第17話 実技試験
パリィン
こちらの頭を狙った攻撃なのかは分からないが魔壁を使い防ぐと同時に魔駆でその場を離れる。
空中で剣を抜き、着地と同時に周囲を警戒する。
「いまのはっ!?」
奥から弓を持った男が出てくる。
「グラドさんにはこれからあの方と戦ってもらいます。それでは、試合開始!」
ヒュン
混乱する頭の中、相手の矢を避ける。
鏃はついていないが当たりたくはない。
そして向こうが殺しに来ていないのに魔槍と魔斬は使うわけにもいかない。
よってここは魔弾だ。
周囲に十個ほど生成し、全てを同時に放つ。
だが微妙に軌道を変えることで避ける場所を見つけづらくしている。
ドガガッ
ギリギリのタイミングで全てかわされ、また矢を放つ男。
避けるのも面倒なので魔壁で防ぐ。
カキィンッ
高い音を出し矢を防いだその魔壁の濃度を高め前に射出する。
ゴブリンにあの時したような目隠しにしたかったが距離がある。
当然遮蔽物になるわけもなく、横に走られ躱される。
距離があるから分断するぐらいの壁ではないと相手の視界は塞げないだろうだろう。
そして直接は当てづらい。
なら罠を作って当てたらいい。
十個の魔弾を生成、だがさっきとは少しだけ違う。
それは魔力が消滅しない魔弾が混ざっていること。
着弾しても魔力がすぐには消えず、ゴブリン戦で使った魔鎧の変化の要領でそこからも魔弾を飛ばせる。
ドガガッ
またもや避けられ、矢が飛んでくる。
次の矢がつがえられる瞬間、男の顔面と肩に魔弾を放つ!
ゴウゥッッ
突如として暴風が吹き荒れ、魔弾はかき消されてしまう。
次の瞬間、見えたのは目の前にある矢。
ギィィィィィィィンン
反射的に魔壁を展開すれば、生成途中で矢が刺さり、凄まじい音を立てる。
一瞬でも遅れたら頭に当たっていた!
密度を低くした魔壁を周囲に展開。
これで周囲を見渡しながらいざというときは防御ができる。
そして反撃のために魔弾をこれまでの倍の数、倍の密度で作り出す!
「そこまでっ!!」
これまで受付の人の声が響く。
「もう十分ですグラドさん。そしてリーヨさん、ランクアップ試験にご協力ありがとうございました。実技の方は必要十分以上であることが確認できたので、筆記の採点が終わり次第ギルド証を発行します。」
らんくあっぷ?
「ランクアップって…まずそもそものランクがわからないのになんで…はっ!」
気付いてしまったが、これは二人がくれた手紙のせいではないだろうか。
「確認が取れた」だとか二人のニヤつきと棒読みもこれがあるからだとすれば説明がつく!
「大丈夫だよー。心配しなくてもグラドくんならきっとDランクになれるよぉ?」
「サックさん!これはどういうことですか!」
「いい戦いだったなグラド。あそこまでやれるとは思ってなかった。」
「ルドーさんまで!とにかく説明してください!」
前世含めたら二十代後半だというのに喚き散らかす僕に、二人は言った。
「これは他の冒険者の推薦で受けられる飛び級試験だねー。予想はついてそうだけど、僕らが渡したあの手紙が推薦状でーす!」
「それを渡せばギルド証の発行手数料免除、そして無料でランクアップ試験を受けられる。グラドなら行けると思って渡したが正解だったな。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます