第4話

「えっと…中井さんで合ってるよね?なにか用?」

なんで居るんだろう。中井さんの方が先に出てたはずだけど、待ってたのかな?いやないない、意味が分からん。

自分でも白々しいと思う反応をしてしまい、逆に恥ずかしい。

「うんっ!!あ…えっと、な、中井ですっ!!」

「ん?あーうん、知ってるよ?」

「知ってる……そっか…うんっ!」

ニコッとした笑顔に魅せられてしまう。なるほど…ファンができるのも納得する

「…それでどうしたの?」

「あっ!急にごめんねっ!用事はないんだけど、、げ、元気かなぁ?ってっ」

俺、そんなに元気がなさそうに見えたのかな。他クラスの生徒にも気を遣う委員長という役割は大変だなぁと感心する。

「元気だよ、あんま顔に出ないんだ俺。この通り、元気もりもり」

俺は両腕で筋肉もりもりポーズをしてみたが、失敗だったのか、中井さんは黙り込む。明らかに滑ったので謝ろうとした時、

「ごめ/」

「よかった………本当によかった……」

安堵した声でそう言い、ゆっくり深呼吸している。いやどんだけ心配されてんだ俺。

「昨日の帰りも話したよね、一瞬だったけど」

「うんっ!でもあの時はクラスの皆がいたから…」

「1組の委員会のメンバーだよね。入学1日目なのに凄く楽しそうに話してて、コミュ力の高さに脱帽だよ」

「えっ?雪下君ならクラス全員と友達になってるんじゃ…」

「お、結構冗談言うタイプか。何を隠そう俺は友達作りで成功した記憶は1ミリもない!」

いや、つい最近成功例ができたばかりだったわ。でもあれは当麻が優しい奴だったからで、カウントするのは甘えだ。

「……そっか…うん!…よし!」

「?」

「私と友達になってくださいっ!!!」

「…はい……ん?!?」

状況が飲み込めない俺の目の前で、跳び跳ねて喜ぶ中井さん。

「今日からよろしくっ!雪下君っ!」

俺と中井さんは友達になった…らしい。

なんだか分からんまま流れで友達になったが、女子の中では、さっきの流れがオーソドックスなのかもな。てか俺、女子の友達って初めてなのでは…。しかも相手は人気者の中井さん。初日に体育委員でクラスのまとめ役になるかもの当麻と、1年の中で大人気の中井さん。俺の友達豪華すぎじゃね。客観的に見ても出来すぎてはしないか…。俺、運全部使い果たしてないか…。どうしよ…ほんとに花の高校生活になるかも。鼻歌を歌いながら家に帰った。


「お兄!!今日は良いことあったでしょ!!」

家に着いた途端に三花が聞いてきた。顔に出ない方って良く言われるのに…エスパー的な能力使えんのかこの子。

「友達できたよ、2人目」

と、俺はピースでドヤ顔を披露。

「ヒューヒュー!やるねお兄!」

「驚くのは早いぞ三花よ、なんと今回は女子!」

「うんうん!それでそれで!?!?」

ひっくり返るかと思ったけど、意外と反応が薄い?まぁ喜んでくれてるのは伝わる。

「俺もよく分からんけど、とにかく気遣い屋さんで優しい子だと思う」

「そっか……スタートはまずまず良好って感じかな!うん!」

「スタート?…!やっぱ三花もそう思うよな!中学の頃に比べて俺、成長してるよなぁ…」

「話噛み合ってないけど…まいいや、その子ぜっったい良い子だから!大事にしなきゃダメだよお兄!」

「おう!わかった!」

「それと!その子以外の女子とは極力仲良くならないこと!その子を傷付けちゃうかもだからね!」 

「なるほど!わかった!」

友達作りにおいては大先輩の三花。友達は多いに越したことはないと思っていたが、素直に先輩の指示に従っておこう。

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