自身が死を覚悟したとき、これをもう一度読みたいと思います。