第18話 クエスト
ランク制度はその冒険者がどこまで戦えるのかということの一つの指標だ。
◯ランクモンスター、◯ランク冒険者と表現され、上からS、A、B、C、D、E、F、Gとあり、同じランクのモンスターを確実に討伐できるだけの力を持っているということになる。
もちろん討伐だけが仕事ではないのでその他にも意味はあるのだが、世間一般的にはそう言われている。
Fランクモンスターまでは武装した一般人が勝てるレベル。
Eからは一般人では少し厳しい、戦闘経験を積めば勝てるといった具合のモンスター。単体のゴブリンなどが該当する。
そして上位個体の場合は基本的に一段階、稀に二段階ほどランクが高くなるらしい。
最近は上位個体というものが異常に増えてきており、二、三年に一回ペースだったものが月単位で出てくるようになったらしい。
僕が倒したあのゴブリンは当時Cランク上がりたての二人が手こずったのでCランク上位からBランク下位というのがギルドの判断。
そうなることを見越していたサックさんが紹介状を用意してくれていて、今回ランクアップ試験を受けることができた。
受けられるクエストが自分の一つ上のランクまでなので、低ランククエストで時間を使わなくていいのはありがたい。
受付の人からギルド証を受け取り、クエストボードを確認する。
今日いまからできそうなのは…あった。
特技の一つと言えるほど繰り返したゴブリン退治だ。ランクはD。
すぐさま受付にクエストが書かれた紙を持っていき、街の外まで出る。
魔駆で依頼場所の森までやってきた。
一応言っておくが、故郷の森じゃない。
歩き始めると一瞬で第一ゴブリン発見!とまでは行かないが、割りとすんなり見つけることができた。
一撃で仕留め、討伐証明部位の左耳をナイフで取る。
転生したてはこれだけでも吐き気がしていただろうが、もう随分と慣れたみたいだ。
魔槍をただ突き刺し、魔弾に形を変えることで穴を開け、ゴブリンの死体を穴に入れて火打ち石で燃やす。
ゴブリンの素材は売れないし、こうしないとアンデットになってしまうからだ。
これが地味にめんどくさい。
非常に面倒なのでゴブリンを一箇所に集めてからにする。
方法は簡単。
石を投げて挑発すればいい。
見つけ次第どんどん石を投げていき、大体二十匹になったところを魔斬!
ザシュザシュッ
重なるように聞こえる切断音のあと、すべてのゴブリンの左耳をナイフで切り取り、さっきよりも広い穴を開けて、入れて、燃やす。
簡単な仕事である。
慢心気味になりつつあった自分を戒め、合計二十一匹分のゴブリンの耳を街に帰ってギルドの受付に提出する。
「ゴブリンが二十一匹分ですので、報酬はクエスト分の銀貨二枚と、二十一匹分の討伐報酬合計金貨二枚と銀貨三枚です。」
日本円にして二万三千円。
消耗品の買い直し、武器の手入れ、宿屋代などで消えたりもするので、実際はそうでもない額なのだが、未だに前世の感覚が抜けない僕は自分が少しお金持ちになったような感覚になる。
そう考えると騎士団って結構いい待遇だったんだなぁ。
出てきてから一週間も経っていないが、騎士団に思いを馳せる。
こうして、僕の冒険者としての初仕事の日が終わった。
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主人公グラドが騎士団長ゴードンからもらった剣の価値を下げたくなかったのでゴブリンの価格を一体銀貨三枚から銀貨一枚(千円)にしました。
剣の値段は逆に黒金貨十枚から三十枚に変えます。
大体外国のスーパーカーぐらいの値段だと考えていただけると幸いです。
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