第19話 防空壕

近道 保志



「待てーーー! コラ―――!! あんた誰だーーーー!!」


 ガソリンがぶちまかれた通路を俺は男を追いかけていた。

 徹くん! 無事でいてくれよ!!


「ゼエ、ゼエ、ハア……徹くん……」

 

 もう、何がどうなってやがるんだ!

 徹くんをどうするつもりなんだ!

  

 きっと、ポリンクは重かったからそんなに遠くへは行っていないだろう。 


 ちくしょう!


 一体ここはどこなんだよ!


 道に迷った……。


 缶詰だらけの貯蔵庫から出た俺たちは、扉から出た奴を追ったが、男はいきなりポリタンクのガソリンを狭い通路にぶちまけた。それから姿を忽然と消したんで、急いで貯蔵庫へ戻ろうとしたら、途中。今度は徹くんの叫び声が辺りに響き渡って、男に連れ去られたんだ。


 俺は仕方なく奴を追いかけた。


 俺は身体をやっとのことで捻じ込みながら狭い通路を歩いていた。息苦しくて、なんだかネズミの気持ちが少しだけわかった気がした。天井も低くて、頭擦れ擦れで、何もかも金属でできた通路だった。暗くて……心細いよ……。

 

 これは、さっきまで走っていたが手探りで進むしかないな。

 徹くんは無事だといいが……。


 トンネルに幾つもある扉の中は全部、食料貯蔵庫だった。ちょっと目を離すと見えなくなってしまう取っ手が付いているのもあった。


 狭い通路からトンネル内に出てしまうと、たちまち大型工場扇の強風で身動きできないし……。


 徹くんは無事なんだろうな?

 あのガソリン男は? もし……徹くんの身になにかあってみろ! 必ずこれでもかって殴ってやるぜ!


 一体あの男は……? まさか、ここに住んでるんじゃないだろうな?

 だから、ここの通路に詳しいんだろうか?


 うん?

 あれ……?


 こっちの隠れた扉はガソリンの臭いがかなり強いな。

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level 4 There's no exit version 主道 学 @etoo

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