戦力追加
Side 陸上自衛隊偵察隊
=ザターン襲来から翌日・早朝=
状況は悪化しつつある。
敵の降下艇らしき物から、敵の本拠地である円盤型要塞から次々と兵士や兵器が吐き出されている。
いまや侵略者の戦力は敵の兵隊クラスだけでも万を超えている。
その様子を遠くからチームを組んで望遠鏡で眺め、逐一報告する。
今の自衛隊にできるのはこれを上に報告して判断に仰ぐだけ。
どうにもならない絶望感を感じながらも任務を遂行する。
☆
Side 北川 舞
=同時刻・大阪日本橋・避難所の学校=
日本国民は大パニックに陥っている。
大阪から出来るだけ遠くへ。
国外に逃げる国民も出ているらしい。
そのせいで各種交通機関も麻痺しているそうだ。
この事態を見越してなのか、世界各国は入国制限をかけはじめた。
軍隊を送る様子もなく、実質見捨てられた形になるだろう。
ディフェンダーとして北川 舞はあるプランの上申をする。
世界中に散らばるヒーロー達の総力を結集し、脅威に立ち向かう計画。
分かりやすく言えば、ディフェンダー版のアメコミヒーロー結集計画。
名をスターアライアンス計画。
日本語で直訳すると星の同盟と言う意味だ。
星はヒーローの比喩表現である。
☆
Side ディフェンダーズ X長官
=太平洋上空・ネストベース・コマンダールーム=
ネストベース。
いわゆる空中要塞だ。
あのアメコミ映画に出て来る空飛ぶ空母である。
そこにはヒーロー達が招集されていた。
リストアップされているヒーローは二桁には届かない。
まだ十代半ばの少女までいる。
招集された日本のヒーロー達のある程度の情報を渡されていた。
その中には当然、闇乃 影司や谷村 亮太郎だけでなく、スターレンジャー、エンジェリア、ヤミノ博士などのデーターもあった。
ディフェンダーズの長官X――Xの文字が刻まれた覆面をつけた見るからに怪しそうな男は集まったヒーロー達に言う。
「与える命令は簡潔だ。日本に行って宇宙からの侵略者ザターンを倒せ――だ」
「在日米軍はどうしてる? 日本軍は?」
ヒーローの誰かが尋ねた。
「米軍は今のところ静観の構えだ。日本の軍隊は遠巻きに監視していたが敵の先制攻撃で壊滅。現在戦力を再編中だ」
と、長官Xは説明する。
日本軍を自衛隊だとわざわざ訂正しないのは話が逸れるし、自衛隊の複雑な事情を説明する場でもないからだ。
「現地のヒーローは?」
別の誰かが尋ねた。
特別な存在をここでは強引にヒーローのカテゴリーに押し込んでいる。
異世界帰りの勇者であろうと、並行世界からやってきた自称悪の科学者だろうとだ。
「現地のヒーローは戦闘中だ。日本各地にまだいるヒーロー達も出来うる限り招集中だ」
「敵の目的は?」
「不明だ。世界各国の首脳陣は一種の陽動作戦を警戒している。だが敵の戦力は日本の首都から遠く離れた地方都市近くに一極集中し過ぎている。目的や行動原理は不明だが、敵の本隊とみて間違いない」
と、X長官は語る。
ヒーローの一人が「その予想が当たっている事を祈ろう」軽口気味に言い、X長官も「私もそう願いたいものだ」と語った。
宇宙戦士スペースVと大阪日本橋 MrR @mrr
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