第4話 生きる意味
喉が渇く、血が欲しい……。
この苦しみは飢えに等しい。
何故、ヴァンパイアが存在するのであろう?そんな、思いが毎日、寝る前に襲われた。朝が来るのが怖く、微睡から目覚めると死にたい気分だ。吐き気に襲われながら登校すると。
親友の彩音の目が死んでいる。どうやら、私が彩音の憂鬱に感染したらしい。
理由は簡単だ、私が彩音の血を求めないからだ。
普通に考えれば、吸血によって何らかの感染症がうつると考えがちだが。ヴァンパイアは吸血する対象者の健康によって喉の渇き具合に差がでる。つまり、彩音の健康状態が吸血量に大きく及ぼす。
そして、私達ヴァンパイアには『夢落ち』なる能力がある。対象者に永遠の眠りを与えるのだ。起きたら夢でしたではなく、覚める事のない夢に案内するのだ。
彩音は部活の女子テニス部の先輩から酷いイジメにあっているらしい。彼女らは賢く、陰湿なイジメを繰り返していた。
死を望む彩音は大きな河川の橋の上にいた。雨上がりの河は水かさが多く。簡単に死ねる量であった。
私が彩音に近づくと。
「一緒に死んでくれるの?」
「あぁ、夢の中で一緒に暮らそう」
そう、こんな時の為の『夢落ち』だ。
私は彩音の首筋にキスをすると。彩音の意識は無くなる。小柄な彩音をお姫様だっこして病院に向かう。
その後、彩音は個室で点滴を受けて眠りに着く。これでいい、覚める事の無い夢の中で永遠の幸せを得たのだ。
それから、私は病院の屋上で風に当たっていた。この時期としては肌寒く、生きる意味を問うには、いい気候であった。
すると……。
屋上の入口から彩音がふらふらとしながらこちらにやって来る。バカな!『夢落ち』をほどこしたはずなのに。
「私、月葉と共に暮らしたい。だから一緒に生きよ」
これは『夢落ち』が不完全だったことを意味する。
あああああ、ヴァンパイア失格だ、お姉ちゃん達にバカにされる。
でも……。
でも……。
でも……。
少し嬉しい、こんな私にでも一緒に居たいと言ってくれた。私は共に生きる意味を一緒に探す事にした。
ヴァンパイア三姉妹の憂鬱 霜花 桔梗 @myosotis2
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