第23話 観光
翌日、まあまあ遅い時間に起きた僕はそのまま街へと出ていた。
朝ごはんは屋台で済ませよう。
この世界では銅貨五枚あれば腹が満たされるのがいい。
前世じゃファストフードでも千円いるようになっていたからなぁ…
屋台で買った串焼きを頬張りながら街を進む。
シフォンと会ってからは元気っぷりに振り回されたりしていたからな。
こうして一人歩くのもたまにはいいのかもしれない。
路地を抜け、またもや路地に入っていく。
そうしてたどり着いたのは魔道具店
外観はtheおしゃれ雑貨屋といった風合いで、カラカラ回るおもちゃやガラスのランプが展示されている。
ドアベルの音を聞きながら、店内へと進む。
えーとなになに…『身代わりテディベア』?魔力の紐づけで小さなダメージを一度だけ肩代わりするというもの。お値段は金貨三枚。
肩代わりできるダメージも浅い切り傷まで…
まあ買う必要はないな。
お次は『魔力タンク』。お値段白金貨三枚。きちんと高いが魔力をためておけるというのは魔法使いにとって一度に使える魔力が増えるのでアドバンテージすぎる。
貯金しなきゃ…
「お前さん、背中のその剣相当な業物だね?」
どこからともなくそんな声が聞こえる。
声のもとを探せば、カウンターの奥にいる老婆だった。
「…なぜ、そう思ったのですか?」
「強いて言うならオーラさね。長年この仕事をしているとそういう素材も見ることがあってね。使ったことも何度かある。何度見ても面白いね。まるで生きているみたいだ。」
「生きている?」
「ああ。そうさ。その剣はおそらく『魔剣』だ。一部の技師しか知らないしほとんどおとぎ話だが、それは__________剣だ。」
「…なにか特別なんですね?」
「おや?もう一度言おう。魔剣は__________剣だ。___変わらない。」
「…?」
「まあ一部のものは独占欲が強いらしい。そのうち分かるさ。」
もやもやさせる終わり方だな。
「まあ、お前さんがその剣を手放さなかったら、剣も応えてくれる。」
…ちょっとだけ出番増やしてあげようかな。
「ウチならそいつの中枢以外なら修理できる。そのレベルなら早々ないが故障したら見せにきな。」
「あ、ありがとうございます。」
「ほれ。いいもん見せてくれたお礼だ。」
そう言って奥から取り出したのは…服?
「見たところ冒険者だろう?その剣を持つ者が死んでしまうのは避けたい。そういうわけでこの服だ。刃物、刺突はほぼ完璧に防げるが、衝撃や圧力は普通にかかるから気をつけなさいな。」
鎧の下に着る事ができる服だ。
これで万が一攻撃が当たってもなんとかなることになる。
ただ…
「サイズが合ってなくないですか?」
「サイズ調整ぐらい標準装備だ。ほら、持ってきなさい。」
魔道具屋のばあちゃんすげぇ。
「ちなみに、これいくらぐらいします?」
「白金貨五枚ぐらいだね。」
五十万…流石にもう一着はまだ先か…
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