喧嘩を売られるかもとは聞いていたし、覚悟もしてたんだけど……
メイドの女性が部屋を出ていってから、適当にベッドで少しゴロゴロしてみたりしたんだけど、やっぱり悪くないな。
と言うか、大きいから、何度も寝返りが打てて悪くないどころかかなりいい。
「そろそろ外に出るか」
喧嘩を売られるかも、と注意はされたけど、まぁ、大丈夫だろ。俺、四天王全員に勝ってるんだからな。
唯一負ける可能性があるとしたら、魔王本人なんだけど、魔王本人が喧嘩を売るなんてことしてこないだろ。
既に頂点にいるんだし、相当な戦闘狂じゃない限りなんのメリットもないしな。
「さて、取り敢えず魔王城から出るか」
今更ではあるけど、俺の部屋は魔王城の中にある。
かなり優遇されてるよな、これ。
まぁ、何度も言うけど、四天王を全員ボコボコにして倒してるんだから、当たり前っちゃ当たり前か。
「……」
「……」
そうして部屋を出ると、長い白髪を持った赤い瞳の18か17くらいの女の子がいた。
互い何も言わずに見つめ合う。
……いや、何この時間。そろそろ気まずいぞ。
「えっと、俺に何か用ーー」
俺に何か用でもあるのか? そう聞こうとしたんだが、最後まで言い切ることは出来なかった。
何故なら、俺がそう言い切る前に殺気を感じて、咄嗟に体を思いっきり逸らしたからだ。
目の前の女の子を見る。
さっき感じた殺気は無い。
それを確認してから、俺は後ろを振り向いた。
すると、そこにはさっきまで無傷であった俺の部屋の扉が赤黒い血みたいなもので横に切り裂かれていた。
……この子がやったのか? いや、喧嘩を売られるかもとは聞いてたし、覚悟してたんだけど、まさか部屋を出て直ぐに絡まれるとは流石に思ってなかったぞ。
……んー、反撃した方がいいんだろうけど、見た目が女の子だから、ちょっと反撃しにくいな。
「……」
そう思った瞬間、また目の前の女の子から殺気を感じた俺は、直ぐに目の前の女の子を蹴り飛ばした。
反撃しにくいとは言ったけど、しないとは言ってないからな。
それに、ここでまたさっきみたいな攻撃を食らったら、せっかく貰った俺の部屋がめちゃくちゃになってしまうし。
「窓の弁償はお前にしてもらうからな!」
俺はそういいながら蹴り飛ばした女の子に近づいて、その女の子の頭を掴みながら外に向かって思いっきり放り投げた。
当然音を立てて窓が割れる。
喧嘩を売ってきたのはあっちだし、俺は悪くないよな。
さっきのメイドの女性も魔族の世界では勝った方が正義だって言ってたからな。なんの問題もない。勝てばいいだけだ。
「……」
俺に放り投げられて空中に浮いている女の子に追撃を仕掛けようとしたところで、女の子は何故か自分の腕……人間でいうところの脈がある場所に歯を立てて噛み付いて血を流していた。
……何やってるんだ? いや、さっき俺の部屋の扉にも赤黒い血みたいな跡があったし、何か血を使う力なのか? ……まるで吸血鬼だな。
いや、まさか本当に吸血鬼なのか? ……遠目だし、よく歯が見えないんだよ。分からないな。
「……」
「冗談だろ?」
さっきみたいな血を使う攻撃を警戒して追撃を出来ずにいると、女の子は俺の方に血を出した腕を向けてきた。
それと同時に、確実に塞がなければ死ぬという俺の直感が働いた。
武器は持ってない。置いてきたからだ。
どうする? 素手で防げるか? というか、なんでこんな強い存在が四天王じゃないんだよ。
まさか魔王以外に四天王より強い存在がいるだなんて思ってないんだよこっちは。
「
武器を持ってない俺じゃあ防げない。
そう思った俺は、一か八かではあるけど、何か攻撃をされる前に殺す選択肢を取った。
どれだけ強い攻撃であっても、殺しさえすればなんの意味もないからな。
……まぁ、即死させられるような技じゃないから、相打ちになりそうな予感をひしひしと感じるけど、仕方ないな。
もしも生き残れたなら、次からは武器をちゃんと持ち歩くようにしよう。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
あとがき。
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