第4話 図書室の妖精さん
昼休み
無事に、四限までの授業を終える事ができた。授業中に、小テストがあったが勿論解く事は出来なかった。
しょうがないじゃ無いか。だって、やったの10年前だもん。
そんな事を考えながら、ぼっち飯をキメていると大林から俺が図書委員である事を聞かされた。
どうやら、ここ最近松田が仕事をサボっているらしく大林の幼馴染が困っているとのことだった。
昼休みこそは、
◇
仕事内容は、本の貸し出しの受付を昼休みにするというもの。
仕事は、基本2人で行うのだが文句を言っていた当の本人、大林の幼馴染が来てない。
サボるんじゃないよ。松田もサボってたけど。
司書の方に図書委員の仕事を一通り教わると、同じクラスであるたしか、
そんな彼女が背伸びをして本を取ろうと頑張っていた。
そのまま放って置くのも可哀想なので俺は本棚に近づき、映画のワンシーンの様にスっと本を取り朝田に本を渡す。
松田の高身長が役に立ったぜ。
「あ……ありがとうございます」
「どういたしまして」
「何読んでるんだ?」
「へぁ!?えっえと、最近は推理小説を……」
「そっか、俺図書員で暇でさ、スマホも弄れないし何かいい本無い?」
まぁ、本も読んでいいという訳では無いそうだが。
「え……。私?そんな、松田くんが見ても面白くないかも……思います…けど」
「え?結構難しい感じ?」
「えっ、へぁ!?ごめんなさい!!そんな……難しいかどうかじゃなくて、みんな知らない様なマイナーな作家を見ているので…だから…」
あれ、怖がらせちゃった?
ここは、スマイルスマイル。
「いや、暇つぶし程度に見たかっただけだし、迷惑だったか?」
渾身の笑顔と共にフォローをかける。
「いや……。オススメ出来るのは嬉しいんですけど…面白く無いかも知れないので」
「気にしないよ。むしろ朝田さんの趣味全開で選んでくれると嬉しい」
「そうですか!なら……これとかどうでしょう!」
すると、朝田さんはパァッとなった。
良かった俺が怖い訳じゃなかった様だ。
まぁ、つまらないって言われたらショックだし、勧めづらいよな。
とそんな事を考えていると、俺の手の上に本が積まれていた。もう6冊はあるが留まる気配がない。
「いや、1~2冊位で良かったんだが」
「へぁ!?ごめんなさい!」
「まぁ、ゆっくり見るさ。」
そんな朝田と楽しくしていたら同じクラスである図書室にいた他の生徒が声を掛けてきた。
「本借りたいんですけど」
「あぁ、すいません」
急いで受付に戻り一通りの作業を行うする。
対応も終わったのでふと、朝田さんの方を向くと大林と楽しそうに会話をしていた。
朝田さんが、俺の手が空いたことに気づくとこちらに本を両手で抱えながら、パタパタと近づいてくる。
「あ、松田くん。オススメの本なんですけど。これです」
渡された本には、『富士樹海の殺人』と書かれていた。
結構、怖そうなの読んでるな。まぁ、ミステリー好きって言ってたしこんな感じか。
「大林くんも読んでて、面白いといっていたので2人のお墨付きです!なので面白い自信あります!」
朝田さんが興奮しながら言っていた。
「おお、そんなんだ」
そう言いながら、大林がいる方を見ると大林はニコッと笑った。
何だあの、はしゃいでいる彼女を見守る彼氏の様な眼差しは。
「ミステリー興味無かったですか?」
朝田は不安そうな顔でこちらを覗き込む。
「いや、全然大丈夫よ」
そう言うと、「良かったです」と言って大林の元へ戻って行った。
ガラッ!
瞬間、図書室のドアが行き良いよく開く。
「あっ、サボり魔が来てる!!」
俺に向けて言ってきたのだろう。初対面で失礼な言葉を言ってきた少女はヅカヅカと近づいてきたと思えば、隣に座って来た。
「松田くん?だっけ。君がサボってる間、仕事私1人でやってたんだからね」
「あぁ、その際は申し訳ございませんでした。」
「ホントだよ。私一人で大変だったんだから」
やれやれとした顔で、こちらを見つめてくる。お前、ちゃんときてたんだよぁ?怪しいのだが?
とはいっても、言い返せる立場でも無いので
「悪かったよ……。何か奢るよ」
「えー、ホント?じゃあ……お言葉に甘えて」
待ってましたと言わんばかりの顔でこちらを見てくる少女。
致したかない出費だ。まぁ、松田の金だから良いが。
「……で、奢りの代わりに手伝って欲しい事があるんだけど」
真剣な表情になりこちらを見てくる。
「……?なんだ?」
「康太と私のキューピットになって!」
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