好きなゲームで仲間集めはダメですか？

第12話「始まり」

和真は花火を見た祭りの日を思い出していた。あの美穂の横顔を、思い出していた。

「（綺麗だ・・・）」

和真は自分がふと呟いたあの言葉を思い出して恥ずかしくなり、頭を左右に激しく振った。

「・・・はぁ・・・どうしちまったんだ・・・俺」

今朝から美穂の顔を見れておらず、目が合ったら恥ずかしさのあまり、顔を逸らしてしまっていた。

「これって・・・もしかして・・・」

和真には思い当たる節があった。この気持ちは・・・

「いや、でも・・・出会ってそんなに経ってないんだぞ？そんなことあるか？」

いくら悩んでも答えは決まっている。それでもそんな自分が信じられなかった。

「どうしたんだよ和真、そんな顔しやがって」

「風間・・・」

「で、どうしたんだよ」

「・・・いや、その・・・恋を、したかもしれん」

「お前が？うっそだろ」

「いや、マジ・・・っぽい」

「なるほど？・・・なるほどな・・・赤城さんに恋したか？」

「なっ！？お前っ！？なんで！」

「引っかかったなバーカ、お前マジで好きになったのか」

「・・・みたいだな」

「みたいだなってお前、なんで他人事なんだよ」

「俺自身信じれないからだよ、あの俺がだぞ？」

「そのお前がな、恋してるなんてな」

「ねぇ、何の話してるの？」

「あ、赤城さん！？」

和真はバッと顔を逸らした。赤城は少し悲しそうな顔をした。

「な、なんでお前ここにいるんだよ」

「なんでってそりゃあ同じクラスだし・・・」

「いや、そうじゃなくて、ここにだよ。な、何か用か？」

「いんや？特には無いよ？何話してるのかなぁ〜って気になっただけ」

「赤城さん、別に俺達は特別な話とかしてないっすよ、いつものだべりっす」

「・・・ふぅ〜ん？」

「そ、そうだよ、いつもの何のたわいもないだべりをしてたんだ・・・」

「・・・なんで外見てるの？」

「え、あ、いや・・・雲が綺麗だなぁって・・・は、ははは・・・」

「まぁ・・・いいや、放課後また部室でね？」

「あ、その、赤城！」

「ん？なぁに？」

「あの・・・その・・・放課後、話がある・・・から、その・・・教室に残っといてくれ」

「え？うん、分かった」

美穂はそう言うと自分の席へと戻って行った。そして風間達は再び美穂に聞こえないように話しかけた。

「お前、意外と度胸あるな・・・今日勝負を仕掛けるのか？」

「いや、何か・・・勝手に出た」

「勝手に出た！？んだそれ、マジで恋してんじゃんかよ」

「だからそう言っただろ、とはいえ、ああ言っちまったんだから俺も覚悟を決めるしかねぇよな・・・」

「和真、悪いニュースと悪いニュース、どれが聞きたい？」

「どっちも悪いじゃねぇか」

「赤城はな、告白を何度もされてる。でも、1度も成功したやつは居ない」

「で、もう1つは？」

「噂では、赤城は恋愛に一切興味が無い」

「・・・」

「まぁ、当たって砕けろっていうしな。1度は砕ける経験をするのも良いだろ」

「はぁ・・・砕ける前提での告白かぁ・・・」

「おーし、お前ら席に着け〜授業始めんぞ〜」

授業が始まり、まるで時が飛んだかのように気付けば放課後になっていた。話を風間から聞いたのかナツ達が風間と一緒に応援しに来た。

「頑張って砕けろよ和真、応援してる」

「応援してねぇだろ殺すぞ」

「ぼ、僕は応援するよ！和真は良い奴だし、行けるよ！」

「ありがとうナツ、お前は本当に良い奴だよ、お前は最高の親友だ」

「当たって砕けろ」

「満面の笑みで言うな」

そして風間達は教室をあとにした。そして、次々のクラスメイトが居なくなり、教室には和真と美穂の2人だけになった。和真は深呼吸をし、覚悟を決めた。

「・・・よしっ！」

席を勢いよく立ち、美穂の元へと近付いていく。

「あ、赤城！」

「うん」

「あの、その・・・屋上・・・行かないか？」

「屋上？・・・いいよ」

2人は屋上に上がり、帰る生徒達を見下ろしていた。しばらく無言が続き、和真は意を決して口を開いた。

「赤城・・・その、お前に言いたいことがあるんだ・・・」

すると、美穂は泣き始めてしまった。

「あ、赤城？」

困惑する和真に美穂は泣きながら喋り始めた。

「私の事、嫌いになっちゃった？」

「え？」

「だって、私の顔ちゃんと見てくれないし、目が合ったら逸らすし、喋りかけたら用事があるからって逃げるし・・・」

「そ、それは・・・」

「ねぇ、和真君・・・私の事、嫌い？」

「ち、違う！赤城！聞いてくれ！」

「うん・・・」

「あの、その、俺、俺は・・・お、お前のこと、ことが・・・すぅ〜っ・・・はぁ〜っ・・・好きだ！！！！！」

「・・・え？」

「その・・・好きだって言ってんだよ！！悪いか！！！」

「え・・・え？」

「その・・・好きだって気付いたのは祭りの日で・・・だから、すぐにこうやって言うのはどうかと思ったけど、いつまでもこんな態度取ってんのも悪いなと思ってだから・・・」

すると、まだ喋ろうとする和真の唇を美穂の唇が塞いだ。

「ん！？」

何が起きたのか分からずしばらくの間キスをしていると、美穂がゆっくり離れ、言った。

「分かった、分かったからもう言わなくていいよ・・・その、私の答えは・・・今のです」

「えと、それって・・・」

「・・・言わせないでよ、恥ずかしい・・・OKってこと」

「は、はは・・・こ、こういう時ってやったぁっとかって叫ぶんだろうけど・・・何か、全身の力が抜けてく気がする・・・はは、見ろよ、手がめっちゃ震えてる・・・」

「あはは、私も・・・体が震えちゃってる・・・」

2人はしばらく見つめ合い、軽く笑いあった。

「ね、順序が違う気がするけど・・・手、繋がない？」

「お、おう・・・」

2人は手をゆっくりと、だが、しっかりと繋いだ。

「ふふっ、いつも手を繋いでたのに何か違う気がするね」

「そういえばそうだな・・・お前に手を掴まれて・・・」

「お前じゃない、美穂って呼んで？」

「う・・・み、美穂」

「うん！ねぇ、和真。早く部室に行こ？みんなが待ってるよ」

「あ、あぁ、そうだな、早く行っていつもみてぇにだべらねぇとな！」

「それじゃあレッツゴー！」

2人は部室へと走り出した。そして、美穂が部室のドアを勢いよく開け

「みんな！お待たせ！」