三篇とも「砂の王国の砂」というお題に沿って書かれたもの。
寂寞とした詩情が圧巻。
ガーゴイルとなって地球儀の上から宇宙を見詰めているような作者のイマジネーションの豊かさを堪能できる。
簡単な感想をもって紹介としたい。
1.眠り砂
スター・ウォーズにこんな怪物が出てきた気がして調べてみた。
『カークーン大穴のサーラック』だった。
似ているというのは形状だけである。
2.ゾティークの珠
世界の終焉は瞼を閉じることによって果たされる。
ダイイング・アースを見届けたこの者は、とうの昔に、白水晶を抱いて棺の中だったのかもしれない。
十九世紀に砂漠の遺跡で発見された木乃伊のみる夢なのだ。
少女とみるか、少年とみるかは、読者しだい。
3.箱庭療法
叫び声は「ブリキの太鼓」のオスカル・マツェラートを彷彿とさせる。
人はあまりにも哀しいと狂う。
掘り返される玩具は砂底に近いほど懺悔も慟哭も恐怖も深い。