【ライブ】
・
・【ライブ】
・
片玉プロダクションに所属している芸人たちがたくさん出るライブ。
目玉は勿論、浩成さんのコンビ、電光石火だ。
西京都でも第一線で活躍している芸人が出るということで、お客さんもたくさん入っていた。
二瓶はイケメンと組んでいて、まあ一応美男美女コンビ。
でもこっちはマテナのワントップだぞ、と思いながら、舞台袖で準備をしている。
俺はあれだから、狐目の爆弾魔だから。
養成所のメンバーは1分のネタ見せコーナーに出演する。
平日コースの連中と初めて顔を合わせたわけだが、普通に牛山平太がいてビックリした。
「最近会わないと思っていたら土日コースだモー、避けられていたと思ったモー」
と膝に手を当てながら、胸をなで下ろしたというような顔をした牛山平太。
何よりも、俺に避けられていたら悲しかったというようなアクションをしたことが嬉しかった。
大丈夫、俺はちゃんと人望があると改めて知ることができたから。
「牛山平太はピン?」
「ううん、元サッカー部の子とコンビだモー。全国行った子だモー」
と会話をしていると、二瓶が組んでいるイケメンとは比べ物にならない、マジの、俳優養成所のイケメンが目の前に颯爽と現れ、
「ナカテンさん、と、呼んでよろしいでしょうか?」
「えっ、はい、いいですけども……」
とあまりのオーラに蹴落とされながら喋ると、
「僕の相方の湯本だモー。ほら、ゆっちゃんは大喜利ライブにお客さんとして足を運んでいてナカテンのことは知っているんだモー」
ゆっちゃんと呼ばれているそのイケメンは、
「いやもうナカテンさんなんて似潟県大喜利界隈のエースじゃないですか! 知っているに決まっていますよ!」
と闘牛の牛くらい鼻息を飛ばしながら、喋りだしたので、牛山平太が、
「ほらせっかくイケメンでスタートしたのに興奮がダダもれているモー」
と言いながら、ゆっちゃんの背中をさすると、
「だってナカテンさんですよ! 土日コースにすれば良かった!」
「じゃあ僕と出会ってないモー、ナカテンはマテナがいるモー」
「そうですけどね! そうなんですけどもね!」
もしこのレベルのイケメンが土日コースで俺をこんな風に崇めたら、きっと流れは変わっていただろうな。
いやここで完全に変えてやるんだ。
二瓶のコンビよりウケて、講師にも見せつけてやる。
ライブは大盛り上がりで進行し、ついに俺たちの1分のネタ見せコーナーになった。
場は暖まっている。
あとはいつも通りやるだけだ。
まず平日コースの知らんヤツらがそこそこウケた。
次はザキユカ。
今日は今までやった一人コントの中で一番ウケの良かったヤツの1分バージョンをするらしい。
さすがに1分じゃ即興の声掛けしているだけで、時間が無くなるからな。
ザキユカもそこそこウケて舞台袖に戻ってきたが、もっとできたはず、と悔しそうだった。
次は牛山平太とゆっちゃんのコンビ。
ウシでボケて、サッカーのファウルでツッコむという、ゴリゴリのキャラモノ漫才でかなりウケた。
1分だとこれくらいキャラモノのほうがウケるよな、と思いつつも、そこはやっぱり牛山平太の地肩の強さだな、とも思った。
さぁ、俺とマテナの番。
マテナがちょっと焦りながら、
「だだっ! 大丈夫だよね!」
と言ってきたので、
「マテナとだから大丈夫だよ」
「じゃあ私はナカテンさんとだから大丈夫ということですね!」
と言って笑った。
いつも通り、そう、いつも通りの漫才ライブのようにネタをするだけだ。
結果は1分のネタ見せコーナーで今のところ一番ウケた。
舞台袖で俺とマテナはつい勢い余ってハグをしてしまった。
それに対してゆっちゃんが、
「ちょっとぉ、喜びの見せつけがゴールパフォーマンスじゃないですかぁ」
と言い、牛山平太も、
「勝利後のシエスタ並に勝ち誇らないでほしいモー」
と言ってツッコんだ。
コイツらキャラ濃いなぁ、と思いながらマテナから離れた。
さて、最後は二瓶のコンビ。
二瓶のコンビは初めての大舞台に震えに震えていた。
何だか可哀そうなくらい震えていたので、とりあえずイケメン風のほうに話しかけることにした。
もうゆっちゃんが最大級のイケメンだから、コイツはイケメン風だ。
「まあいつも通りの感じでやればいいんじゃないか、どうせ1分だし、初めてだし、気負う必要は無いと思うよ」
「うるせぇ! 殺すぞ!」
まさかそこまで強い言葉が出るとは、と思っていると、ゆっちゃんが、
「レッドカードじゃん……」
と引いていた。
牛山平太も、
「この赤にはウシさえも興奮しないモー」
と言っていて、キャラがバキバキ過ぎだろ、と思った。
二瓶のコンビが呼び込まれ、ステージ上に立ったが、一切喋らず俯いているだけ。
30秒超えたあたりでイケメンが何か訳分からん、否、訳が分かった上で面白くない一発ギャグをすると、めちゃくちゃ滑った。
それに対して、二瓶が
「イケメンだからウケちゃってるし」
という完全に意味不明の台詞。
どうやらウケることしか考えていない台本らしい。
そのあとも滑っては「ウケた」と言って、そういうネタなのかなみたいな空気になって終了した。
こんなギュルギュルに滑ることってあるんだ、と思った。
二瓶のコンビだけ舞台袖から消え、俺たちはずっと横という特等席で先輩芸人さんのネタを観覧していた。
あの日以来、二瓶もあのイケメン風も養成所の教室には来なくなった。
その来なくなった日を知ってから、他の二瓶軍団も続々来なくなった。
また講師は志垣という人から、合わせ御園の前園さんに代わった。
合わせ御園の前園さんは似潟県でレギュラーを5本持っている憧れの先輩だ。
講師として来るなり、最初の授業で、
「ワタクシが面倒臭がったばっかりに最悪のカスを講師にさせてしまい申し訳ございませんでした。本当はワタクシが講師をする予定でしたが、やっぱり土日は休みたいということを事務所に言ったところ、結果、志垣がやることになりました。これからは本気でワタクシがやりますので、よろしくお願いします」
そこからの授業は順調そのもの。
ネタ見せも大喜利もエピソード・トークもウケる。いや面白くなかったら、ちゃんと滑るけども。
あの二瓶軍団も解体され、一部の陰キャだけ残って授業に参加しているが、所詮色仕掛けに堕ちた連中だ。全然面白くない。
二瓶軍団にずっと入っていなかった中に、頭角を現した人たちがいて、そこの人たちとは仲良くやっている。
「あの時は助けられなくてゴメンな、あういうのが僕マジで怖かったんだよ」
とか言ってくるけども、その話はもういいんだ。
それよりも今、切磋琢磨しよう、と言って今、しのぎを削っている。
そして養成所も終わり、見事俺とマテナは事務所所属となった。
切磋琢磨した中でも事務所所属になれなかった人もいるが、
「まだ俺たちも頑張るよ」
「事務所はここだけじゃないしな」
「いろんなとこで挑戦してみるさ」
などと言って、連絡先を交換して別れた。
もしかしたら普通に大喜利ライブとかで出会うかもしれないし。
晴れて事務所所属になったメンバーで卒業公演が行われることになった。
全員が4分ネタを1本して、選抜で何人かが大喜利対決をするというライブ。
そこで、俺とマテナ、そしてザキユカは土日コースの大喜利選抜メンバーに選ばれた。
まさか卒業公演でも大喜利ができるとは、と思って胸が躍った。
事務所所属も決まり、ウキウキとした気分で時間が過ぎていき、ついに卒業公演になった。
まずはネタだけを行なう。
そこで俺たちは新ネタを下ろすことにした。
それは即興で大喜利を行なうキャラをお客さんからもらうスタイル。
お題は事前に決めてきたお題を使い、自分たちのキャラを即興でやるという漫才で、犬と言われたら、犬っぽい回答をするという大喜利漫才。
ちょっと前まではお題を即興でもらっていたんだけども、それだと考えてきた本当に面白いボケが使えないので、自分たちのキャラを変えることにした。
そうすることにより、事前に考えてきたボケもそのキャラっぽく一部を改変して使ったり、事前に考えてきたボケそのものを使っても「いやキャラと合ってないじゃん」とツッコめば、それで処理ができるからだ。
即興と思考のハイブリッド、それが俺たちの漫才の完成形だ。
この漫才も見事ハマり、ネタが終わった時点では俺たちが一歩リードといった感じになった。
さぁ、最後の大喜利ブロック。
ここで優勝して、同期のトップの座をもらうぞ。
まずくじ引きで選抜メンバーを振り分ける。
A組に、俺、ザキユカ、ゆっちゃん、葛葉。
B組に、マテナ、牛山平太、宮本圭、どみ。
ここの上位1名が決勝で闘うというルールだ。
採点方式は会場の拍手で決まる印象審査。
うまく流れを掴もう。
《それではA組の自己紹介から! 中村天丼ことナカテンさん、どうぞ!》
「天ぷらと回答をサクサク揚げていきます。中村天丼です。よろしくお願いします」
《サックサクだけどもヘビー級の天丼、期待しています!》
ちょっとだけ微調整したいつもの挨拶、拍手で迎えてくれたお客さん。
場は暖まっているし、ネタを終えた雑感としてトリッキーなボケもウケそうな土壌だ。
いろんなボケをやっていくか。
《次はいつも横柄なザキユカさん、どうぞ!》
「偉そうじゃない、実際に偉いんだ。ザキユカだ。とりまよろー」
《何か強い検定でも持っているのでしょうか! 楽しみですね!》
言いながら会場を指差しているザキユカ。
そのふてぶてしさに歓声も上がる。
大喜利選抜のメンバーは全員ネタもウケていたので、もうファンが付いているような感じの人もいる。
俺はまあ見た目で損しているが、それでも何だか良い笑顔で拍手してくれた人もいた。
《なんと高校サッカー全国出場! ゆっちゃん、どうぞ!》
「サッカー大好き! ゆっちゃんです! フェアプレー賞だけは受賞します!」
《普通にリーグ制覇もしちゃってください!》
照れながらも会場に手を振っているゆっちゃんに、女子の黄色い声援が飛んだ。
このあたりはもうマジでファンが付いている感じだ。正直うらやましい。
《最後は既に借金200万円の真性クズ、葛葉さんです!》
「どうも、クズの泰葉、略して葛葉です。じゃあ逆にラフプレー賞受賞するんでぶん殴りますわ」
《できるだけ穏便によろしくお願いします!》
葛葉という男性は何だか横柄な感じだ。
ザキユカもキャラ被りしていると察したのだろう、葛葉のことを見ていると、葛葉が
「メンチ切ってんじゃねぇよ、味噌揉みこむぞ」
とザキユカに対して言った。
それに対してザキユカは、
「みそっかすのカスはオマエだろ」
と答えて、お客さんも沸く。
かなり盛り上がっている。
こういうプロレスみたいなことをガンガンできる人のことを俺は尊敬してしまう。
ザキユカは勿論、葛葉も手練れみたいだ。
《ではお題発表です! 大ヤンキー・タケシの唯一の長所》
まず序盤はヤンキーという要素を使って、お題の真芯を振り抜くイメージで。
後半はもうなんでもありみたいな空気になりがちなので、その時に天丼や決め球でかっさらえばいいな。
俺はすぐさま手を挙げた。
《大ヤンキー・タケシの唯一の長所》
「コンビニの前で正座している」
まあベタではあるけども、絵が面白いボケなので、しっかりウケた。
まず波に乗れた感じがして良かった。
次に手を挙げたのは葛葉だった。
《大ヤンキー・タケシの唯一の長所》
「メリケンサックが非常食」
何かが食べられるボケもベタだが、メリケンサックというワードにあまり馴染みが無かったみたいで、ウケはイマイチだ。
でもそのあとに葛葉が、
「メリケンサック知らないのかよ! 指にハメて殴りを強化するアイテムだぞ!」
と言いながら殴るジェスチャーをして、その勢いでちょっとウケた。
葛葉って結構なパワーファイターなのかもしれないな。
そんな葛葉にちょっと委縮しながらも、ゆっちゃんが手を挙げた。
《大ヤンキー・タケシの唯一の長所》
「ラフプレーはしない」
サッカーは紳士で真摯なんだ。
葛葉の自己紹介や今の動作の振りも淡くあって、なかなかウケた。
ウケたら女子のお客さんが「ゆっちゃーん!」と叫んで、それも少しウケた。
ヤバい、ちょっとゆっちゃんの空気になっているかも。
こっちはラフプレー上等で潰しに行くか。
俺がボケを書いている時にザキユカが手を挙げた。
《大ヤンキー・タケシの唯一の長所》
「メリケンサックをちゃんと知らない若者であること」
その回答にすぐさま葛葉が
「あぁん?」
とヤンキーみたいな声を上げた。
その間の良さに笑いが起きる。
ヤバい、空気を掴んでいるゆっちゃんに、関係性ができているザキユカと葛葉。
完全に俺だけキャラナシだ。
ここで変にゆっちゃんに絡んだら、キャラが無いことバレバレの後乗せ完全ヒール野郎になってしまう。
印象審査なので、ヒールになったヤツは必ずヒーローに負けてしまう。
ゆっちゃんに絡もうと思っていたボケはやっぱり止めることにして、別のボケを書こう。
その最中に葛葉が手を挙げた。
《大ヤンキー・タケシの唯一の長所》
「何のキャラ無い天丼野郎もイジってあげる」
そこそこのウケ、だが、これはかなりラッキーだ。
どうやら葛葉はこうやっていろんな人に絡んでいくキャラらしいが、これは完全に追い風だ。
何故なら俺がキャラの無いキャラになったからだ。
ここからはもう自分の大喜利だけに集中して、キャラは何も無いけども大喜利が面白い人間として勝つ目もでてきた。
だからこれから俺がすることは一つ。
葛葉の挑発には乗らず、自分のペースでボケること。
そしてここぞのタイミングであの決め球を投げること、だ。
俺は手を挙げた。
《大ヤンキー・タケシの唯一の長所》
「釘バットにコルク入ってない」
バッターの不正あるある、バットの中にコルクを入れる、だ。
それをボケにしてみたのだが、どうやらメリケンサックほどではないけども、伝わりづらかったらしい。ウケはイマイチ。
それに対して葛葉が、
「おい、オマエら、会場のパンピーはヤンキー道具に詳しくないぞ!」
と叫んだ。
まあ今回の俺はどちらかと言えばバッター不正あるあるのほうだけども、確かに全体的にヤンキーに詳しくないかもしれない。
でも確かにまだプロにもなっていないお笑い芸人の卒業公演に来るくらい、お笑い好きなお客さんだ。
ヤンキーのことは詳しくないのかもしれない。
俺はすぐさまペンを走らせ、手を挙げた。
《大ヤンキー・タケシの唯一の長所》
「カツアゲが天ぷら」
意味不明な回答だけども、こっちはかなりウケた。
やっぱりお客さんの層がかなりのお笑いドスケベなので、ヤンキーの要素が分かりやすく、かつ、シュールなほうがウケるかもしれない。
あと天ぷらは俺の天丼と掛かっているので、そこも良かったのだろう。
ゆっちゃんがまた自信なさげに、というか、可愛く手を挙げた。
自分の求められていること分かってるなぁ。
《大ヤンキー・タケシの唯一の長所》
「遊びのサッカーでゴールキーパーを買って出る」
まあまあなウケ。
いやもっとウケていいけどもな。手袋とか無いわけだから、遊びのサッカーは。
客層がインドア派のオタクだと、こういう外で遊ぶボケはウケないのかもしれない。
ここでザキユカが偉そうに手を挙げた。
《大ヤンキー・タケシの唯一の長所》
「五百円玉握りながら殴り、それをくれる」
そこそこウケている。
でも小銭を握りながら殴るとパンチが強くなるというヤンキーあるあるに気付いている感じはしない。
やっぱり今回はそういうことではないんだろうな。
俺は手を挙げた。
《大ヤンキー・タケシの唯一の長所》
「メンチ切って、メンチカツ」
油モノの天丼をここでかました。
こういう駄洒落ボケは、お笑い好きには逆にハマりやすいのだ。バカバカしいから。
案の定、ヒットにはなった。
さて、ここからここから、と思っていると葛葉が何だかイライラしながら手を挙げた。
《大ヤンキー・タケシの唯一の長所》
「挑発にはちゃんと乗ってくれる……オマエを揶揄したんだぞ! 中村天丼!」
それに俺はすぐさま、手でハエを払うポーズをとった。
そのテンポでちょっとウケた。
あんまり本気で絡むのは良くないが、これくらいならしておいたほうがいい。
どうやら葛葉的には俺が乗ってきた時のプランがあったんだろう。
でも俺が乗らなかったからイライラしているというわけか。
ここはできるだけ無視して勝手に落ち込んでもらおう。
俺は手を挙げた。
このタイミングで挙げた俺にお客さんは『反撃か?』みたいな表情にもなっているが、ここは既に浮かんでいたボケを書く。
《大ヤンキー・タケシの唯一の長所》
「映画版だと優しくなる」
ここでタケシに掛けたボケだ。ここはかなりウケた。
やっぱりお客さんが基本オタクなので、映画版と書けば何のことかみんな分かってくれる。
キャラの無いキャラを貫き通すなら、ここぞというタイミングで強いボケをかまさないといけない。
ここが多分このボケをする一番のタイミングだったので、上手く決まって良かった。
ザキユカが少々焦りながら手を挙げた。
《大ヤンキー・タケシの唯一の長所》
「結局ホンダのバイクを信じている」
それなりのウケ。
ヤンキー=ホンダのバイクってちょっと硬派すぎるだろ。
ここでゆっちゃんが手を挙げた。
《大ヤンキー・タケシの唯一の長所》
「累積警告をちゃんと数えている」
自分で数えるヤツじゃないだろ。
これもウケは弱い。
受け手にサッカーの知識が乏しい可能性がある。
だからこういうお客さんには、と思いながら手を挙げた。
《大ヤンキー・タケシの唯一の長所》
「睨みたっぷりニラ炒め」
結構ウケた。
油モノじゃないんだ、という風なウケもついてきた。
お客さんがヤンキーとサッカーの知識に乏しいが、記憶力が無いわけでは決してない。
むしろ何に対して天丼になっているかは普通のお客さんよりも分かっているだろう。
そこをついて、確実に印象を良くしていくんだ。
葛葉が後ろ頭をボリボリ掻きながら、手を挙げた。
《大ヤンキー・タケシの唯一の長所》
「渋谷事変の時はいなかったから捕まらなかった」
これは結構ウケている。
さて、強めのウケが出たタイミングを俺は待っていた。
強めのウケの上をいく、といった印象がお客さんに入れば、俺の勝利は近付く。
だから決め球はここが出し時だ。
俺は手を挙げた。
《大ヤンキー・タケシの唯一の長所》
「知らない歌で泣いていた」
これはめちゃくちゃウケた。
シュール、かつ、エモい回答だ。
結局オタクはエモい回答に弱いので、このボケは序盤で浮かんだが、ここまで残していた。
多分これが決定打になったのだろう。
このブロックは俺が勝利した。
僅差で2位がゆっちゃんだったが、こういうイケメンの塊に勝てたことは自信になるな。
壇上を後にし、次のメンバーが席についた。
《それではB組の自己紹介からいきましょう! 中村天丼さんの相方、マテナさんです!》
「構ってな! 構ってな! どうも! ウザ可愛いかまってちゃん、宇佐アテナことマテナです!」
《可愛いって自分で言っちゃうところが可愛いですね!》
そう言われて頬を掻いて照れているポーズをしたマテナに、女子から「可愛いー!」の声が飛ぶ。
きっと男子も可愛いと思っているだろうな、と思いながら、俺は見ていた。
《乳牛そのもの、牛山平太さん、どうぞ》
「モイィィイイイイイイイイイイイイイイイイン! 乳牛の瞬き! 牛山平太だモー!」
《すごい元気ですね! いよっ! 春の乳牛!》
牛山平太はかなりテンションが上がっている様子だ。
他の二人は良く分からないが、牛山平太は実力者なので、果たしてマテナはどうなるか。
《宮本圭さんのズレたツッコミは良い感じに気持ち悪いですよね、どうぞ》
「いや素人が作ったカマドかよ! アツアツだな!」
《名前とかも言わないんですね、あとレンガがズレていることを言うべきですよ》
コンビで漫才しているネタを見ていたけども、コイツのズレはマジなのかボケなのか分からないな。
でもそういう天然かわざとか分からないヤツは強い。
結局見る人は本当におかしな人というモノが好きだから。
《最後はどみさん、どうぞ。可愛さと科学の二刀流!》
「どみです。アタシの顔と名前と亜鉛の化学式だけでも覚えて帰ってください」
と言いながら、ホワイトボードに書いた複雑な化学式を見せた。
時間があるヤツはやっぱりこういうボケするなぁ。
どみはアニメ声の女子。
何かになりきるという一人コントをしていたが、普通に面白かったし、こういうボケを最初にかますということは笑いに貪欲ということだ。
《可愛い顔と名前だけで十分でしょう! それではお題は、言い争っている犬「○○○」です》
穴埋め台詞お題か、やっぱり台詞調になっているボケのほうがウケるだろ。
まず牛山平太が手を挙げた。
《言い争っている犬「○○○」》
「俺のほうが牛になりたぁぁぁあああああああああい!」
勢いがすごくて、めちゃくちゃウケた。
まあ最初はこれくらいシンプルなほうがいいよな。
すぐにマテナが手を挙げた。
《言い争っている犬「○○○」》
「私と仕事、どっちが大切なの?」
ウザい彼女感が出て、これもウケた。
マテナもちゃんとキャラを使って、真芯を捉えていると思う。
ここでどみが手を挙げた。
《言い争っている犬「○○○」》
「もう貴方を培養します」
意味の分からないシュールな回答だが、今回はそれがウケる土壌だ。
しっかりウケた。
最後に宮本圭が手を挙げた。
《言い争っている犬「○○○」》
「結局誰の話なんだよ! ハワイの犬かよ!」
こちらもシュールだが、そこそこウケている。
牛山平太がまた手を挙げた。
《言い争っている犬「○○○」》
「犬用ミルクじゃないのぉぉおおおおおおおおおおっ?」
人と言い争っていたんだ。
というか宮本圭とどみがシュールな方面に舵を切ったことを確認して、改めてバカボケに振ったと思う。
シュールは潰しあって、勢いのあるバカボケが目立つと踏んだのだろうし、俺もそれがいいと思う。
さて、マテナはどうするか、と思っているとマテナが手を挙げた。
《言い争っている犬「○○○」》
「タケルがあの時、花柄のワンピを選んでくれなかったからじゃん!」
どうやらウザい女子でいく気かもしれない。
犬がワンピという違和感でウケていて、悪くはない。
でも決定打に欠けるような感じ。
どこかで勝負に出られるか。
宮本圭が手を挙げた。
《言い争っている犬「○○○」》
「またネットニュースかよ!」
ラジオでもやっているのかな、この犬。
そこそこウケている。
すぐさまどみも手を挙げた。
《言い争っている犬「○○○」》
「可愛い数学」
これもそれなりにウケている。
シュールがウケる雰囲気にはなっている。
だが、と思ったタイミングで、牛山平太が手を挙げた。
《言い争っている犬「○○○」》
「乳牛だったのぉぉおおおおおおっ?」
牛山平太のバカボケに全員押されている。
めちゃくちゃ単純なんだけども、バカバカしさで押し切っている。
声も一番出ていて、デカい声のヤツはバカ感が強く出て、ウケの後押しになっている。
マテナがめちゃくちゃペンを走らせながら、手を挙げた。
《言い争っている犬「○○○」》
「乳牛でもいいや! かまって! かまって!」
これはウケた。
牛山平太に絡んだというかまってちゃんポイントもあって、かなりウケている。
すぐさま牛山平太が手を挙げた。
《言い争っている犬「○○○」》
「いや言い争っているウシ『牛乳たらすモー』」
お題を破壊したボケに会場はめちゃくちゃウケた。
でもこれはさすがに卑怯だろ。
最終的な印象審査で果たしてお客さんはどう判断するか。
ウケている時間を利用してマテナが早書きして手を挙げた。
《言い争っている犬「○○○」》
「構ワンじゃなくて、構うワフンであろうね!」
何も掛かっていないワフンに結構ウケている。
やっぱりバカバカしいボケがウケる土壌がある。
それにしてもマテナと牛山平太のラッシュに、宮本圭とどみが押されているように見える。
きっと後者の2人は大喜利をすること自体は養成所に入ってから初めてしたのだろう。
場数とキャリアが違うマテナと牛山平太に、完全に飲まれている。
そうこうしている間に、また牛山平太が手を挙げた。
《言い争っている犬「○○○」》
「乳牛が化けたぁぁぁあああああああ!」
バカバカしいデカい声が響き、その直後にお客さんの笑い声が響く。
このままだと牛山平太が決勝かと思ったその時だった。
マテナがまだ負けていないといった感じに手を挙げた。
《言い争っている犬「○○○」》
「このノリ、今日だけだと思うなよ!」
ノリの持続は双方同意じゃないとウザいなぁ。
絶妙にウザい回答にお客さんが沸く。
マテナもしっかり闘えているなと思ったところで、やっとどみが手を挙げた。
《言い争っている犬「○○○」》
「緑のおばさんが言っていたことと一緒じゃん」
急な緑のおばさんは若干面白いな、と思った。
やっぱりウケもきている。
その流れに乗るように宮本圭が手を挙げた。
《言い争っている犬「○○○」》
「誰が為に鐘はなるんだよ!」
パワーワード勝負にきたな。
これもそこそこウケている。
牛山平太が一歩リードだが、まだ分からないといった感じだ。
マテナが手を挙げた。
《言い争っている犬「○○○」》
「もう言うわ! 一昨日から思ってたけどさぁ!」
これもウザい。
一思いにその時言ってくれのパターンだ。
すぐさま牛山平太が手を挙げて、
《言い争っている犬「○○○」》
「一昨日から思っていたけども、あれはウシのハリボテ!」
マテナのボケに乗っかるボケを出してきた牛山平太。
正直字は汚くて読みづらいが、牛山平太が滑舌良く叫ぶので分かりやすい。
ただこれはさっきのマテナのほうがウケていたので、印象はマテナのほうが有利か。
どみが手を挙げる。
《言い争っている犬「○○○」》
「どっちの試験管だよ!」
シンプルなボケを出してきたな、叫ぶほうがウケると判断したんだろう。
こういう途中で路線を変えることは正直あんまり吉としないことが多い。
何故なら大喜利ライブは大喜利にあらず。
全部まとめてストーリーなので、その人らしさが無いとウケないのだ。
またマテナが手を挙げた。
《言い争っている犬「○○○」》
「去年の今日も構ってくれなかったけど、そういう周期?」
すごい覚えているな、この犬。
というかまたしても痴話喧嘩じゃん。
マテナのこの、今回の流れで出した自分のボケに合っているボケはやはりウケやすい。
しかしながらマテナがさっきからずっと、今日や昨日などの時系列を挟めたボケをしている。
もしかしたら最後に時系列を入れた強いボケをする気なのかもしれない。
俺が教えたやり方だが、果たしてそれをするのか、かつ、それが決まるのか。
牛山平太が手を挙げた。
《言い争っている犬「○○○」》
「ウシ育権は俺ぇぇええええええええええ!」
ウシ育(いく)なんて言葉無いからな。
パワーワード+叫び+キャラという全部乗せみたいなボケをしてきた。
決めにかかっているみたいだ。
宮本圭はもう完全に戦意喪失といった感じだ。
唇をかみながらも、どみが手を挙げた。
《言い争っている犬「○○○」》
「フラスコで牛乳飲もうぜ」
あんまりウケなかった。
急なウシだし、叫びも無かったから。
今はもうウシなら叫びもセットみたいな感じになっている。
さっきの叫びでウケず、叫びをしなかったら、こっちもウケずで最悪な状態になっているな、このどみって。
それを見ていた牛山平太が手を挙げた。
《言い争っている犬「○○○」》
「闇の牛乳屋ってオマエだったのぉぉおおおおおおおおおおっ?」
またしてもパワーワードで完全にどみを蹴落とした牛山平太。
こういう完全に潰しにくるところが牛山平太の怖いところだ。
空気は牛山平太か、となりかけたその時、マテナが自信満々に手を挙げた。
俺は直感した。
ここで溜めていた強いボケを出す、と。
頼む、マテナのボケが今回のお客さんに刺さってくれ!
《言い争っている犬「○○○」》
「明日に吠えるぞ!」
これがウケた。まあウケた。
案の定、時系列を使いつつ、何か分からんが『勝手にしろ』と簡単にツッコめるボケ。
吠えるという犬っぽい部分もあり、今までのマテナが紡いできたボケもあり、で。
ほどなくして、試合は終了し、審査及び結果発表の時間になった。
マテナへの拍手は大きかった。
次の順番である牛山平太がマテナより少なかった時点で勝利が決定した。
無論、宮本圭もどみも拍手は弱く、マテナがB組を勝ち上がった。
マテナはそのままの席に座り、俺がステージ上に立ち、そのまま席に座った。
俺はすぐさまホワイトボードを持った。
《さぁ! ついに決勝戦です! なんと同じコンビで決勝です! 胸アツですね! 改めて自己紹介、マテナ、どうぞ!》
「構ってな! 構ってな! ウザ可愛い宇佐アテナことマテナです! 改めてよろしくお願いします!」
《さっきと変わらない挨拶ありがとうございます! 次は中村天丼さん、どうぞ!》
「今日は俺の顔と名前と、海老天だけの天丼は逆に魅力が無いことを覚えて帰ってください」
と言いながら、ホワイトボードに描いた全然ハリの無い、へなへなにしおれた海老天だけ乗った天丼を見せた。
まずここで一ウケ。
B組の地続きで決勝が始まっているので、一旦ここで俺の空気にしたかった。
マテナはちょっと不満げに俺のことを見ていた。
でもこれは勝負だ。
ここで弟子になんて負けてられない。
圧勝してやる。
《では最後のお題はこちら! 新しい罰ゲームを教えてください、です!》
俺は即、手を挙げた。
《新しい罰ゲームを教えてください》
「アツアツプールに10mダイブ」
元々ある罰ゲームを足しただけのベタなボケ。
でもまあお題の最初はこんなもんでいい。
軽くウケておけばいいんだ。
すぐにマテナが手を挙げた。
《新しい罰ゲームを教えてください》
「スポンサーの娘に構う」
それを罰と言うな、というボケ。
まあそこそこのウケか。
これなら越えられる。
俺は手を挙げた。
《新しい罰ゲームを教えてください》
「激クサ豆鉄砲」
そもそも豆鉄砲って実際分からないな、というボケ。
結構ウケもいい。
まだ確定じゃないけども、多分この路線で間違いないだろう。
マテナが手を挙げた。
《新しい罰ゲームを教えてください》
「構って構って鬼ごっこしていたら落とし穴に落とされる」
微妙に前回の自分のボケと合わせてボケている。
それはいいと思う。
タイマンで対決する時、前の自分のボケを覚えていてくれやすいので、天丼やストーリーを作ることは有効なのだ。
でも俺は、今回はそれじゃないと思っている。
俺は手を挙げた。
《新しい罰ゲームを教えてください》
「足つぼサンダルボクシング」
俺のバカバカしいボケのほうがウケている。
そう、やっぱりそうだ。
今日のお客さんは真性のお笑い好きだ。
今回のお題に関しては特に、文章にしてボケるよりも、パワーワード気味の造語で攻めたほうがウケるのだ。
それにマテナが気付けるかどうか。
今回に限っては気付かず、俺に圧敗(あっぱい)してほしい。
マテナが手を挙げた。
《新しい罰ゲームを教えてください》
「構ってくれなきゃ泣いてしまう鬼、金棒は持っている」
これはそこそこウケたみたいだ。
不穏な空気のあるボケだったから。
でもまあ今回のこのお題は造語というか単語で間違いないだろう。
俺は手を挙げた。
《新しい罰ゲームを教えてください》
「酸っぱいクシャミ浴び」
まずクシャミ浴びが嫌だろというボケ。
これは結構ウケた。
この調子でいけば勝利は間違いないだろう。
あとはこの隠し玉をいつ使うか、だな。
マテナが手を挙げた。
《新しい罰ゲームを教えてください》
「蚊の音」
別角度のウザいボケに、今回のマテナの中では1番ウケている。
単語にもなっているので、ウケやすいボケだ。
ここで単語がいいんだと気付いていなきゃいいんだけどな。
俺は手を挙げた。
《新しい罰ゲームを教えてください》
「ぬるぬるトロフィー」
トロフィーをもらっているのに罰ゲームというボケ。
まあこれはそこそこ程度か。
と思ったところで、マテナが手を挙げた。
《新しい罰ゲームを教えてください》
「びりびり動画」
これは結構ウケている。
普通に中国の動画投稿サイトを言っているだけだが、ウケている。
でもマテナのキャラが乗っかていないので、イマイチのウケといった感じ。
さて、隠し玉を上手く決めるために、一旦単語ボケを離れるか。
同じ系統ばかり並べると飽きも出てくるので、ここら辺でちょっと変化を加える。
俺は手を挙げた。
《新しい罰ゲームを教えてください》
「甘口カレー塗りたくりあい、相手のことを好きになるまで」
造語と説明の言葉という組み合わせ。
こうすることにより、ウケる造語という流れと、飽きられないような変化をグラデーションで魅せることができる。
結構ウケている。
この調子で頑張りたい。
ちょっと厳しそうな表情をしながらマテナが手を挙げた。
《新しい罰ゲームを教えてください》
「昨日から来た吠える犬」
これはウケている。
やっぱりB組の対決と地続きできているから、こういう”言い争っている犬「明日に吠えるぞ」”の流れを汲むボケはウケるなぁ。
見に来ているお客さんはヤンキーの知識が無い代わりに、流れを覚えている能力は高いので、まだ全然ウケる。
だからって、さすがにA組のボケは古くなってしまっているだろうな。
俺はまた手を挙げた。
《新しい罰ゲームを教えてください》
「早朝かゆいバズーカ、発射することにより蚊よけが散布される」
バズーカはむしろ良いモノだったんかい、というボケ。
前にもあったが、こういう悪いことをするお題で、良いことをするボケはウケやすいのだ。
マテナがすぐに手を挙げた。
《新しい罰ゲームを教えてください》
「自宅へ乳牛放牧!」
ウケとちょっとした感嘆がもれた。
倒した相手の魂を持ち込んだようなボケにかなりウケた。
変な胸アツになっている。
こういうB組を使うのは本当にズルいと思うが、まあウケるのだから仕方ないか。
負けじと俺は手を挙げた。
《新しい罰ゲームを教えてください》
「ぐるぐる番頭、回っている最中に女湯も少し見えてしまうので不快だ」
基本は駄洒落、そこに今風のアップデートを乗せてみた。
ここでラッキーと書くと最近は引かれることもあるので、ここはちゃんとアップデートして不快だと言う。こっちのほうがウケる。
さて、時間もそろそろだし、隠し玉で決めるか。
マテナが手を挙げた。
《新しい罰ゲームを教えてください》
「乳牛を構う……いやこれ最高に楽しいヤツじゃん! 最高の週末じゃん!」
いやサッカーのキャッチフレーズみたいに言うなよ。
というか完全に牛山平太を使ってノッてきている。
だからこそ、ここで叩くんだ。
こっちのパターンのほうが面白いということをお客さんに魅せ付けるんだ。
俺は手を挙げた。
《新しい罰ゲームを教えてください》
「激辛鼻問答の【あ】」
これはバシッと決まった。
ハッキリとウケた。
造語で短く、ちょうどマテナの前のボケが長かったので、その対比も出せた。
これが今日のトップ・ウケになり、試合は終了。
マテナの拍手が大きくて、いやどうなったか、と思ったが、俺の番の拍手はもっと大きくて、俺が優勝となった。
さて、見事、俺がマテナを破って優勝したが、コンビで1.2フィニッシュなので、完全に同期は俺たちの世代だ。
でもここからがスタートだ。
まだ始まってもいない。
ここからテレビスターを目指して、そしていつしか大喜利日本一の番組に出るんだ。
きっとマテナと一緒だったら大丈夫だし、正直マテナから先に売れる可能性が高いだろう、ビジュアル的に。
だから俺はマテナに捨てられないために頑張って、って、この考え方、全然師匠じゃない。
よしっ、師匠らしくマテナを引っ張っていこう。
これから大喜利もお笑いも、そしてテレビの仕事も入ったら、全力でいこう。
舞台袖に戻ったらマテナに、
「さすがナカテンさん! やっぱり私の師匠だ! 本当に強いです!」
と俺の肩を掴んでぐらぐら揺らしてきた。
俺はマテナの腕を払ってから、
「当然だ。でもマテナも頑張ったな、最高だったよ」
そう言って俺はマテナと握手した。
マテナは満面の笑みを浮かべた。
多分俺も笑っていたと思う。
(了)
オオギリギリ 伊藤テル @akiuri_ugo5
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます