第3話 学校にて

 松田翔太は、ちょうどこの時期。高二の夏休み明けから学校へ来なくなってしまった。


 理由は分からない。しかし、重要のは俺知っている松田翔太の歴史が大きく変わるターニングポイントで別の道を選んだという事だ。


 タイムパラドックスによって自分が消えてしまうのでは無いかとも考えたが、別に消えてもいいかなぁと思い登校した。


 学校サボろうかなぁって松田妹に言ったら凄い目で見られたし。


 遅刻ギリギリで登校を成功したが、今の所に何も無し。懐かしの担任、七瀬ちゃんに注意もされたが何も無し。

 しかし、イメチェンを果たしたからだろうか、周りの生徒達にガン見された。ははっ、照れるなぁ。


 あ、もちろん遅刻ギリギリはわざとだからね。ギリギリに到着する事で自分の席を特定するテクだからね!


 と、俺が身体を乗っ取り出席日数を稼いでいる。うーーん善行善行。


 そんな事を考えながら、窓際の列のちょうど中央の席に過去の俺が座っていた。

 流石に、いきなり自分に話しかけるのは勇気がいるので現実逃避に、近くにいる生徒たちの会話に聞き耳をたてる。


「康太くん。今日の放課後、ららぽ行こう?」


「ああ、いいよ」


「楽しみ~」


 会話していたのは、我らが帰宅部のエース大林康太と松田の幼馴染である河北結羽である。しかし、一緒にショッピングモールに行く程仲が良かったとは...と言うかデートじゃね?それ。


 ...しかし、松田との幼馴染なのに仲良かった素振りは1週目でも見なかった。幼馴染って仲良いもんかと、思っていたが現実はそうじゃ無いらしい。


 ボーっと河北達の会話を眺めていると、隣の席の銀髪の少女、白坂葵が話掛けてきた。


「どーしたの?幼馴染の結羽ちゃんが獲られて大林君に嫉妬?」


 声色には愉悦の色が少し含まれている。

 


「いや、そんなんじゃねぇし。って幼馴染なの知ってんのか」


「勿論。有名だし」


 そうなのか、有名だったのか...。俺、松田から河北が幼馴染なの聞いてない...。


「ねぇねぇ、やっぱり、結羽ちゃんが好きだからイメチェンしたの?」 


 俺の劇的ビフォーアフターの原因を追求して来た。そんなに僕が気になるのかい? 


「いや、元々前髪ウザかったし、夏休みで丁度良かったからな」


怪しまれない程度無難に返す。


「それもそうかもね。私も今までの松田くんより話しかけやすいし」


 おっ!イメチェンパワーか。出ているぞ、成果が。


「はっは、だよなぁ」


「最も、中身も別人みたいだしね?」


 と、俺の事を見透かしているように、妖艶な笑みを浮かべる。


「えっ?」


 思わず声が漏れる。そんな一瞬で俺が別人って分かるもん?もしかして、バレてる?


「ま、まぁ。身心一如、身体の影響は性格にも影響でるってもんだ。はは...。」


 笑いながら誤魔化す。えっもうバレる?。心臓に悪いんだが。


「ふーん」


 白坂が疑いの眼差しでこちらを見つめる。

 一周目ではいつも机に突っ伏してた癖に、そんなに見つめられると……って可愛いなおい。照れる。


「授業始めるぞ~」


 すると授業開始のチャイムと共に担任の七瀬ちゃんが教室に入ってくる。

 

 ナイス七瀬ちゃん。危なかったぜ。


「ちぇ...。後でもっと話そうね」


と、白坂は新しいおもちゃを見つけた子供の様にふっと笑みを浮かべた。

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