偽物の瞼(まぶた)
涼風岬
第1話
一人の女性がバス停に立っている。彼女の名前は
ある日たまたま早くバス停に来た彼女は、彼を見かけた。それから、彼女はスマホを操作したふりをし、レンズ越しに彼を見るのだ。それが彼女の唯一の楽しみになっている。
彼女は彼に一目惚れした。彼女は想いを伝えたいと思っている。彼は、くっきり二重で端正な顔立ちをしている。彼女は容姿に自信がない。特に一重瞼に劣等感がある。それで彼女は想いを伝えられないでいる。
そんな中、大学の夏期休暇に入った。悶々としたまま彼女は生活していた。その中、彼女は一大決心する。それは二重瞼にする事だ。彼女は勇気を振り絞り実行した。
休暇が明けると、彼女にとって別世界だった。大学の休憩時間、いつも彼女は俯いてた。そんな彼女が異性から声を掛けられる。それは彼女の後押しとなった。
そう彼へ告白する事である。
いつもように彼女はバス停へと向かう。そこには彼がいる。彼との距離には彼女の決めた境界線が存在する。今日の彼女は、それを打ち破る。彼女は躊躇なく彼へと足を進める。
「おはようございます」
「……おはようございます」
「あのう」
「はい」
「貴方が好きです。いつも拝見していました。私と付き合ってくれませんか?」
「えっっ……ごめんなさいっ」
「えっ……そうですね。彼女さんが、いらっしゃいますもんね?」
「いませんが……あのぅ」
彼女は体中が熱くなった。そして、彼女は両目を手で
しばらく、傷心の彼女は大学を休んだ。彼女は、このままではいけないと奮起した。
数ヶ月後、久しぶりに彼女はデパートへと向かう。気晴らし中の彼女は、ただ歩いているだけだ。すると、忘れられない声が聞こえてくる。その持ち主は、あの彼だ。彼女は
気になる彼女は、そっと彼を見る。彼の傍には女性が寄り添っている。彼女の顔を凝視する。その彼女は一重瞼だ。彼が、こちらへ振り向いた。彼女は顔を背け鏡を見る。そして、彼女は試供品のルージュに手を伸ばし塗ろうとした。しかし、彼女は手を止めた。彼女は化粧をしたことが無かったからだ。
「本物の瞼なら彼の隣に居られたのかな?」
と彼女は鏡の中の自分に呟いた。
偽物の瞼(まぶた) 涼風岬 @suzukazeseifu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます