第16話 ギルド
この馬車は行商のついでといった感じで運営されており、護衛もいるので安全だが運賃が取られる。
こういった護衛も冒険者の仕事なんだろう。
団長からもらった剣にまた布を巻き付け、背中に背負う。
とてつもなくいい剣だが流石に目立ちすぎる。
普段は騎士団の剣二本でいいだろう。
窓の外を眺める。
__________
これといったことは何もなく、無事に王都についた。
早朝出発で着いた今は深夜だ。
このへんは森にしか魔物が出ない平和なので夜でもノンストップ運行。
こういう街は夜は門が閉まったりするのが相場だが、この街はいつでも門を開けているらしい。
魔物はいないが警備は大丈夫なのか…?
門番の兵に通行料を渡し、街の中に入る。
故郷の街も大きかったがここはレベルが違う。
かなり離れているはずなのに存在感を放つ王城。
城壁はさながら要塞だ。
城下町の王都では夜も街に活気があり、人こそは少ないが酒場からはにぎやかな声が聞こえる。
さて、まずは冒険者ギルドだ!
王都には外壁四個の入口のうち、北側と東側にギルドがあり、メインストリートを進むだけで見つかるらしい。
小走りで道を進み、街の中心、バカでかい噴水があるところからさらに右側に進む。
大きな建物の上に弓と剣のマークの看板。
冒険者ギルドの文字は夜なので見づらい。
二人から聞いた話では戸は常に全開らしいのだが閉まっている。
試しに引いてみれば開かない。
まあ前世のヨーロッパと似た文化だしな。
そう思いつつ扉を押s…しまってるわコレ。
__________
宿に駆け込み次の日の朝、冒険者ギルドの戸は話通りに開かれていた。
中を覗けば、見知った背格好の二人組がいる。
「サックさん!ルドーさん!」
振り返った二人はこちらを見て、笑ってくれた。
「よく来たねぇ!約束どーりだ!」
「随分と大きくなったな。」
少しの間世間話をして、
「ギルドに登録がしたいんですが…」
「かしこまりました。文字は書けますか?」
「はい。大丈夫です。」
「でしたらこちらの書類に記入をお願いします。」
渡された書類に名前と属性と使える武器を書き込む。
「あ、あとこれもお願いします。」
前に渡された手紙も一緒に提出する。
わずかに驚く受付の人。
「少々お待ちください。」
気になって後ろを見ればニヤついているルドーとサック。
「なにか可笑しいことでも起きたんですか?」
「イヤー?ナニモ?」
「ドウシタンダ?」
カタコトで棒読みって…
「確認が取れました。グラドさん。こちらにお願いします。」
連れて行かれたのは地下の…闘技場?
戦っている人も観客もいないが、それと似た雰囲気を醸し出している。
その真ん中に置かれた机とその上の冊子。
「では、その問題を解いてください。」
トチ狂った場所に置かれた机に座らせられ、枠が書かれた紙とペンが渡される。
これなにの試験?
ペラッ
問題を見ると薬草の知識を問う問題や簡単な計算問題。
面白いのだと生息地の振り分け、モンスターへの対策方法を問う問題があった。
長いこと騎士団にいたのでわからない問題も少なく、まあ無事にとき終わった。
なんでこんなものを受けさせられたのだろうか…
そう考えていると、視界の端で何かが光った。
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