期待したあの
「明日から3月とかやばくない?」
「やばいやばい。早すぎる。」
「もうすぐテストだしね。」
「あーもう、それ言わないでよー最悪。」
「そしたら受験生ってマジ?」
「もー、もー!全部言うじゃん!」
そんな会話が近くから
聞こえてくるこの教室とも
あと1ヶ月もしないうちに
お別れとなるらしい。
陽奈「…。」
鞄に荷物を詰める。
周りからはたくさんの音が聞こえる。
声、声、声。
人が1人もいなくなれば
ここは異様なほどに静まり返るのだろう。
人を音と捉えるなら
私はいてもいなくても同じだけれど、
他のみんなはその限りじゃないのだ。
笑う。
けたけたと、高い声を出して。
話がのってくる。
怒るように愚痴を言う。
笑う。
笑う。
話す。
話す。
気だるそうに明日のことを。
未来のことを口にする。
歌う、歌う。
歌う。
最近話題のあの曲を
口ずさんでいるのが聞こえる。
話す。
話すんだ。
陽奈「…。」
その全てを長いこと視界に入れることなく
手短に準備を済ませて
そそくさと教室から出た。
梅雨が明ける頃だったろうか。
その時から生活は大きく変化した。
教室ははじめ
いるのが辛い場所だった。
皆して変な目で見てきては
「ああ、心が弱いからなったんだ」
「メンタルが終わったから声出せないんだ」
「ただのかまってちゃんなんだ」と
言ってきているように思えた。
本当にその声すら
聞こえてきそうなほどだった。
警察官が来たことをきっかけに
あの公衆電話の前から
立ち去ってしまったのを
後悔する日だってあった。
そのままあの場所にいれば
声どころか全てを失って
それこそ楽になれる選択肢だって
あったのかもしれないから。
けれど、私は日常に戻ってきた。
居づらかった間は
何度も保健室に通った。
同じように話すことのできない
古夏ちゃんと一緒に過ごした。
けれど、秋を過ぎたあたりだろうか。
ふと教室に入ることが多くなった。
ただの気まぐれだ。
ああ、気まぐれだ。
それなのに、何故か昔ほど
いづらいと思うことが少なくなっている。
誰かが勇気を与えてくれたかのように
喋ることはできないながらに
教室へと戻っていった。
ただし、仲の良かった子とは
話すことは極端に減り、
彼女は別のグループに所属していった。
学生あるあるであり、
この小さな社会の中
仕方のないことだと思うけれど、
それとなく寂しく思ったのは覚えている。
それ以降、1人で過ごすことが
異様なほど長くなった。
わからないことがあったら
先生が1人になった時に聞くか、
放課後時間のありそうな時に聞きにいった。
すぐに後ろに座っている
クラスメイトに聞くのは
迷惑をかけるのは目に見えているし、
「あ、こっち向いてきた」と
一瞬時が止まるような思いをするのも
目に見えていた分憚られたのだ。
先生だって同様だ。
親切にしようとするその特別扱い感が
ありがたくもあり少々苦手だった。
気を遣わせているのがわかる。
私の場合、1年前までは
普通に話せていたのだ。
事故もなく後天的なものなので
心因性とされていた。
きっと繊細だとでも思われているのだろう。
あながち間違いではないにしろ、
そこまで警戒するような目つきを
しなくてもいいんじゃないかと
思う時だってある。
そうならないよう、予め紙に書き留めては
そのメモを渡すようにしていた。
そんな困難の多いように見える生活は
いつまで続くのだろうか。
漠然とした不安が広がる冬空と共に
全てを覆い隠そうとしている。
陽奈「…。」
1人で教室を出て、1人で帰る。
それがいつも。
いつも通り。
靴箱が見えてきた時だった。
ふと見覚えのある姿が
そこで待っていることに気づく。
他の人を待っているのだろうと
できるだけ見ないように近づくと、
ふと彼女はこちらを見て近づいてきた。
結華「奴村さん。」
陽奈「…!」
結華「ごめんなさい、急に声をかけちゃって。」
小さく首を振る。
何だか久しぶりに廊下で
声をかけられたような気がして
僅かに身が縮む。
結華ちゃんは片方の袖を
いじるようにして手を前で組んでいた。
結華「奴村さんに用事があって、待ってました。」
陽奈「…?」
結華「その…今日って時間ありますか。少し……いや、長くなるかもしれないんですけど、話したいことがあって。」
結華ちゃんは申し訳なさそうに
声を尻すぼみにしながら言った。
大丈夫だよと伝わるよう
首を縦に大きく振る。
部活もやめてしまって
受験も試験も1週間前といった
酷く追われているような
状況でもないため、
迷うこともなくすぐに返事をした。
彼女は何故か困惑の表情を浮かべながらも
口角を僅かにあげ微笑んだ。
それがどうにも奇妙に映る。
自分で切り出しておきながら
嫌そうだとすら思ってしまうほどに。
結華「ありがとうございます。…そしたらついてきてください。人のいないところのほうがいいんです。」
陽奈「…。」
結華ちゃんはくるりと背を向けて
そのまま歩き出してしまう。
鞄も持っておらず
手ぶらで私を待っていたあたり、
この後は部活に行ったり
誰かとまた別の話があったりと
もしかしたら予定が入っているのだろう。
鞄をそのままにきたのであれば、
私だったら不安になってしまう。
取られないだろうか、
教室に戻って自分の鞄がなかったらどうしよう。
誰に伝えればいいのだろう、
ちゃんと全て私の手元に
戻ってくるのだろうか。
そんなことを考えだしては
止まりそうもなく、
ただただ不安が募るだけ。
感受性が豊かとはよく言ったもので、
実際負の側面に対しても
ありとあらゆる事態が想像できてしまって
うまく前に進めないのだ。
結局不安になって全てを持って
行動することもしばしば。
次には「どうしてこんなに持ってきたんだろう」
「変な目で見られているんじゃないか」と
思うまでがセットだった。
とはいえ、私の話は置いておいて、
貴重品全てはポケットに
入っているのかもしれない。
今時財布いらずで買い物だってできる。
紙幣や硬貨そのものを
持ってきていない人がいたっておかしくない。
教科書は取られたとしても
先生が何かしら対応策を取ってくれるだろう。
そう思うことで少しばかり気が楽になった。
自分で勝手に落ち込んだり
不安になったりしてしまうけれど、
多少自力でその穴から抜け出せるように
なってきているのかもしれない。
目の前を歩く結華ちゃんは
ひと言も話すことなく
階段を登り続けていた。
運動をしていない私にとっては
3階まで上がるのはしんどいことで、
途中から息絶え絶えながらに
徐々に重たくなっていく足を上げる。
それに反して目の前の彼女は
肩で息をすることなく
泳ぐようにすいすいと登っていた。
陽奈「………すぅ……すぅ…。」
掠れた息が漏れる。
それを聞いて気にしてくれたのか、
階段を登るスピードを
やや落としてくれた。
それにしても、話したいこととは何だろう。
私と結華ちゃんとでは
あまり関わりはなかったように思う。
それこそ4月以来
長時間話したことすら
あまりないのではないか。
記憶が危うい、とにもかくにも
こうして2人でいること自体
緊張してしまうほどには
腹の底を知れていない。
それなのに話したいことがある、と言うのだ。
陽奈「……ふ、ふ…。」
緊張からの鼓動なのか
階段を登っているからこその鼓動なのか
段々と判別がつかなくなっていった頃。
結華ちゃんはようやく足を止めて
私の方へと振り返った。
結華「本当は学校的に駄目なんでしょうけど、やっぱり確かめたいなって思って。ちょっと夢だったんです。」
そこは、校舎最上階よりも
さらに上へと続く階段の踊り場。
目の前には重そうな鉄扉。
陽奈「…!」
間違いない。
屋上へと続く扉だった。
つい先日、たまたまそばを通りかかった
女子学生たちの話を聞いてしまったのだが、
屋上へ続く扉の鍵が壊れてしまい
誰でも入れる状態になったらしい。
本当に行ったことがある人はいるのか、
既に先生の耳に届いて
直されていたのかはわからなかったけれど、
結華ちゃんがその扉に手をかけた時、
きっとまだ噂は
広まりきっていないのだろうと確信した。
刹那、ぶわっ、と冬の風が浸食する。
体の隅々から食むように
冷気が校舎へと濁流のように入り込んできた。
結華「こっち。」
陽奈「…。」
もしかしたら停学…いや、退学に
なるのかも知れない。
けれど、私も興味がなかったといえば嘘になる。
行ってみたかった。
けれど、悪びれるような勇気もなく、
無難に無難にと過ごしてきた。
ちょっとした規則破り。
飛び降りるわけでもない。
それを青春と呼ぶのなら
私も少しだけ齧ってみたい。
珍しいことに好奇心が揺さぶられ、
その重たかったはずの足を
いとも軽々と踏み出した。
空は生憎の曇り空。
これが夏で、かつ青空で支配されていたのなら
天を仰いで大の字で寝転がっていただろう。
伸びたままの髪を耳にかける。
それでもやや風があり、
横髪がふわりと持ち上がった。
屋上は普段立ち入り禁止に
なっているにも関わらず、
ちゃんと人が落ちないように
背の高い柵が施されていた。
柵のぎりぎりにまで近寄らなければ
校舎から私たちの姿が
見えると言うこともなさそうだ。
隅の方から場所をとる
パイプのようなものや
使用方法のわからない
大きな四角の凹凸がある。
私が空や周囲を見上げている間に
結華ちゃんはそっと扉を閉め、
静かにこちらをみやった。
ととん、と靴を鳴らし
数歩結華ちゃんに近寄る。
もう少しと思ったものの、
彼女の物憂げな表情と
阻むような風のせいか、
自然とその足を止めていた。
畳2つ分ほどだろうか。
間を空けて彼女の姿が揺らぐ。
結華「結構寒いですね。室内の方が良かったかも。」
陽奈「…。」
ううん、そんなことない。
私も来てみたかったし。
その気持ちを込めて首を横に振る。
やつれたような笑顔を向けてくれた。
私の気持ちがうまく伝わっていないようで、
慌てて鞄の中を漁りスマホを探す。
ちゃんと伝えなきゃ。
それを、いつだか心に刻んだのだ。
しかし、その姿を見た結華ちゃんは
あくまで私にだけ届くような声で言った。
結華「スマホも紙も出さなくていいですよ。…ううん、出さないで。」
陽奈「…?」
結華「話したいこと…相談というか、何というか。ただ聞いて欲しいだけなんです。何も言わずに聞いて欲しい。」
絞り出すような声で言うものだから、
自ずとその手は止まり
鞄から抜け出していた。
何も言わないで。
だから私を選んだんだろうか。
言いたくとも言えなければ
余計な口を挟むこともない。
いわば都合の良い人形も同義だ。
結華「あ、でも話せないから奴村さんにお願いしたとか、そういう不謹慎な理由じゃないです。前々からこの日は奴村さんと話したいと思ってたと言うか、決めてた、と言うか。」
私の考えていることに気づいたのか、
はっとして両手を胸の前で振りながら
慌てた口調で言う。
でもこの期に及んで、
今更そういう人形的な使われ方をしたって
結華ちゃんであれば苦言を呈さない。
この1年、関わりは薄くとも
関わりのあった仲なのだ。
話を聞くことで結華ちゃんが
多少なりとも楽になるのであれば、
全然構わない。
言葉なしにどう返事を
すればいいのか迷った結果、
深く頷くことしかできなかった。
結華「…ありがとうございます。」
陽奈「…。」
結華「話したいこと…本当はもっと別にあったんですけど、この数日間で変わっちゃいました。」
陽奈「…。」
結華「いえ、変えたんでしょうね。」
陽奈「…。」
結華「…。」
陽奈「…。」
結華「…。」
陽奈「…?」
結華「ああ、いや…ごめんなさい…こう、勇気が出なくって。」
私が小さく首を傾げると、
弁明するように早口でそう答えた。
焦らせてしまったようで
申し訳なくなる。
両腕を胸の前で
ガッツポーズをするように
拳を握りながら、
小さく数回頷いて
「頑張れ」とジェスチャーで伝えてみる。
すると、結華ちゃんに
うまく伝わったのか、
枯れかけた笑い声を微かに上げた。
結華「…あはは…相変わらず優しいんですね。」
陽奈「…。」
結華「でも、時間はないだろうから…うん。」
陽奈「……。」
結華「…実は」
その時だった。
きぃ、と結華ちゃんの後ろにあった扉が
音を立ててゆっくりと開いたのだ。
屋上の鍵が開いていると噂が立ってから
しばらく経っている。
多くの生徒の耳に
行き渡っているのかもしれない。
はたまた、その噂を先生が聞きつけて
確認しにきたのかもしれない。
もしもここにいることが
先生にバレたらどうしよう。
停学になってしまうだろうか。
いっそのこと、と
退学になってしまうだろうか。
一瞬先の未来が怖く、
目を強く閉じようとした。
しかし。
「…あ、ほんとだ。」
結華「…っ!?」
その浮遊感のある柔らかな声に
聞き覚えがあり、
はっとして顔を上げる。
心臓の鼓動がさっきとは
違った意味でまた早くなっていく。
そこには、ポニーテールになるよう
髪を結ったままの悠里ちゃんがいた。
結華ちゃんも扉の方へと振り返るのが見える。
悠里「こんなところにいたの…?」
結華「悠里…!?何で来たの。」
悠里「質問を質問で返されても…。ただ教えてもらったんだよ。」
結華「誰に。」
悠里「そ、そんな怖い顔しないでよ…。」
結華ちゃんは随分と強い口調で
まるで怒っているかのように
そう問うていた。
ここに来てはいけないと、
ここに来るなんて聞いてないと
理不尽に怒っているようにも見える。
反面悠里ちゃんはその気迫に圧倒されて
1歩後ずさっていた。
胸の前で両手を合わせ
制服をきゅっと掴んでいる。
結華ちゃんがこのように詰め寄ることは
普段ないのだろう、
表情からも驚き畏怖していることがわかった。
結華ちゃんはきっと
目尻を吊り上げていることだろう。
結華ちゃんが悠里ちゃんの元へ歩む。
悠里ちゃんはそれ以上後ずさることなく
何かを受け入れるように
その場に立ち尽くしていた。
結華ちゃんの後ろ姿が何故だろう、
寂れて見えたのだ。
悠里「知らない子。でも不思議な感じだったよ…?」
結華「どんな見た目だったの。」
悠里「…どうしてそんなに気になるの…?何かあったの…?」
結華「いいから。」
悠里「昨日からそうだよ…私じゃ力になれないの…?」
結華「…じゃあ、その会った人の見た目を教えて。」
悠里「結華…。」
悠里ちゃんは怯えながらも、
けれど顔を確とあげて
結華ちゃんの方を向いた。
悠里「何を隠してるの。」
結華「…。」
悠里「ずっと気になってた。ずっと…私のことを気にしてくれてるのはわかってたけど、辛そうだった。」
結華「…。」
悠里「私が辛かった時、結華は隣や近くにいてくれて励ましてくれた。支えてくれた。」
結華「…。」
悠里「だから今度は私が」
結華「無理だよ。」
悠里「…っ。」
結華「悠里には無理。」
悠里「どうして…ついこの間だって話したじゃん!」
結華「悠里には今、その出会った人の見た目を教えることしかできないよ。」
悠里「……それは本当に手助けになるの?」
結華「ものすごく。」
それはずしんと腹の底に響くような
澱みきっている声だった。
鉄のような色の声を耳にして、
悠里ちゃんもこのままでは
埒があかないと悟ったらしい。
下唇。少し噛んでから口を開いた。
悠里「……白くって、髪の毛がふわふわしてて…。」
結華「…っ!?」
悠里「それで」
結華「……もこ、ちゃ」
その瞬間のことだった。
ぶお、と体が飛ばされるのではないかと
思うほどの強風が吹いたのだ。
慌ててその場でしゃがみこみ、
それでも髪がはためくのを酷く感じて
膝をついて丸くなった。
地震があり地面が揺れているのでは
ないかと錯覚するほど
体が揺さぶられていた。
結華ちゃんは、悠里ちゃんは大丈夫だろうか。
ほんの数秒の強風ののち、
ぼさぼさになった髪を左肩に寄せて
恐る恐る顔を上げる。
そこには、壁にもたれた結華ちゃん。
そして。
「…。」
悠里「…っ!?」
肌が透き通るように白く
髪の毛のふわふわとした
見知らぬ女の子、
そしてその女の子に
回り込まれて後ろから
首を絞められている悠里ちゃんの姿だった。
風のあまりか2人は地べたに座っていた。
白い子の片手は悠里ちゃんの首を
これでもかと力を加えて鷲掴みにし、
もう片方には鋭利な
サバイバルナイフのような刃物を手にしている。
嫌な予感が走った。
結華「…っ!…もこちゃ…やめ…っ」
「私も残念だよ。」
会話はそれだけだった。
それ以上、彼女たちは
会話を交わすことはなかった。
悠里「ーーっふ」
白い髪の子が咄嗟に悠里ちゃんの口を塞ぎ、
持っていたナイフを勢いよく首に刺したのだ。
ちょうど私から見えない位置であるはずなのに
ひん剥いた彼女の目と
塞がれてくぐもった悲痛な叫び声、
そして彼女の奥へと異様に飛び散る
重たそうな赤黒い何か。
見たことなかった。
まるで蛇口を捻ったように
それが飛び出している、
床や塔屋の壁に塗りたくられている。
目を疑った。
この瞬間、全て夢だと思った。
確信した。
確信、したかった。
これは夢の中で
いずれ目の覚める夢だと。
たまにあるあれだ、
リアリティのありすぎる夢。
悠里「ーーーーーーーーっ!?ーーーーーーっ゛!」
響く、響く響く。
強く口を押さえられているようで
ほとんど外には漏れていないはずのその声が、
悲痛に歪む顔のせいで、
塞ぐ手をがりがりと爪を立てて
引っ掻いているのが見えるせいで
脳の中でありありと再生できてしまう。
最後の力を振り絞ってまで
ナイフを抜こうとしているのか
白い髪の子の手に触れているのがわかる。
なのに、非常にも無理矢理
ねじ込まれていくばかり。
繊維の弾けるような音がした気がした。
結華「やめてぇえぇえぇぇ゛ぇ゛っ!」
刹那、また別の、
甲高い誰かの声が、
結華ちゃんの声が届いた。
飛びかかろうとしているのか、
足を踏み出した。
白い髪の子はナイフを躊躇なく抜くと、
その頃にはすでに
声を上げず目を剥いたままの
悠里ちゃんだったそれは
くったりと地面に倒れ込んだ。
飛びかかる結華ちゃんも
このままでは刺されてしまう。
そう悟ったとしても
体は地面の上で
ぺたんと座ったまま動くことはなかった。
床に無制限かと思うほどに
コンクリートを這う液体が
こちらに迫ってくる。
後退りしたかった。
逃げ出したかった。
それなのに目を瞑ることもできず、
そのありのままを目に収める他ないのだろう。
死んでしまう。
結華ちゃんも、私も。
このまま、みんな。
そう思った。
が。
結華「ぐっ……っ!」
「…。」
白い髪の子は飛びかかられる前に
彼女の首を片手で掴んだ。
力が加わっているのだろう、
彼女の首に深く影が落ちるのを見た。
結華「ゅ……っ!が……っ…………っ!?」
「もったいないから綺麗に使いたいよ。」
結華「………は…な゛っ……っ!」
「まだお仕事が残ってるよ。」
結華「ゃ……ゆぃ゛……っ。」
「ほら、こんなことをするより早く駆け寄ってあげてよ。」
無差別に殺すことはしないのだろうか。
彼女たちの話していたことが
何ひとつ頭に入ってこない中、
白い髪の子はぱっと手を離して
結華ちゃんを解放した。
その場で座り込み、
背をこれでもかと丸めて微振動している。
結華「がはっ…ひゅ……げほっ…ごっ…っ!」
陽奈「…っ………っ。」
「あ、怖がらせちゃったよね。」
ふと。
ナイフを持ったままの彼女がこちらを向いた。
こんな冬の寒い日だというのに
何故か白いワンピースを身につけた彼女。
その服には芸樹作品かと見紛うほどに
綺麗とすら思ってしまう
鮮血が飛び散っていた。
数時間もすれば乾いて浅黒くなるのが
目に見えるだなんて
現実から逃げるようなことを考える間も、
彼女は1歩1歩私に近寄った。
どうしよう。
どうしよう。
ここで私が声を上げることができれば。
やめて、と。
助けて、とひと言言うことができれば。
震える足で地面を蹴る。
弱々しくって1ミリほどしか
後退ることができない。
座ったままのせいで
スカートが皺くちゃになる。
そんなことすら気にならないほど、
周りの音が聞こえなくなるほどに
私を実感していた。
ここで終わりだ、と思うも束の間。
彼女がしゃがんで
私と目線を合わせた。
髪とは対照的に真紅色の眼が
こちらを見据えている。
「大丈夫。明日には綺麗さっぱり、だよ。」
陽奈「…っ…?」
「だからもう少し我慢ね。見届けてあげて。」
あなたはその役目がある。
あまりに表情を変えず言うものだから、
こんなにも動揺している私の方が
おかしいのではないかと思う。
目の奥に光る変わった瞳孔が
えんじ色の奥に光る。
そうひと言残している間に、
結華ちゃんが悠里ちゃんの元へと
四つん這いに這うようにしながら
近づいているのが見えた。
白髪の子も気づいたようで、
私から目を離しては凛々しく立ち上がり、
そちらの方へと向かった。
そして今度は結華ちゃんと
目線を合わせるようにして
しゃがんでいるのが見えた。
結華「ゆ…っ!?起きて、ねぇ、起きてっ!」
「どうしてここまできて何度も何度も指示を無視したの?」
結華「何を……なんで、なんでっ!?」
「見ての通りだよ。あなたへの罰。」
結華「罰って…早く起こしてよっ!治してよ、ねぇ、起きて、起きて…っ!」
「前々からずっと言っていたはずだよ。そもそも契約自体、君の家族を保証するものだった。指示に従えないのなら従うよう尽力するだけ。」
結華「死んではない…でしょ、ねぇ…!そんなの」
「死ぬよ。1分ももたないよ。」
結華「…き、きゅうきゅうー」
「できると思う?」
白髪の子はぐったりと仰向けに寝転ぶ
悠里ちゃんの上に
馬乗りになるようにして立ち、
膝立ちになって
目の前にいる結華ちゃんの制服のリボンを
胸ぐらを掴むように引いた。
「本当はね、心臓に衝撃を与える案も出ていたんだよ。」
結華「……っ…ね、ぇ…お願い、お願いだから…」
「1000分の15、心臓の膨らむタイミングで衝撃を与えると数分で心臓って止まっちゃうんだ。」
結華「その子、を…」
「そんなことさせるつもりは毛頭ないけどね。」
まるで話が噛み合っていない。
互いに私のことが
目に入っていないのは事実だったが、
片方は姉妹を助けてと悲嘆し、
もう片方は淡々と
悠里ちゃんの死の方向性について語っている。
そのちぐはぐさが異様で
側では大量に出血している体が転がっている。
ここは外のはずなのに、
鉄分の多い血生臭い香りが
鼻の奥にわずかに触れた。
「ぐしゃぐしゃにしたっていいんだよ。もう死体も同然だし。」
結華「……っ……っ!」
「話を戻すよ。どうして指示を無視したの?これまで数年間にわたって1度も破ったことのなかったそれを、どうして今更。」
結華「……それは…。」
「説明してごらんよ。」
結華「…っ。」
「優秀だったのに。これまで1度も破ったことはなかったのに、今月下旬になって何度もたてつづけに指示を無視したの、どうして。」
その無感情を貫く
静かな声が耳に響く。
底まで、深くまで響いていく。
まるで臓器を一口ずつ
齧っていかれるような、
酷く冷たいものが体内を蔓延る。
何度も同じことを聞くのだ。
何度も何度も。
まるでパワハラの上司が
「お前がやっただろ」と言い続けて
最終的に被害者は
何もしていないのに認めてしまうような、
洗脳されてしまうような気迫があった。
嫌な予感がし続けていた。
肩が震えてしまうほどの悪寒が
止まらないようにも思えた。
「どうして。」
結華「…わ、かんない……わかんないよ、どうして私だけ、私1人で全部抱えなきゃいけなかったのっ!?」
「だから聞いて欲しかった、と。」
結華「そうだよっ!無理だ、よ…できる……わ、け、ないじゃんっ…。」
「私がいたのに。」
結華「お前はっ…!」
「指示に従えと突っぱねるだろうけど。でもこれまで年単位で守ってきたのに。」
結華「だって……っ…守りたかったものが、守れないって知った日も、壊した日も、壊したまんまで過ごしてた日々だって……私全部、1人で抱えてたんだよっ!?」
「そうだよ。それは条件だったと最終確認の時に特に注意を促したうちの1項目だったのを忘れていないよね。」
結華「でも……でも…………っ…。」
段々と声が枯れ
涙声に変わっていく。
白髪の子がリボンから手を離す。
手が離れても、それ以上
悠里ちゃんに縋るような動きを見せず、
ただただ成し得ることがないと
悟ったように項垂れ、
胸に手を当て背中を丸めた。
「あなたが選んだ。ずっと先の未来まで選んだ。責任を持って、最後まで遂行できなかった。だから」
結華「わかってるよ゛っ!わかって……っ…。」
「わかってたらこんなことにはなっていなかったよ。」
結華「…………守り、たかったの。一昨日、話したの…っ。」
「指示を破って話したね。」
結華「…ぃ…引け目を感じなくていいって、つ、ぎは…守る……って…。」
「引け目を感じていたんだ。」
結華「…っ!当たり前でしょっ…!?守るために…守るために引き受けたのに、全てを壊すだけだったっ!」
地面に、悠里ちゃんに、曇天に。
叫ぶ、叫ぶ叫ぶ。
きゅい、と喉が鳴るほどに
強く息を吸うのが聞こえた。
そして。
結華「結華の記憶を奪ってまで…私はこの先守りたいものも守っていけない…っ!」
「…。」
陽奈「…?」
結華の記憶を。
聞き間違いだろうか…?
いや、けれど、確と言った気がする。
結華、と。
何故。
何故ここで自分の名前が出るのだろう。
項垂れるままの彼女を眺む。
さらさらと髪がわずかな風に漂う。
背景には飛び散った悠里ちゃんの体に
収まっていたはずの…。
悠里ちゃんの体に。
しかし、頭の中では
徐々にそのことに
気づいていたのかもしれない。
信じられなかった。
信じられないから、
頭から抜け落ちそうになった。
「言うんだ。」
「言うよ。全部言う。全部壊す。計画も何もかも全部。」
ゆっくり、のっそりと頭を上げる
結華ちゃんの目は、
怒り狂う獣そのものだった。
悠里「陽奈先輩……聞いて、聞いて、忘れないで。私は悠里だよ……事故の日以来結華に入れ替わって生きてた…っ……こいつの、こいつらの指示で、私は…っ!」
陽奈「…っ!?」
悠里「……結華を、事故に遭わせて…私…家族にも、友達にも、相談…できな……っ。」
ひぅ…ひぅ、と
パニックのあまり
呼吸が浅くなっているようで、
そこで言葉が途切れた。
悠里ちゃんの…いや、結華ちゃんの
転がっている上で
膝立ちをしたままの彼女も
私すらも動くことなく、
悠里ちゃんの言葉を待つ。
悠里「……私は結華を事故に遭わせた。その後、髪型や私物…全部入れ替えて生きてた。私は結華の名前もその周りの関係も…全部を奪った…っ。」
「不思議そうな顔をしているけれど、結華と悠里はDNAまで統一されてるから、なかなか気づけないんだよ。」
補足するように白髪の子が
情緒もなしに言っていた。
それを咀嚼し切る前に、
悠里ちゃんはこれまでの澱みを
隅まで吐き切るかのうように
休みなく言葉を紡ぎ続けた。
悠里「結華には、な……何も知らないままで、いて、欲しい…だから、記憶を失って、ちょうどいいんだって…い、言い聞かせて…。」
陽奈「…。」
悠里「いや、それ以上に……指示だから、だか…逆らったら、今の生活が…なくなっちゃう。」
陽奈「…。」
悠里「だからわ、たし…結華をっ…。」
切実だった。
知って欲しいと、
助けて欲しいと切実に訴えていた。
悠里「結華は絵を描くのが好きで…高校に上がる頃にはやめちゃったけど、でも、記憶を無くしてすぐの頃は描いたんだよ、昔みたいに水底のようで辛いけど、でも背中を押してくれるような絵を…っ。」
°°°°°
悠里「なあに?」
結華「………絵、上手だね…。」
悠里「え、本当!?やった、初めて描いたんだけどいい感じだなって自分で思ってて!」
結華「…本当、悠里って何でもできるよね。」
悠里「そうかな。ほら、手が寂しくて勝手に動いちゃってさ。」
---
悠里「でも、結華に褒められて勇気がー」
結華「………ごめんっ…。」
悠里「え?」
結華「……ごめんなさい…っ。」
---
結華「あなたの全てを、全て…奪ってしまって……ごめんなさい…っ……。」
°°°°°
悠里「なのに、今じゃ悠里になろうとしてる。悠里として生きてるから当たり前なのかもしれない。トランペットだって上手くなってきてる。それでも…あの子は悠里じゃないのに、追わなくていい影を追い続けてる。」
陽奈「……。」
悠里「そんなのやだよっ!大切な…大好きな、大好き…そのはずだった家族が…っ……。」
陽奈「…っ。」
結華「私は…結華にはなれな………っ……なれ、ない…ぃ…っ。」
°°°°°
結華「…絵、描いてないな。」
そうだ。
悠里が事故に遭ってから
絵を描いていない。
いや、もう絵はとっくの昔に
やめてしまったから
いいのだけれど、
せっかくだったらと、
今ならと思ってしまう。
しかし。
結華「…。」
描くことか。
描かないことか。
彼女の決意を尊重するべきか。
彼女の願望を尊重するべきか。
私にはどうしてもわからない。
わからないを理由に
この日まで生きている。
結華「…浅はかなのは私も…か。」
°°°°°
悠里「全部全部悠里が……っ…私が、私が悪いんだ…っ!」
「昔のようにあのまま暮らしていたって皆死んでいたよ。」
悠里「それでも゛…っ!」
°°°°°
相良「悠里ちゃんを…返して……っ。」
結華「…。」
---
結華「全部悠里のせいですから。」
°°°°°
悠里「……私が……大好きなか、ぞくを……っ…こ………わした……。」
全てを悔やみ、
そこに正解なんて
ひとつもなかったと嘆いていた。
何も知らないはずなのに心が痛かった。
恐怖だろうか、目尻が熱い。
屋上には鼻を啜る音と
たん、たんとコンクリートの床に
涙が咲く音だけが
静かに響いている。
わずかながら、真っ赤な海は
未だゆらゆらと動き続けていた。
「つい最近のこと。4月だっけ。悠里があなたに言った言葉を覚えてる?」
唐突に私の方を向いて、
可愛げを出そうとしたのだろうか、
小さく首を傾げてそう言った。
何のことだかわからず、
そもそも目の前の出来事の全てを
理解することができておらず、
置いてけぼりにされている。
そのまま首を縦にも横にも
触れないままでいると、
白髪の子は続けて言った。
「あなたに期待している、と言ったこと。」
°°°°°
悠里「てか、レクリエーションって何するんでしょうね。」
陽奈「…まだ、連絡来てないんだっけ…。」
悠里「来てないっすね。」
陽奈「そういえば……槙さんって姉妹なんですか…?」
悠里「そーでーす。結華は双子の妹なんですよぉ。」
陽奈「そう…なんですね…。」
槙さんがスマホを見ているからだろうか、
なんだか話しづらくて
口を噤んでしまった。
少しして彼女はスマホを仕舞い、
ただ互いにぼんやりとする時間があった。
気まずいことこの上ない中、
反対側のホームに電車が滑り込む。
悠里「うちー、陽奈先輩には期待してるんですよぉー。」
陽奈「……え…?」
悠里「今の言葉、忘れないでくださいね?」
陽奈「…あ…うん。」
°°°°°
「あなたは強かった。意外にも。」
陽奈「……?」
「声のこと、残念だったね。」
そうとだけ言い放った。
まるで、今話せる状況にあれば
また違った未来が
待っていたのにねと
嘲笑うかのような言い方だった。
咄嗟に紙とペンか、
スマホでもいい、
鞄から取り出すことができればよかった。
しかし、案の定体は動いてくれない。
力を入れようとしても、
入れた側から床に力が漏れ出ているような、
手のひらに力を入れると
肩がすとんと落ちるような、
骨がなくなってしまったような心地だった。
白髪の子はまた悠里ちゃんに向き直る。
項垂れて動かない彼女を
もはや脅そうとも
胸ぐらを掴もうとすらもしなかった。
「本当に全てを破るんだ。」
悠里「……。」
「残念だな。これまで過ごした数年間すら水の泡だよ。」
悠里「……残念なんて微塵も思ってねぇだろうが。」
「生憎。それは悠里も知っているよね。」
悠里「……。」
「でもね、残念だけど計画がここで滞ることはないよ。」
悠里「…。」
「惜しいね。悠里のこの葛藤も全て徒労に終わるのは私としてもなしにしてあげたかったのに。」
悠里「……お前は指示を出す側でしょ、私たちを脅して、何を…っ。」
「目的は最初に伝えてあるよ。より良い研究結果のため」
悠里「そんなのこれまでを見るに遂行し終えてるでしょ!?違うよ、表向きのじゃなくて、真意はなんなのって聞いてんの。結華がこんなになってまで成し得なくちゃいけないことなの…っ!?」
「結華がそうなったのは自己責任でしょ。私は関係ない。」
悠里「……この…っ…。」
「先生は聡い。いや、当たり前と言えるか。このルートも考慮済みだそうだよ。悠里が裏切ると心のどこかでは信じてなかったんだ。」
悠里「……先生は…。」
「結局のところ、自分と自分が設計した道筋以外は信じられないんだから。けれど、自分の設計外にはとことん疎い。」
ゆっくりと立ち上がる。
ワンピースの裾が赤色で染まっている。
まるで元からそのデザインだったかのようだ。
そして踊るように天を仰ぎながら
1歩、2歩と歩む。
「そう思うと先生も愚かだよ。独りよがりなんだ、いつまでもどこまでも。」
たん、たたん。
1人だけ動いている。
その音が耳に残る。
「やっぱり先生は判断を誤ったんだよ。」
歌うように淡々と喉を震わせる。
ナイフを持ったまま、自由に歩く。
「先生は間違えたんだろうね。もしくは。」
もしくは調律され切った
アトラクションのように軽やかに。
ここにいる誰でもないどこかを見て、
静かに言い放ったのだ。
「君たちが間違えたんだろうね。」
たん、たたん。
靴音が鳴る。
「間違いは直近か、今年度か、それとも去年からか。それは先生もわからないだろうね。わからないからこんなことしてるんだもの。」
たたん、た、たん。
笑うように。
「血迷っちゃったの。長い時間をかけすぎてしまって、先生もおかしくなっちゃった。」
た、たた、た。
時々駆ける音がする。
「君たちは共謀者だ。これら一帯、全ての。」
た……た。
視界の外で立ち止まった。
「これらは物語に思うだろう。でもね、私たちからしてみればここが世界全てで、ここで生きてる。君たちと何も変わらない。ご飯を食べて、学校や仕事に行って眠る。同時に、ちゃんと楽しいし悲しい。喜怒哀楽もある。大切な人と一緒にいたり、何かを得たりすると楽しい。失うと怖い、悲しい。夜は暗い。恐ろしさも不安もある。それを、きっと君たちは隣を歩く人間に操り人形のように糸で操作しているような状況なのだろう。私たちは操られているとも知らずに。」
もう自分の心臓の音と
囂々と巡る悍ましい血液の音、
そして彼女の冷ややかな声だけ。
「君たちは神様になっていないか。それとも人間のままでいられるか。」
そう。
冷ややかな声だけ。
「私からは君たちのことはわからない。だから、もう1度言わせてもらう。」
そう。
……。
「先生は間違えたんだろう。もしくは君たちが間違えたんだろうね。」
最後のそのひと言だけ。
「ああ。」
それだけはどうにも。
「期待してたのに。」
どうにも憂うようで
漸く人間のような音がした。
刹那、コンクリートだけで
覆われていたはずの視界が真っ暗になる。
どうやら彼女に
後ろから目隠しをされたようだ。
冷たい手だった。
そうだ、冬だもの。
今日で2月も終わるのだった。
「大丈夫。明日には綺麗さっぱり、だよ。」
さっき聞いたようなことをまた言って、
私の意識は遠のいていくのだった。
白紙 終
白紙 PROJECT:DATE 公式 @PROJECTDATE2021
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