笑顔で隠す
ホタル
第1話 笑顔で隠す 短編
死にたいより消えたい。
悲しいより苦しい。
笑顔をはりつけるのは当たり前、愛想良くするのも当たり前、嫌われないように不快にさせないように、笑う、今日も笑うなるべく明るいふりを、なるべく敵を作らないように、
笑う笑う笑顔を作る。
つらい。
12月ごろすかっり冬になり、暖房がないと辛い季節になってきた。
教室でも厚着をしている生徒や、カイロを持ってきている生徒など、様々な生徒がいた。
僕は冬が好きだ、夏は暑いし、半袖を着ないといけないので、腕の傷を隠すのが難しく、反対に冬は傷を簡単に隠せるので冬は好きだ。
そんな事をぼーと考えていると、先生が入ってきて僕の名前を読んだ
「おいふゆと、何ぼーとしてんだ?日直だろ?」
「すいませんいやぁ昨日ゲームが楽しくて
つい徹夜でやってしまって。」
いつも通り明るく振る舞うと、クラスから僕を茶化す声が聞こえる。
いつも通りの日常、いつも通りみんなが笑ってくれている日常。
これがひどく安心する
そうこれでいいんだ
ある日のクラスの出来事、いわゆる悪口大会が行われていた。
先生の悪口や、クラスメイトの悪口など、たくさんの聞きたくない話が話されていた。
そんな中僕はヘラヘラと笑っていた。
嫌われないよう話をふられても、
「そうかな?でもそういうとこあるよね」
と中立はの意見でいるようにしている。
こんな自分が嫌になる。
かれこれ一時間ぐらい話がながびき、僕が
他の用事で教室へ出ると、みんながまた話し始めた。
「てかさ、ふゆとまじうざくなかった?偽善者ぶってたよね」
「あーわかる、なに?そうかなって絶対偽善者やん」
クラスからわかるーなどの意見が聞こえ思わずトイレに駆け込んだ
「おぇぇ」
お腹がぐちょぐちょした気持ち悪い感覚に襲われる。
そんな中、考えていることは、嫌われてしまった、不快にさせてしまった、それだけだった。
胃の中全部吐き出してしまくらいたくさん吐いた。
吐いて、泣いて、吐いて、不安になってその繰り返し。
やっと落ち着いた頃には、下校時間になっていて、その日は用事を忘れて帰った。
家でも吐いて、泣いて、の繰り返し、
結局落ち着くのは、自分を傷つけることだった。
こんな自分が大嫌いだ。
次の日、教室へ向かうと重々しい雰囲気が教室にただよっていた。
いつも8時ぐらいにいる先生は今日は早く
教室にいた。
でもいつもと雰囲気は違く、真剣な表情をしていた。
みんなが座っている中僕だけ立ってるのもなんなので、僕も自分の椅子に座った。
すると先生が口を開いた。
「教室で、昨日クラスで悪口や暴言が聞こえたんだが、正直にいってしまった人手をあげろ。」
手をあげろと言われて手をあげる人は、僕以外いなかった。
「俺にはふゆと以外の声も聞こえたと思うんだが?本当にふゆと以外いないのか?」
しばらく沈黙が起こると、1人の女子生徒が突然泣き始めた。
「実は全部ふゆとくんのせいなんです。ふゆとくんが先に悪口言ってきて、ふゆとくんってクラスの中心じゃないですか、私たちも合わせないといじめられると思って、怖くて、、、
ごめんなさい。」
1人の女子生徒が言い始めると、周りの生徒たちも合わせたように、口を開き始めた。
1人1人の言い分が終わると、先生は冷めた目でこちらを見てきて、
「ふゆとこれは立派ないじめだ、お前には失望した。」
とたった一言、そのたった一言で何かが崩れ落ちた音がした。
今まで嫌われないようにしてきた努力も、自分が大嫌いになるくらいついてきた嘘も、全部、クラスメイトや先生たちの冷めた目で何もかもが終わった気がした。
気が付いた時には教室を飛び出して走っていた。
なんでもいい、ただあの空間から逃げ出したかった。
走って走って走った。息切れするぐらい走った。
ついた先は、川だった。
その時はただ楽になりたかった、偽りでしか過ごせない自分を終わらせたかった。
僕はその川に飛び込んだ。
冬だからか水は冷たく、でもどこか落ち着くような気もした。
息ができなくなり、だんだん意識が遠のいていく。
楽になれると思ったら全然苦しくなかった。
逆にやっと終わるんだという解放感もあった
意識が遠くなり、そのまま目を閉じた。
笑顔で隠す ホタル @kagehinatani
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