第21話 オーク
いつも僕とシフォン、サックさん、ルドーさんが使っているのは東側のギルド。
だが今日は訳あって北側のギルトに向かっている。
それは…
「オークって革も肉も全部売れるから結構一匹あたりが高くなりやすいんだって!」
ゴブリンに並ぶファンタジーの人気者、オークを討伐するためである。
王都近辺では北にある山の低い場所に生息しているため、北側に
「でも僕剥ぎ取りできないよ。できたとしても肉を運ぶ手段がない。」
「私できるよ!なんてったって田舎娘だからね…へへん。」
「あんま誇ることではないかな?ありがたいけど。」
シフォンは王都から少し離れたところにある農村の出だ。
農村と言っても大量消費地の近くで、娘にアホみたいにでかい斧を作ってやれるぐらいには潤っている。
そしてそこで狩りを学んでいたからできる…と。
でも。
「オークのさばき方わかるの?」
「だいじょーぶだいじょーぶ。ほぼイノシシと変わんないよ!」
「まあ一理…あるかな?」
この世界のオークは豚タイプではなくイノシシタイプだ。
一・九センチメートルほどの身長の毛むくじゃらの大男に猪の頭がくっついている魔物であり、ゴブリンとは比べ物にならないほど強いが魔物としてはDランクだ。
だが侮ることなかれ、初心者をゴブリンが、中級者をオークが冒険者を殺す原因のツートップと言われている。
武器もゴブリンが粗末な剣もしくは素手なのに対し、全員が槍や斧、防具もしっかり着用するものもいる。
今回は団長からもらった剣一本で戦う。
二刀流も覚えたが元々一本だったので問題ない。
少し大きいのが両手持ちなら十分に振れる。
隠れながら麓の林に入っていく。
「結構先だけど居るね。兜被ってるし鎧も金属製だ。ちょっとだけ時間貰えればぶち抜けるよ。どうする?」
「いや。私にやらせて。」
「分かった。後ろで準備しておく。」
オークが後ろを向いた瞬間、シフォンは飛び出した!
斧を空中で振りかぶり、振り下ろす!
ドガァァンッッ
被っていた兜は谷型に大きくひしゃげ、下の頭も破裂している。
昨日斧を軽く触らせてもらったがびくともしなかった。
それを軽々と振るうシフォンの腕力だったらああなってもおかしくはない。きっと。
彼女の服は返り血で汚れているが、僕はああならないようにさせてもらおう。
そこまで遠くない場所にオークを発見。
全力で行こう。
体全体に魔鎧を展開。
こうすることで魔鎧にしか血がつかない。
完璧だな…
魔駆を利用し近づき飛びかかる。
縦に振り下ろす…確か唐竹割りだったか?
ズパンッッ
縦に真っ二つ。何なら力を込めすぎてちょっと地面に刺さっている。
兜も鎧も何もかも真っ二つだ。
怖!?
この世界の名剣は切れないものがないのかもしれない。
あるかは別だがこんにゃくも切れるのだろうか…
「グラドの剣すご!鎧まで切れちゃうの!?」
「初めて使ったけどびっくりだよ…」
血を振って落とし、更に布で拭ってから鞘に戻す。
怖いからまた封印だな…
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