7話 一筋の光明
「俺が悪かったよ。ごめん」
「その言い方なんなのー‼」
キーヴァは真っ赤な顔で怒っていた。目には少し涙が見えた。
「いや、あまりにも子供みたいな発想だったから……」
「言ってみろって言ったのはそっちでしょ‼」
「だからごめんって言ってるだろ?」
「もっとしっかり謝れ‼」
「はいはい、ごめんなさいキーヴァ・オドハティさま。
貴方は昔から頭が悪く、私が勉強を教えてもすぐに逃げ出し、最後には教科書を全部捨てるくらいに考えることが嫌いなのに、アイゼンハウアーが実は魔族領の途中で引き返して、どっかに隠れて、魔族の仲間に助けて貰いながら、魔族がアイゼンハウア―に化けていたという頭の悪い結論を導き出せるとは夢にも思いませんでした。
本当にごめんなさい」
言い終わると同時に蹴りが飛んできた。
ヴィンスは既のところで避けることができた。
「あ、足を上げるのは行儀が悪いからやめろって教えただろ……」
「ごめんねー、私は覚え悪いからさ」
「あらら……まさか嫌味を逆手に取るとは、恐れ入ったよ」
「やっぱり嫌味じゃねーか‼」
キーヴァの回し蹴りがヴィンスの頭に直撃した。
ヴィンスはきれいに孤を描きながら宙を舞った。
そして、勢いそのままに、資料の山に頭から落ちた。
「ちょっとは反省しろ‼」
周りにいた兵士達も流石に何事かと視線を向けている。
キーヴァは、その場から立ち去ろうとすると―――
大きな笑い声が広場に響いた。
慌ててキーヴァが振り返ると、ヴィンスがむくりと起き上がってきた。
笑いながら。
「……そうか。わかったぞ」
キーヴァは恐る恐る聞いた。
「どっか頭打ったの……?」
「……キーヴァ」
「え?」
「まだ、ひっくり返せるかもしれないぞ」
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