小悪魔ギャルでちょっぴりメンヘラな後輩がなぜか合コンに行こうとしている俺の家に押しかけてきた件。【バレンタイン短編】
はなびえ
バレンタインデー
「せんぱーい!おはです〜」
冬の深まりをひしひしと感じる2月14日の早朝。
重い瞼を何とか開き少し早めに朝の支度をしていると、こんな時間帯に何故か同じ大学の
「ん、おはよ。こんな朝早くにどうしたの?」
「今日ってバレンタインデーじゃないですか〜」
「そうだね」
「......それをふまえて何しに来たと思います?当ててみてください」
茜はにししと屈託のない笑みを浮かべながらこちらを見つめてきた。
そんな彼女のどこか色っぽい姿に思わず固唾を呑み、一歩後退りしてしまう。
これで外したら大学中の笑い者になってしまうだろうが、おそらくはそういう事だろう。
「チョコを渡しに来てくれたとか...?」
俺の答えを聞くやいなや茜は、俺の耳と茜の唇が触れてしまいそうなくらいの距離まで近づいてきて耳打ちしてきた。
「...半分正解で半分間違えです」
「それってどうい...」
俺の問いかけに被せるかのように茜はスマホを差し出してきた。
「先輩、今夜合コンに行く予定なんですよね?」
スマホのディスプレイには俺がLINEのグループで、大学の友達と合コンの計画を立てている一部始終が映し出されている。
「元カノさんに浮気されて今は恋愛したくないんじゃないですか?」
「そ、それは...気が変わったていうか」
「今は私みたいな気の合う飲み友達がいればいいんじゃないんですか?」
茜は俺のネクタイを引っ張りながら、再度お互いの唇同士がくっつきそうなくらいの距離まで近づいてきた。
「先輩にとって私は、勘違いさせるような事いっぱいして飽きたら捨てる、そんな都合の良い女なんですか?」
「勘違いさせるって...そんなこと!」
「私の初恋を奪っておいて他の女に尻尾振るんですね......他の女にうつつを抜かすなんて絶対に許しません」
何だか嫌な予感がして茜から離れようとしたその刹那。
茜が行き場のない怒りをぶつけるかのように熱烈な口付けしてきた。
チョコレートのように甘くてどこかほろ苦い愛の風味が口いっぱいに広がってくる。
「あーあ...私のファーストキス奪っちゃいましたね」
茜は妖艶な微笑みを浮かべながら、もう逃がさないぞとばかりに抱きついてきた。
茜の体温や柔らかい身体つきが全身に伝わってくる。
「既成事実できちゃいましたね」
世間一般的に考えて、ただの友人同士があんなキスをするわけがない。
......これはもう認めるしかないのだろう。
「...ああ」
俺の返答に安心したのか茜は抱きつく手を離し、自分の首についてる赤いリボンをアピールしてきた。
「......バレンタインデーのプレゼントは私です」
「...」
「今日はこのままサボっちゃいましょ...解いて、あなた」
〜作者から
今回はバレンタインデーという事で短編を執筆してみました。
今後も気が向いたら、季節や行事ごとに短編を投稿していこうと思いますのでよろしくお願いします〜
小悪魔ギャルでちょっぴりメンヘラな後輩がなぜか合コンに行こうとしている俺の家に押しかけてきた件。【バレンタイン短編】 はなびえ @hanabie
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