第10話 4日目 城山公園、坊ちゃん列車ミュージアム

午前6時、起床。

ゆっくり眠るつもりだったが、やはり早めに目が覚めてしまう。


コーヒーを作り朝食に昨日買ったパンをいただく。

アップルパイはリンゴがギッシリと詰まっているが、カスタードがあまり強く主張をせず甘さは控えめ。

美味い、確かに美味い。

だがこれならコーヒーより紅茶の方が合ったかもしれない。


ベーコンパンは塩味が抑えめで、一緒に入っているポテトがいいアクセントになっている。

これはコーヒーと抜群に合う。

まったくパンに対する飲み物のチョイスというのは、一筋縄ではいかない。


しばらく部屋でダラダラするが、最後に松山の空気を吸いたいので外に出ることに。

7時30分に荷物をまとめてチェックアウトし、3泊お世話になったホテルビスタ松山を後にする。


最初に向かうのは城山公園。

路面電車は使わず、裁判所や県庁の前を歩いて向かう。

朝の公園はウォーキングやランニングに来た人がぼちぼちいて、それなりに賑わっていた。

北東の小高い丘の上には、昨日行った松山城が見える。


公園をさらに西へ進むと、愛媛県美術館と市民会館。

NHK松山放送局を右手に観ながら南に向かって堀を渡ると、路面電車の南堀畑駅がある。


そのまま南進して松山市駅を目指す。

広い歩道の途中には、正岡子規の誕生地跡がある。

『坂の上の雲』の文章を引用した解説板が、ファンには嬉しい。


午前8時30分ごろ、松山市駅に到着。

ここからバスに乗って空港へ行くつもりだが、さすがにまだ早すぎる。

時間を潰すために、駅近くにある坊ちゃん列車ミュージアムへ行くことに決める。


グーグルマップで調べながらミュージアムの入り口を探す。

看板はあるのだが、入り口がどこにあるかサッパリわからない。

ビルの周りを不審者のごとくウロウロした後、スターバックスの店内にあることに気が付く。

頭を掻きながら入店し、店の奥にある坊っちゃん列車ミュージアムへと入る。


展示物のメインは原寸大 1 号機レプリカ。

細部までしっかりと作りこまれている。

だが個人的に目を引いたのは、伊予鉄道の歴史や資料の方だ。

ここにあるものを読むと、明治以降の松山の発展が伊予鉄道と共にあったことがよくわかる。


ミュージアムを楽しんだ後は、スターバックスの店内で休憩。

ここは四国4県でわずか2店舗しか無い、高級な豆を取り扱っている店舗とのことだ。

それを知ったせいか、ここで呑むコーヒーは実にうまい。


空港へのバスが出るまでスターバックで時間を潰し、9時30分発の空港行きバスに乗車。

空港リムジンではなく普通の路線バスだが、その分安い。

停留所が多く時間はかかるが、その点はご愛敬だ。


午前9時55分、松山空港に到着。

楽しい旅行が終わり明日から仕事だと思うと、つい気分が沈んでしまう。

ここは美味しいものを食べてから、松山を後にしたいものだ。


松山空港に入り、最後の飯は2階レストラン街にある『鯛めし かどや』に決める。

まだ開店したばかりのせいか、店内にはカウンター席があるにもかかわらず、一人なのにテーブル席へと案内してもらえた。


注文したのは『宇和島鯛めし』

店員さんから説明されたとおり、鯛めしは団子状の刺身を、玉子とタレを溶いた中に入れてご飯にぶっかける。


もとは漁師めしだけありビジュアルは粗野だが、これは美味い。

ご飯がスルスルと入っていく。

何といっても玉子と一緒に溶いたタレが美味い。

初日に羽田で食べたカツオ出汁のお茶漬けとはまた別種の、野性味あふれる美味さでした。


食事が終わり、11時25分発の羽田行まであと1時間。

土産物店を中心に空港内を歩いて回り、最後の観光気分を楽しむ。

そして寄ったのが1階入り口側にある『Orange BAR』

愛媛県ジョークでよく言われる「蛇口からみかんジュース」を実際に体験できる店だ。


350円を払ってコップを受け取り、蛇口をひねって出て来るのは黄色いオレンジジュース。

せっかく旅行なのだからこういう体験も悪くない。

みかんジュースもさっぱりした味で食後のデザートにピッタリ。


そうこうしている内に、搭乗時間の30分前に荷物検査を受けて搭乗ロビーへ。

ゲートの前は既に席が埋まっていて、座れる場所がない。

帰りの羽田行は満席で、席の移動はできないとのアナウンスがあった。

これは機内に入るのも出るのも苦労しそうである。


客と荷物を満載した飛行機は定刻通りに出発。

心の中でさらば松山と言っている間に、飛行機は四国の大地を離れて空高くへ。

小さくなる松山の街が名残惜しい。

今回の旅行も実に楽しませてもらったし、何より美味いものをたくさん食べられた。


機内では電子書籍で時間を潰すつもりだったが、読んでいる内にウトウトと来てそこから先の記憶は無い。

次に目が覚めた時は、既に羽田への着陸態勢に入っていた。


13時5分、羽田空港に到着。

名残惜しそうに飛行機を出るが、そろそろ気持ちを切り替えなくてはいけない。

さあ、身も心もリフレッシュできたところで、明日から仕事を頑張ろう。

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