モブ鳥とりもなおさず

鳥尾巻

脱力ならお任せください

 皆様ごきげんよう。鳥尾巻とりおかん、いえ、モブ尾巻でございます。

 私がモブ尾巻と名乗るようになった経緯を知りたい初めましての方は、参考までにこちらを少しご覧ください。(読まなくてもいいです)


【モブ鳥落とすイキオイ】

https://kakuyomu.jp/works/16817330668411924495


 さて。前回は気配を消して生きるのが得意と語ってきましたので、今回は痛みについてお話したいと思います。


 これは気配を消すのと同義になってくるのですが、痛みを感じた時、皆様ならどうしますか。


☆「痛い!」と叫んで走り回る。

☆身を縮めて声もなくうずくまる。

☆歯を食いしばって耐える。


 私から言わせると、これはどれも間違っています。騒ぎ立てれば、交感神経が活発になって、アドレナリンの放出で一時は痛みが緩和されたような気になりますが、あまり持続しない方法です。

 痛い時は、瞬時に脱力するのです。息を止めてはいけません。鼻からゆっくり息を吸い、口からゆっくり息を吐くのです。

 この時、丹田を意識しましょう。丹田とは、内丹術で気を集めて練ることにより、霊薬の内丹を作り出すための部位のことです。上中下とありますが、ここでは下丹田、つまり臍下三寸 (約9cm)のところにある臍下丹田のことを指します。

 丹田式呼吸法は、快感や幸福感を生み出す神経伝達物質セロトニンを分泌すると言われています。いわゆる「幸せホルモン」というものです。


 子どもの頃から偏頭痛に悩まされていたモブ尾巻、ひどい時は光や空気の動きにさえ反応して、嘔吐を繰り返していました。若い頃はホルモン過多ですから仕方ないとはいえ、過剰反応は辛い事です。


 カリカリイライラして人に当たったりしてはいけないと思い、自分を押さえ込む日々でした。とはいえ、わりと血の気の多い家系なので、友達と大喧嘩して目の周りにパンダ痣などを作ることもしばしば。

 それもこれもみんな痛みのせいです。(嘘です。良い子は真似をしてはいけません)


 何か解決策はないかと医者に通い、脳神経関連の本を読み漁ってみても、どれも腑に落ちません。

 しかし、ある時、ヨガの教えを説いた本を読んでいて、呼吸法に思い至りました。痛みがある時は呼吸も浅く乱れがちになります。そこで肩の力を抜いて、静かに呼吸する。ただそれだけのことで、ずいぶん楽になりました。(個人差あります)


 成人してからは、本格的にヨガや呼吸法、ツボ押しなどを学ぼうと、あちこちの講座に出かけてみました。そこでもやはり呼吸の重要性を説いておりました。


 人ぞれぞれ、適性はあると思うのですが、モブ尾巻はリラックスと脱力にかけては、類まれなる才能があったようです。

 顔ヨガの先生が、頭痛に効くツボを教えてくれる横で、リラックスしすぎて秒で寝落ちしていました。先生には「今まで色んな人に教えて来たけど、寝る人は初めて見た」と呆れられました。


 出産の時、無痛分娩ではなかったのですが、ソフロロジーというヨガ発祥の呼吸法を取り入れた産院で、寝ながら出産したこともあります。

「なんか出て来たみたいだからお医者さん呼んで~」と寝惚けながら言ってるうちに生まれきて、先生が間に合いませんでした。足の間で「おめでとうございます」と頭を下げられて、微妙な気分に陥ったことは良き思い出です。


 しかし、モブ尾巻も決して痛みに強い訳ではないし、いつも黙って耐える訳ではないのです。「痛い」と叫ぶことは、周りに危険を知らせると共に、自分の身も護れますからね。


 そして、おかしなことに、呼吸法を試しているうちに、気配を消して周りに同化することも上達したように思います。


「呼」息を吐く。「吸」息を吸う。シンプルで奥の深い、生きる上で基本的なこと。


 モブ尾巻は静かに静かに呼吸しながら、力を抜き、痛みを忘れ、存在を消し、壁と同化していくのであります。


す……(消える)

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