🎼7話🎼 青春の始まり
「制服と体操着は採寸があるから、今日の放課後にワイと購買に測りに行かなきゃいかんのだが、時間あるか? あとこれ、今日使う教材だ」
しばらくして、隣の部屋からクリアファイルを持ってきた高橋先生は、それを僕に渡してそう言った。
「ありがとうございます。時間はあるので採寸は今日で大丈夫です」
「おう、じゃあそういうことで。亮はもう教室行っていいぞ、蒼空くんを連れてきてありがとうな」
「わかりました。失礼します。それじゃ蒼空、また後で」
「うん、助かったよ」
「蒼空くんはワイと教室に行くから、先生の朝礼が終わるまで、廊下のベンチにでも座って待っててくれるか」
「はい、では」
一礼して、職員室を退室する。先生の言った通り、近くにベンチがあったのでそこに座って、ぼっーとする。丁度廊下の向こう側は大きな窓があり、そこから校庭で朝練をしているであろうサッカー部らしき男子生徒が走り回っているのが見えた。
(なんか、こういうのって懐かしいなぁ……)
入学したはいいものの、去年はバンドの練習や宣伝ライブに忙しく、高校にまともに通えなかった。蒼空にとって、のびのび学生生活を送るのは下手をしたらバンド結成前の中学のころ依頼かもしれない。そんなことを考えていると、どこか感傷的になってしまい、慌てて鞄から本を取り出し、気持ちを落ち着かせる。
昔から読書は好きだった。ちょっとした隙間時間に活字と睨めっこすると、不思議とリラックスできて、昔から続けてきた。一般的な男子高校生と比べれば、忙しかった割には活字と触れ合ってきた時間は長いと自負している。
『ぱらっ……………ぱらっ……………』
職員室から聞こえてくる先生方の話し声に交じり、蒼空のページをめくる音だけが静かな朝の高校の廊下に木霊する。
こういった一人の静かな時間も、蒼空は決して嫌いじゃなかった。
そしてこれまた静かに、蒼空の青春の一ページ目がめくられようとしていた……。
☆☆☆
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