第10話

それから約一週間の間、私達5人は何とも言えない雰囲気の中で過ごしていた。


私が園田さん家の前で追い返された事もあり、紗菜、佳菜子、舞衣は私に気を使ってくれて学校内や下校中には殆ど私と一緒にお喋りしてくれていた。


その間、園田さんは一人でムスッとした表情を浮かべているだけだった。


でも例の十字路までたどり着いた後に、私だけ一人で真っ直ぐ家に帰宅し、他の3人と園田さんは、園田さんの家に遊びに行くという日が二度ほどあった。


話によると、園田さんのお店の中にはイートインスペースがあり、そこで飲み物を飲みながらお喋りをして過ごしているのだそうだ。


帰り際に少し寂しい思いはしたものの、それ以外は紗菜達3人と一緒に過ごす事ができていた。


そして、小夜子さんに追加でお願い事を依頼してから丁度一週間後、小夜子さんの力は恐ろしい程強く発揮してくれた。


なんと、園田さん家のお店のパンを食べた人の中に食中毒になった人が多数現れ、園田さんのお店が営業を停止したのだ。


10人近くの人が病院に行ったみたいで、全国ニュースにまで取り上げられていた。


保健所が立入検査に来て調査をした結果、食品の保存の仕方が良くなかったとの事だった。


確かに、こうなれば園田さん家のお店の事を皆は大嫌いになるはずである。


でも…。


“こんなに多くの人が食中毒になっちゃったなんて…。”


私は少し罪悪感を感じていた。


でも仕方が無い。

園田さんにバチが当たったのだ。


私の事を邪魔者扱いし、お店の悪口まで言ったんだから…。


“もっと嫌われちゃえ。皆に悪口を言われれば良いんだ。”


私は内心そう思っていた。


**********************************************


「今日も園田さんはお休みだね。まぁしょうがないか。」


園田さんのお店の食中毒事件以降、園田さんはずっと学校を休んでいた。


ショックを受けて具合が悪くなったのか、事件の事を友達に聞かれるのが嫌なのか、それとももっと別の理由があるのか…。


「今だから言えるけどさ、園田さんって性格悪いよね。」


そう言ったのは佳菜子だった。


「分かるー。なんか機嫌が悪いと態度に表れてるし、ずっと上から目線で話してきてたよね。」


「そうそう。しかもあの時、優花に酷い事を言って追い返しちゃうしさぁ。もっと言い方あるじゃんね。」


紗菜と舞衣も口々にそう言った。


私はその会話を聞いて心の底からスッキリした。


“良かった。紗菜も佳菜子も舞衣も、皆私の味方なんだ!”


「もう来なくて良いよね。学校に来づらいなら転校しちゃえば良いのに!」


「あははははは!」


私も一緒に園田さんの悪口大会に参加し、私達の会話はとても盛り上がった。


久しぶりにこんなに楽しく喋る事ができた。


あとは園田さんが遠くの学校に転校すれば完璧である。


“そうなる日は近い”と私は確信していた。





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