第22話 輸送
オーク二体を殺した僕たちは気を良くしたまま森の奥に…なんてことはなく。
しっかりとシフォンが剥ぎ取りをしてくれ、ついでにその匂いにつられたオークをもう一匹殺して合計三匹分の皮を持って帰る。
「…肉、どうしようね。」
「台車とかもないからね。」
あっ
「ここでアレを試すときじゃないのか?」
「アレって?」
「シフォンさんの悲鳴のせいで試せなかったやつ。」
アレとは、石に魔力をまとわせる…簡単に言えば魔鎧を僕以外のものに使用しそれを操作することができるのかという実験だ。
この前は石だったが今日は肉塊に魔力をまとわせる。
密度は肉の重さに耐えられるぐらい。
調整して肉塊を覆う!
そして少しずつ上に上げていくと…
なんのアクシデントもなくしっかりと空中に浮いた。
「おお!グラドの魔法はそんな事もできるんだね!」
でもこれ消費が激しいな。
めんどくさいので大きめの魔壁をつくり、
「この上に肉全部乗っけていいよ。」
「へぇ~。ありがとう。」
僕も手伝いつつ、全部乗っけたあとは、天井をなくした軽トラのような形に魔壁を増設する。
念のため肉の部分には壁だけではなく天井もつけて。
「ここ座って。よし!じゃあ王都まで帰るよ。」
「これで?」
「うん。こんなふうに。」
ビュオォォォォォォォォ
風を切りながら一直線で街へと向かう。
魔力の消費はそこそこ、薄い壁な分魔鎧よりマシだ。
すぐさま北の門にたどり着き、門番にすごい顔をされる。
「ここからは歩きで行こう。人に当たると危ないし。」
「そうだね。ていうかあんなことできるなんてね~。魔法の練習もしとけばよかったよ!」
最近気づいた無属性だけの利点だが、属性によって魔力が変質していないので魔力を体内に戻せるのだ。
というわけで軽トラの座席部分を消し、床一枚だけにしてギルドまで運ぶ。
「これ買い取りお願いします!」
「この肉もお願いします。」
「少々お待ちください。」
買取カウンターに出して5分後ぐらいにすぐ、
「皮の方は一枚銀貨五枚で銀貨十枚と真っ二つのものの分が銀貨三枚で合計銀貨十三枚、肉のほうが合計で金貨十枚ですね。」
といって硬貨の入った袋を渡してくる。
「やったね!たった三体で金貨十枚以上の報酬だよ!」
「うんうん。ゴブリンよりもこっちを狙ったほうがいいねこれ。」
かなりの報酬に心を踊らせながら、半分に数えて割る。
二人合わせて約十一万三千円…ゴブリンと比べたら雲泥の差だ。
今の所持金はそれなりにあるのでなにか冒険に使えるものを買えるといいな。
この世界には魔道具があり、ダンジョンの中で見つかることもあれば作ることもできる。団長からもらった剣もそうだ。
明日は魔道具を探しに街に出かけよう。
宿に帰った僕らは食事を取り、それぞれの部屋に戻った。
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