講義⑤ ファッション

 はい、皆さんこんにちは。本日も、この時間がやってきました。装飾美学論、5回目の講義。ファッションについて話そうと思います。


 とはいえ、ファッションの形は人により様々。どんなものでも上手く着こなせれば、ファッションと呼べてしまう。そういう意味では、ファッションを語ることが難しいと思う方も居るのかもしれません。ですが、ファッションにおいては、着飾るという言葉があります。これは、美しい装いで身を飾るという意味。つまりは、普段とは違う、より上品な格好で自分を魅せる。その為に、アクセサリーやネックレスなどを身に着けている人々も、昔から一定数存在しているのです。


 では、高級なアイテムで全身を整える。それだけがファッションでしょうか。いいえ、違います。デート着や、勝負服などの洒落姿もまた、ファッション。自分を意中の相手にアピールするという目的で、主張しすぎない程度に装飾を、美学的に取り入れているのです。分かりやすい例で言うと、帽子やバッグ。逆に分かりにくい例を挙げるなら、化粧や毛染め、ピアスなどがありますね。


 もちろんこれら装飾は、着るという側面だけで見れば、当然不要です。生きていく上での最小限。それらさえ身に着ければ、何も心配することはありません。にも関わらず、多くの人々はファッションに美的なデザインを求めます。それはどうしてでしょう。ファッションを自分事として捉えている。これが最大の理由だからです。従って私たちは常に、着れる以上の着飾れる自分を理想形に、そこに似合うアイテムを場所を問わず探し求めています。


 ならば人はなぜ、着るという目的を超えて、着飾るのか。カッコいいからという単純な理由ではありません。人が着飾る理由、それは承認欲求が満たされるからです。言い換えるならば、他者から注目されることで、自分という存在の価値を認めてもらえる。それこそが、着るという基本的な役割を超えた、着飾るという行為の装飾的効果。そのように断言しても、言い過ぎではないかもしれません。


 また装飾して着飾るのには、承認欲求以外の目的も充分に考えられます。例えば、お金持ちが仕事や私生活で、一般人と変わらない服装をしていたら?同じくらいの年収であるお金持ちが見れば、不釣り合いで身なりが悪いと思う事でしょう。それゆえにファッションでは、収入相応の装飾をする行動が必然的に要求されます。


 以上、これまでの説明をまとめると、ファッションには着るという行為と、着飾るという行為があって、着飾るという美的装飾には、承認欲求と品位という2つの理由がある。こんな感じになります。いかがだったでしょうか。ファッションにおける装飾美学、少しは理解が深まりましたか?感想、質問、要望などがある方は、ぜひコメントで残していってください。

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装飾美学論 刻堂元記 @wolfstandard

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