第16話 「衝撃」の連続

30分ほど更新遅れました………!

懺悔します。



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「……やっぱり、こいつがナル嬢ちゃんの言ってたフィアンセみたいですね。案内してやってくださいよ、坊ちゃん」


 ザドーが放ったその言葉は、僕をとてつもなく困惑させていた。

 その言葉を受けて、周囲にいた聴衆が一気にざわめきたった。


 そして、僕の脳内には色んな疑問が浮かんでいた。


 ……いやいや、情報量が多すぎないか?


 と、思ってしまうくらいには、困惑してしまう。


 ――まず。


 ザドーをはじめとしたこの魔族たちは、少なからずナルと面識があること。

 そして、彼らはナルから僕のことを聞いているということ。


 それに、ナルによく似ている方は「坊ちゃん」と呼ばれていた。

 となれば、あの少年はおそらくナルの兄弟だろう。


 だとしても、だ。


 いくらなんでも、意味の分からない点が多すぎる。


 そもそも、ナルが僕を置いて魔界に帰ったとしても。

 どうしてあの穴は、ずっと開いてあったのだろう。


 あれは時間が経つ度に少しずつ縮小していった。


 それに、異界の扉を召喚したであろう場所も不自然だった。

 なにせ、あれはドアを開けて真っ先に目に入る位置だったから。


 まるで……僕が帰ってくるタイミングを見計らったような、変な感覚だった。


 それに、僕がこうやって魔界に到着した時、入口の近くにいたのはザドーをはじめとしたこの三人組だ。

 

 で、そのうち二人がナルと関わりがある。


 ………だから、つまり。


 この状況って、ナルが仕組んだものなんじゃないのか?

 と、僕は訝しんだ。


「いや、あの……。待ってください、あなたたちは何者なんですか?」


 だから僕は、彼らにそう問いかけた。


「へっ、聞くのが遅えよ。……今は答えてる時間がねえんだ。行くぞ」


 しかしザドーは、その質問に答えることもなく僕を担ぎあげた。


「えっ、ちょっ!?」


「詳しい話は城ン中だ。あいにく、魔王様を待たせちまってるんでな。……急ぐぞ!」


「えっ………えええっ!?」


 そしてザドーは、僕を捕らえた時に披露した、その恐るべき速度で広場を飛び立っていた。


 歯茎が剝き出しになるほどの風圧が、僕の顔面を襲う。


「ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?」


「ははッ、苦しいだろうが我慢しろよ! こうやって風の抵抗をもろに喰らう機会なんてそうそうねえだろうからな!」


 息ができない。


 ゴロツキたちと戦った時に、僕の体を借りたオーエスが披露した、あの跳躍よりも風が強く僕に吹き付ける。


 それだけの速度で移動すれば、当然なのだろうか。


 ……なんて思っていたら、目の前にはいつの間にか、異界の扉を通って魔界に降り立った時に見えた大きな城の入り口があった。


 そこで到着かと思ったら、それも束の間。

 再びザドーは翼を広げて、加速した。


「…………っ!」


 僕はその速度に戦慄した。


 そして……「これだけの速度をだせるのなら、僕が重力操作で逃げた時にこうやって捕まえればよかったのに」とも思った。


「おい、着いたぞ。ボーっとしてんな」


 が、そんな僕の思考を遮るようにザドーの声がした。


 我に返って、目の前を見る。

 そこには、荘厳な雰囲気を醸す大きな扉があった。


「……この扉の先に、ナル嬢ちゃんと魔王様がいらっしゃる。悪いが、説明している時間はねえんだ。終わったら全部話してやるから、まずは扉を開けてみな」


「えっ……? は、はぁ………。よく分からないですけど、とりあえず行ってみますね?」


「ああ。早く行け」


「は、はい…………!」


 そして僕は、ザドーに促されるまま扉を開けた。

 なにがなんだか、よく分からないまま。


 精一杯の力で、大きな鋼鉄の扉を開けた。


 その先に広がっている光景が、どんなものなのかも知らないまま。




      ───◇◆◇───

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【スキル操作権限:アドミニストレータ】は実は最強でした。~外れだと思っていたのに、スキルを奪ったり組み合わせたりと自由自在。これで追放してきた親父のスキルも奪い、地獄に叩き落とします~ 故ク太郎 @Blazer123

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