第11話
それから数日後、“園田さんが転校する事になった”と先生が言った。
私はホッと胸を撫で下ろした。
ついに、私の仕返しが全て叶ったのである。
もうこれで、園田さんに友達を取られる事もお客さんを取られる事も無い。
園田さんが来る前の平和な生活を取り戻す事ができたのだ。
私は心から小夜子さんに感謝していたが、教室は先生からの知らせによりザワめきだしていた。
「やっぱり引っ越すのかぁ…。園田さんのお店の外壁に酷い落書きしてあるもんね。あれは病んじゃうし、引っ越したくもなるよねぇ…。」
「あ!落書き見た見た!酷いよねぇ。」
「あれじゃあ落書きを消したとしても、もうこの地域では商売できないかもね。」
その会話を耳にし、私は驚いた。
“落書きまでされていたんだ…。”
園田さんに「二度と近付かないで!」と言われた日から、あのお店には一度も近付いていなかった。
そのため、私は落書きの存在を知らなかったのである。
その日の帰り、私達は興味本意で園田さんのお店に書かれている落書きを見に行ってみた。
外壁にはなかなか辛辣な言葉が並んでいた。
『不衛生な店、早く潰れろ!』
『殺人パンの店』
『ここのパンを食べたらもれなく腹壊します!』
この他にも落書きを消した跡が薄く残っている。
恐らく消しても消しても、また新しい落書きをされてしまうのだろう。
「“殺人パンの店”だって…。別に誰も死んでないのにね…。」
「ね。」
「園田さん、落書きにショックを受けて休んでたのかもね。」
「ね。」
私達はそう呟き、そっとその場を後にした。
園田さんは想像以上にバッシングを受けていた。
私は小夜子さんの力がただものではない事を実感した。
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「本当に助かりました。復讐まで叶えてくれて…。とてもスッキリしました!」
「そっかぁ!良かったね。これでまたお友達と楽しく過ごせるね♡」
小夜子さんのお店にお礼を言いに行くと、小夜子さんはニッコリと笑ってウインクした。
「本当に、ありがとうございました!」
私は丁重にお礼を伝えてお店を出た。
どんな願い事でも叶えてくれる『ミラクルショップ小夜子』。
とっても可愛らしくて、ちょっと怖いお店…。
ねがいごと~小夜子のお店~CASE2 琴塔子 @tukito_usagi
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