第5話

 ミケルト王子とペルーシア姫は遠乗りに来ていた。


 見渡す限りの草原に色とりどりの花が咲き誇っている。

 思い切り深呼吸すると、草の匂いが鼻腔を通り、肺も気持ちも満たしてくれる。

「今日はいいお天気でよかったです。ペルーシア姫は乗馬がお上手ですね?」

「ありがとうございます」

 ミケルトの言葉にペルーシア姫は素直に喜んだ。


「あちらでお茶でもどうですか?」

「はい、ご一緒します」

 ミケルトは持ってきていた、バスケットからお茶とサンドイッチを取り出し、草の上に座って食べることにした。

「外で食べると美味しいですね」

 ペルーシア姫は微笑んで言った。

 ペルーシア姫は食べている姿も可愛かった。


「ミュール王国のことはどう思いますか?」

 ミケルトは思いきって聞いた。

「自然も豊かで賑やかな国ですね」

「よろしければ次は街を案内しましょう」

 次のデートを取りつけようとミケルトは言った。

「はい」

 ペルーシア姫は小さく返事をし照れていた。


 楽しい時間はあっという間に過ぎ、二人は王城に帰って行った。


 ペルーシア姫はミケルト王子と過ごせて嬉しくて、益々好きになった。


 母タマールは嫌な顔もせず、ニコニコ顔で変身に協力してくれ、ミケルトはネコに変身してペルーシア姫の元に向かった


 部屋に着くと姫は人払いをし、ミケルトを膝に抱えて撫でてくれた。

 ペルーシア姫はネコのミケルトの鼻にキスをした。

 ミケルトはフニャフニャになって、お腹を見せていたので、ペルーシア姫はネコのお腹に頬ずりをした。

 心地よさに我慢できなくなったミケルトは、

「ペルーシア姫。お妃になって下さい」

 と、言ってしまった。

「私でいいの?」

「ペルーシア姫がいい」

「わかったわ」

 返事を聞いてさらにフニャフニャになった。

 軟体動物のようだった。


 ネコのミケルトは尻尾を立てて、ペルーシア姫を先導し王と王妃にあった。


「父上、母上、ペルーシア姫をお妃にします」

「よくやったな。ミケルト」

 父ラグドールが言った。

「ペルーシア姫、こちらへ来てください」

 母タマールはそう言うと、ペルーシア姫の鼻と自分の鼻をくっつけた。


 10秒経ちペルーシア姫は美しいネコになり、ミケルトと散歩をすることにした。


 ミケルトは王族専用の庭にネコのペルーシア姫を案内し、話をすることにした。


 人間の姿では正直に言えないが、不思議とネコの姿だと本音が言えた。


「ペルーシア姫、僕と結婚して下さい」

「はい。喜んでお受けします」

 二匹は寄り添い、お互いの頬と頬、尻尾と尻尾、前足をくっつけてうっとりしていた。

 ミケルトはネコの姿でプロポーズを成功させた。


 先に人間の姿に戻ったミケルトは、ペルーシア姫を抱っこして自室に向かい、ソファーに座りそのまま膝に抱いた。

 抱き上げ鼻にキスをした。

 ネコのペルーシア姫はフニャフニャになって気を失ってしまった。

 たまに彼女の肉球をプニプニしながら、しばらくネコのペルーシア姫を撫でていた。


 人間に戻り眠ってしまった、ペルーシア姫をゆっくりソファーに寝かし、彼女専属のメイドを呼んだ。


 イストール帝国のペルーシアはまだ16才なので、結婚するとしたら2年後になる、今から2年のうちに愛を育んで行こう。


 人間の姿になり正式にプロポーズをした。

「ペルーシア姫わたしと結婚をしてください」

「はい」


 ソマリ「やっぱりペルーシア姫だったのね」

 ラカン「ミケルトが決めたのだから、応援しないとね」

 ソマリ「そうね。応援するわ」

 サロンで姉たちは密かに二人を応援していた。


 こうして2年後ミケルト王子はペルーシア姫と幸せな結婚をした。


 たまに王妃に頼み、二人でネコの姿になり、王お忍びで城の外に出てデートをしている。


 王妃タマールは思った。

 次からは鼻をくっつけるのを辞めようと。



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ネコ王子とおてんば姫 絵山 佳子 @takemama16

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