第30話 地球崩壊…宇宙に漂うがれき

 神々や神仙、神獣など地球の環境づくりに携わってきたたくさんの“不可視の存在”である方々のほとんどはそれぞれの星に帰られた…今残っておられる方々は崩壊寸前のこの地球が終焉を迎える“その時”まで、なんとか生物が生きていられるように環境を保持してくれているのである。だが、毎日のように世界中で起きている気象異常はもはやどうすることも出来ないところまで来てしまっている…何度も言うようだが、戦争などしている場合ではないのだ。もっとも今さら何を言っても手の施しようはないのだが。

 ふたりは知っている、地球の終焉がどんなものなのか…国際〇合が全世界に向けて警告を発したところですでに手遅れなのだ。以前にも述べたが人間が神々から失敗作と言われる由縁はこれまで繰り返した前文明の4度とも最後は“核戦争”で滅びて来た。そして迎えたこの5度目の文明も“核戦争”によるものだからだ。結論からいうと人間の文明は“核戦争に始まり核戦争に終わる”愚かな生命体であったのだ。

 しかし、この5度目の終わり方はこれまでと若干勝手が違う…過去に4度繰り返された環境破壊と核戦争は地球というこの小さな惑星そのものの体力を急激に弱体化させてきた。重病に値するレベル4である。そこへ5度目の文明を迎えた人間の愚かさがさらなる拍車を掛けたのだ。地下核実験による地殻変動、フロンガスによるオゾン破壊、二酸化炭素と亜酸化窒素の大量排出による温室効果で生じた気象異常や環境破壊、放射能汚染水による海洋破壊など人間はやりたい放題である。さんざん地球とその自然を痛めつけておきながら、今さら“エコ”や“環境保護”などと口をそろえたところでもう間に合わないのだ。

 これから起こる事象…地球の温暖化による熱波と気象異常により年々農作物の収穫が減少、海水温上昇で生態系にも影響が及び漁獲量も減少、食料難の時代がやってくる。自然災害が猛威を振るい世界各地でこれまで経験をしたことのない被害が続出、それでも人間は争いごとをやめずに“戦争兵器”を造り続け、あげくの果てに大気圏外の衛星にまで“兵器”を搭載する始末…

 戦争は人間だけでなく、他の国も巻き込み大規模化していく…それが“核戦争”の引き金となる。そもそもAIを生み出す理由のひとつは、最前線に送り出す兵士の“知的ロボット化”であったが、進化するAIは最終的に人間を必要としなくなり、自己判断で行動を起こすようになる。結果、核戦争を始めた国と人間に対し“不要”の判断を下し、世界のあらゆるネットワークに通じているAIは“核ミサイル”を発射する。国同士の戦争であったものがやがて“人間対AI”の核戦争と化す。地上は放射能に覆われ、生き残った人間たちは地下シェルターに逃げる。そしてそれは発射される…衛星からの最終兵器“〇の杖”である。それは地上にバラバラと降り注ぎ、大きな衝撃波と共に巨大な穴を開け、地下深く突き刺さる…

人間によるこれまでの仕打ちに耐えてきた地球は限界点を越え、内核大爆発を引き起こし、地面は大きく引き裂かれ、砕け散る…宇宙のがれきと化すのだ。

 果たして、かつての美しく“青い地球”は宇宙の神話となって残るのだろうか…

ふたりは思う…それまで生きたくもないし、見たくもない。


-完-

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20XX年 地球爆発 EJ えしき @jet_black24

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