第2話 タイムリープしたら垢抜けちゃった件♡
松田翔太となってから数十日経ったが、結局、元に戻る事も無かった。それと同時に松田翔太の人物像が明確になってきた。
元々、知っていた情報もあるが両親は、最近再婚したらしく、一つ下の義妹がいる。また、隣の家には同じ高校に通う幼馴染、河北結羽がいる。
両親は共働きで、家にいなかったのでよく河北家で食卓を囲んだそうだが、最近は無いらしい。
俺は、これらの情報を基に松田翔太として生活している。本当のところ、正体をバラしたい所だが、何が起こるか分からないから怖くて出来ない。
そのため、バレないよう生活しつつ戻る方法を模索していたら、夏休みが終わり登校日の朝を迎えた。
洗面台の鏡で自分の姿を確認するが、ばっちり松田翔太である。
10日過ぎた辺りから、戻れない事を見越してうざったい髪の散髪や適当な運動、スキンケア等高校デビューみたいな事を行った。
1番重要な勉強の復習は、もちろん行っていない。
自分の身体様に丹精に約1ヶ月磨いた松田の身体を確認する。
「1ヶ月の割にはいい出来なんじゃないか」
松田の顔は前髪で顔を隠すのは、勿体無い位のイケメンだったので、前髪切っただけでかなりイケてる。
このままでも良いんじゃ無いかと思ったが、まぁ...だめだ。
ポージングしていると鏡に松田の義妹である松田ひなが映る。
「……。終わったならどいて貰っていいですか?」
兄への軽蔑している目でこちらを見つめる。
あれ?反応悪い?「お兄ちゃんカッコ良くなったね!!」って位は一言貰えるレベルだと思ったが。
「わ、悪い。」
急いで退く。
家じゃ一人っ子だったんだ、順番待ちとかあんま無かったんだよ!ごめんよ!
「...。毎日頑張ってたんですね」
この場を去ろうとするとそんな言葉が来た。松田妹から警戒していた割には、意外だ。
そりゃ、こんな逸材を見つけたら、頑張るだろ。そして、仲が良くなった俺はおこぼれを貰うのだ。
「まぁな、結構イケてるよ思うんだよね。お前と一緒に学校に登校したら、『えっ?ひなの彼氏』って友達に言われる位には」
「変な事言わないでください。翔太さんと一緒に登校する事はないです」
ジトッとこちらを見ながら言う。冗談なのに...。
一応、兄妹間の溝を埋めるべく、夏休み中映画やゲームを誘ったり、お菓子を貢いだりと色々と手は尽くした。しかしまだ、なつき度は足りないようだ。
この後、一緒に朝ご飯を誘ったが「大丈夫です」と一蹴された。結局、俺は今日も寂しく朝食を食べ松田翔太として、初めて学校に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。