第5話 校門前にて

--放課後


「ふぅ」


 俺は、現在校門前に立っている。

 理由は簡単、図書委員がかち合ってしまった少女。三間奈緒に奢りをする為に待っている。


 あんな顔をして、頼まれたら断り辛いし実際に快諾したら、安堵の表情をしていた。相当切迫詰まっているのだろうか。


 興味ある女の子を待っているのであれば、嬉しいが最初から別の人が好きな女子といてもあんまり嬉しくねぇ。


 スマホを弄りながら、カッコつけて校門に寄っかかっていると誰かに話しかけられる。


「誰待ち?」


 隣の席の白坂さんだ。


「いや、まぁ...ある人に相談されてな」


「へぇ、誰?」


 ジト目でこちらを見つめてくる。


「恋愛関係の相談なんだ。そんなペラペラ喋れない」


「じゃあ、こんな所で待ち合わせしちゃダメじゃない?」


 凄い突っ込んで来るじゃんこの人。


「もうここに待ち合わせしちゃったんだから、しょうが無いだろ」


 三間が、指定してきたのだ。俺は悪くない…はずだ…。


「全然相談され慣れてないね。私が手伝ってあげようか?」


「えっマジ?」


「うそ、この後予定あるから無理だけど」


「なんだそれ……」


 正直、俺一人では荷が重いので手伝って欲しかったのだが。

 そんな心境を察したのか、俺の顔を見て白坂がニヤニヤしてくる。


「別のクラスの子の相談に乗ってあげる優しい松田くんは、同じクラスの子の相談も乗ってあげるよね?」


 おちょくってきやがった。


「相談し慣れてないオレでいいのか?」


「そんな大した相談しないし」


 こいつ...俺だってそんな暇じゃないんだがぁ?


「はぁ…そうですか、まぁいいよ」


 変に言いふらされるないように口止めも兼ねて、乗ってやるか。


「言ったね。言質取ったから」


ビシッと俺に指を差す。


「そんな大したアドバイス出来ないぞ」


「大丈夫、期待してないから」


 にししと笑いながら、白坂は言う。


「おい!」


「じゃあね」


「また明日な」


 俺も合わせて挨拶する。


 すると「あっ」と気づいたように白坂が振り返る。


「そうだ。ポッケに手入れながら、校門に寄りかかって待ってるの最高にダサいよ」


「えっ?」


「あはは、バイバイ」


 そう言って、手を振ると行ってしまった。


すると隠れて居たのか、三間が直ぐにこちらに寄ってきた。


「えっ、彼女?」


「違うが」


「もう、焦らせないでよ。彼女居るのに私と2人きりとかになったらやばいじゃん」


 やれやれみたいなポーズしてきた。なんかムカつくな。


「ほら、早く行くよ」


 俺の手を引っ張って行った。

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